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特発性肺線維症

執筆者:

Joyce Lee

, MD, MAS, University of Colorado Denver

最終査読/改訂年月 2016年 4月
本ページのリソース

特発性肺線維症(IPF)は,特発性間質性肺炎の最も頻度の高い型であり,進行性の肺線維症を引き起こす。症状および徴候は数カ月から数年にわたって発現し,労作時呼吸困難,咳嗽,および捻髪音(ベルクロラ音)などがある。診断は,病歴,身体診察,高分解能CTに基づいて行い,必要があれば肺生検を行う。治療法としては抗線維化薬や酸素療法などがある。ほとんどの患者は悪化し,生存期間中央値は診断から約3年である。

IPFは組織学的には通常型間質性肺炎と同定されており,特発性間質性肺炎の大部分の症例を占める。IPFは > 50歳の男女に起こり(男女比は2:1),また10歳年を重ねる毎に発生率が顕著に増加する。現在または過去の喫煙は,この疾患と非常に強く関連する。遺伝的素因がいくらか存在し,家族内集積は症例の最大20%にみられる。

病因

環境因子,遺伝因子,およびその他の未知の要因の組合せが,肺胞上皮細胞の機能障害または初期化におそらく寄与し,その結果肺内の異常な線維性増殖がもたらされる。遺伝的素因,環境刺激,炎症細胞,肺胞上皮,間葉,および基質の疾患への寄与に関する研究が現在進められている。

病理

重要な組織学的所見は胸膜下の線維化であり,線維芽細胞の増生巣(fibroblast foci)および密な瘢痕と,正常な肺組織の領域とが混在する(不均質性)。リンパ球,形質細胞,および組織球の浸潤を伴う間質性の炎症が散在する。嚢胞性の異常所見(蜂巣肺)が全ての患者で認められ,また疾患の進行に伴い増加する。同様の組織学的所見が,原因が既知の間質性肺疾患の症例でみられることはまれである( 特発性間質性肺炎の主要な特徴)。

症状と徴候

症状および徴候は,典型的には6カ月から数年かけて発現し,労作時呼吸困難および乾性咳嗽などがある。微熱および筋肉痛のような全身症状はまれである。IPFの古典的な徴候は,両側肺底部の呼気時の捻髪音(ベルクロラ音)である。ばち状指は症例の約50%に認められる。その他の検査は疾患が進行するまでは正常であるが,進行例では肺高血圧症および右室の収縮機能障害の徴候が発現することがある。

診断

  • 高分解能CT(HRCT)

  • ときに外科的肺生検

亜急性の呼吸困難,乾性咳嗽,および胸部診察時にベロクロラ音のある患者で本症を疑う。しかしながらIPFは,気管支炎,喘息,および心不全など,他のより頻度の高い疾患に臨床的に類似しているため,最初は見落とされることが多い。診断にはHRCTが必要であり,外科的肺生検を要する例もある。

胸部X線では,典型的には下肺野および末梢領域にびまん性網状陰影がみられる。小嚢胞病変(蜂巣肺)および牽引性気管支拡張による拡張した気道が付加的所見として認められる。

HRCTでは,不規則に肥厚した小葉間隔壁および小葉内線状影を伴う胸膜下のびまん性斑状網状陰影;胸膜下の蜂巣肺;ならびに牽引性気管支拡張がみられる。すりガラス陰影が肺の > 30%でみられる場合は,別の診断が示唆される。

臨床検査は診断にほとんど役立たない。

予後

ほとんどの患者は,診断時に中等症例から進行例であり,治療しても悪化する。生存期間中央値は診断時から約3年である。いくつかの予後モデルが提唱されている。予後不良を示す因子には,高齢,男性,努力肺活量の低下,およびDLcoの低下などがある。

急性の悪化の原因には,感染症,肺塞栓症,気胸,および心不全などがある。また,原因不明の急性増悪も起こりうる。全ての急性増悪は合併症発生率および死亡率が高い。IPFの患者では肺癌発生頻度がより高いが,死因は通常呼吸不全である。IPFは予後不良であるため,患者および家族と,アドバンス・ケア・プランニングおよび終末期ケアについて早くから話し合っておくことが重要である。

治療

  • ピルフェニドンまたはニンテダニブ

  • 酸素投与および呼吸リハビリテーション

  • ときに肺移植

ピルフェニドンおよびニンテダニブは,一部の国で使用可能な抗線維化薬であり,疾患の進行を遅らせる(1,2)。支持療法には,酸素投与および呼吸リハビリテーションなどがある。支援団体に参加することで病気によるストレスが軽減すると感じる患者もいる。

IPFに対する多くの新しい治療法が研究され,治療として検証されている段階であり,適切と考えられる場合は,臨床試験に参加するよう患者に促すべきである。

肺移植は,その他の点では健康な < 65歳のIPF患者で成功率が高い。その他の点では健康なIPF患者に対し,診断時に肺移植の評価を行うべきである。

治療に関する参考文献

  • 1.King TE, Bradford WZ, Castro-Bernardini S, et al: A phase 3 trial of pirfenidone in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.N Eng J Med 370:2083-2092, 2014.

  • 2.Raghu G, Rochwerg B, Zhang Y, et al: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline: Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An Update of the 2011 Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med 192 (2): pp e3-e19, Jun 15, 2015.

要点

  • IPFは特発性間質性肺炎の大部分を占め,高齢者に発生する傾向がある。

  • 症状および徴候(例,亜急性呼吸困難,乾性咳嗽,およびベルクロラ音)は非特異的であり,通常はより頻度の高い他の疾患によって引き起こされるものである。

  • HRCTで,不規則に肥厚した小葉間隔壁および小葉内線状影を伴う胸膜下のびまん性斑状網状陰影,胸膜下の蜂巣肺,ならびに牽引性気管支拡張症などの所見が得られれば,診断に有用となりうる。

  • 治療は支持的に行い,可能であればピルフェニドンまたはニンテダニブを使用する。

  • 臨床試験への参加を促すとともに,患者が65歳未満でその他の点では健康であれば,診断の際に肺移植を考慮する。

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