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リンパ脈管筋腫症

執筆者:

Joyce Lee

, MD, MAS, University of Colorado School of Medicine

最終査読/改訂年月 2019年 9月
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リンパ脈管筋腫症(LAM)は,肺,肺血管,リンパ管,および胸膜に及ぶ平滑筋細胞の緩徐な増殖である。まれな疾患で,専ら若年女性に起こる。症状は,呼吸困難,咳嗽,胸痛,および喀血である;自然気胸がよくみられる。症状および胸部X線所見に基づいて本症を疑い,高分解能CTで診断を確定する。予後は不明であるが,この疾患は緩徐に進行し,しばしば何年間もかけて患者に呼吸不全や死をもたらす。治療はシロリムスまたは肺移植による。

リンパ脈管筋腫症(LAM)は専ら女性に起こるまれな疾患で,典型的には20~40歳の女性にみられる。白人は最もリスクが高い。LAMの発生率は < 1/100万人である。LAMは肺実質,脈管系,リンパ管,および胸膜など胸部全体における異型平滑筋細胞の増殖を特徴とし,肺構造の変形,嚢胞性気腫,および肺機能の進行性の悪化を引き起こす。

病因

リンパ脈管筋腫症の原因は不明である。女性ホルモンが発生機序に何らかの役割を果たすという仮説は説得力があるが,まだ証明されていない。

LAMは通常自然に発生するが,結節性硬化症 結節性硬化症(tuberous sclerosis complex:TSC) 結節性硬化症は,複数の臓器に腫瘍(通常は過誤腫)が発生する優性遺伝性疾患である。診断には,病変のある臓器の画像検査が必要である。治療は対症療法であり,また中枢神経系の腫瘍が増大していればエベロリムスを使用する。合併症を検出するためにモニタリングを定期的に行わなければならない。 結節性硬化症(TSC)は,6000人に1人の小児で発生する神経皮膚症候群であり,85%の症例ではハマルチンの産生を制御する さらに読む 結節性硬化症(tuberous sclerosis complex:TSC) (TS)の肺所見と多くの類似点がある;LAMは,TS患者の一部に起こり,またTSの不完全型であると考える意見もある。LAM細胞および血管筋脂肪腫(平滑筋,血管,および脂肪から成る腎良性過誤腫)において,TSC-2(tuberous sclerosis complex-2)遺伝子の変異が報告されている。血管筋脂肪腫はLAM患者の最大50%に生じる。こうした報告から次の2つの可能性の内の1つが示唆される:

  • 肺および腎臓内でのTSC-2遺伝子変異の体細胞モザイクによりこれらの組織において背景の正常細胞に重なる病巣が形成される(しかし,複数の別々の部位に病変が生じる可能性もある)

  • LAMは,リンパ系を介して進展する低グレードかつ破壊的な転移性腫瘍(おそらく子宮起源)である

症状と徴候

リンパ脈管筋腫症の初期症状は,呼吸困難,ならびにより頻度は低いが,咳嗽,胸痛,および喀血である。疾患の徴候はほとんどないが,一部の患者では断続性ラ音および類鼾音が聴取される。多くの患者で自然気胸が生じる。また,乳び胸,乳び腹水,および乳び尿などのリンパ管閉塞症状を呈することがある。症状は妊娠中に悪化すると考えられる。

腎血管筋脂肪腫は通常無症状であるが,サイズが大きくなれば(例,> 4cm),通常は出血または側腹部痛などの症状を呈する。

診断

  • 胸部X線および高分解能 CT(HRCT)

  • VEGF-D検査

  • HRCTおよびVEGF-D検査で診断がつかない場合は肺生検

呼吸困難に加えて,胸部X線上の間質の変化(肺容量は正常または増加),自然気胸,または乳び胸腹水のある若年女性でリンパ脈管筋腫症を疑う。リンパ脈管筋腫症はしばしば間質性肺疾患 間質性肺疾患の概要 間質性肺疾患は,肺胞中隔の肥厚,線維芽細胞の増殖,コラーゲン沈着,および(疾患が進行した場合は)肺線維化を特徴とする,多様な疾患の集合である。間質性肺疾患は様々な基準によって分類しうる(例,急性か慢性か,肉芽腫性か非肉芽腫性か,原因がわかっているか不明か,肺原発性か全身性疾患に続発するものか,喫煙歴があるかないか)。... さらに読む と誤診される。この疾患を有すると疑われる全ての患者でHRCTを行う;多発性かつびまん性に分布した小嚢胞は一般的にLAMに特有の所見である。

HRCT所見およびVEGF-D検査で診断がつかないときにのみ生検(外科的)が適応となる。組織学的検査で嚢胞性変化を伴う平滑筋細胞の異常増殖(LAM細胞)がみられれば,診断が確定する。

肺機能検査は診断を裏付け,またモニタリングに特に有用である。典型的所見は,閉塞性パターン,または閉塞性および拘束性の混合パターンである。肺は,全肺気量(TLC)および胸郭内気量の増加により,通常過膨張している。エアトラッピング(残気量[RV]およびRV/TLC比の増加)がよくみられる。PaO2およびDLCOは一般的に減少している。ほとんどの患者で運動能力の低下が認められる。

診断に関する参考文献

  • 1.McCormack FX, Gupta N, Finlay GR, et al: Official American Thoracic Society/Japanese Respiratory Society Clinical Practice Guidelines: Lymphangioleiomyomatosis Diagnosis and Management.Am J Respir Crit Care Med 194 (6):748–761, 2016.

予後

リンパ脈管筋腫症は非常にまれであり,またLAM患者の臨床経過は多彩であるため,予後は不明である。一般的に,この疾患は緩徐に進行し,患者は最終的には呼吸不全および死亡に至るが,死亡までの時間は報告によって大きく異なる。診断からの生存期間の中央値は8年以上と考えられる。肺機能は健常者の2~3倍の速さで低下する。患者には,妊娠中に進行が加速する可能性があることを忠告するべきである。

治療

  • シロリムス

  • 肺移植

最近のデータによると,シロリムス(mTOR阻害薬)は,肺機能障害が中等度の患者(1秒量[FEV1]が予測値の < 70%)において肺機能の低下を止めるまたは遅らせる助けとなる可能性がある。肺機能が異常であるか低下している患者には,シロリムスによる治療が推奨される。プロゲスチン,タモキシフェン,および卵巣摘除術によるホルモン操作などの代替治療は概して効果がなく,推奨されない。

気胸はしばしば再発し,両側性で,標準治療にあまり反応しないため,管理が困難なことがある。再発性の気胸は,胸膜擦過,タルクもしくは他の化学的刺激による胸膜癒着術,または胸膜切除術を必要とする。> 4cmの血管筋脂肪腫には出血予防のため塞栓術を考慮すべきである。

ほとんどの患者は航空機による移動に耐えられる。

米国では患者は,LAM Foundationから教育および心理的支援を受けることができる。

要点

  • リンパ脈管筋腫症(LAM)は間質性肺疾患に類似することがあるが,実際には,まれな,種々の臓器における平滑筋細胞の緩徐進行性増殖である。

  • 説明のつかない呼吸困難に加え,胸部X線上の間質の変化(肺容量は正常または増加),自然気胸,または乳び胸腹水のある若年女性で,本症を考慮する。

  • 高分解能CTを行い,もし診断がつかない場合は,生検を行う。

  • 肺機能異常または進行性の肺機能低下を伴うLAMにはシロリムスによる治療を考慮する。

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