過換気症候群は若年女性に最も多くみられるが,男女問わずあらゆる年齢に起こりうる。この疾患はときに精神的ストレスを伴う出来事によって引き起こされる。過換気症候群はパニック症と重複する部分があるが,それぞれ別の疾患である;パニック症患者の約2分の1は過換気症候群を有し,過換気症候群患者の4分の1はパニック症を有する。
過換気症候群には2つの病型がある:
症状と徴候
診断
過換気症候群は除外診断により診断する;診断における課題は,この疾患をより重篤な疾患と鑑別するために検査および手段を適切に用いることである。
基本的な検査としては以下のものがある:
過換気症候群ではパルスオキシメトリーは,100%またはそれに近い値の酸素飽和度を示す。胸部X線は正常である。心筋虚血を検出するために心電図検査を行うが,過換気症候群自体がST低下,T波逆転,およびQT延長を引き起こしうる。
代謝性アシドーシスなど過換気のその他の原因が疑われる場合は,動脈血ガス分析が必要である。
ときに,急性の過換気症候群は急性肺塞栓症と鑑別不能であり,肺塞栓症に対する検査(例,Dダイマー,換気・血流比シンチグラフィー,CT血管造影)が必要な場合がある。