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孤立性肺結節

執筆者:

Noah Lechtzin

, MD, MHS, Johns Hopkins University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2016年 7月
本ページのリソース

孤立性肺結節は,肺実質に全周を囲まれ(すなわち,肺門,縦隔,または胸膜に接触していない),関連する無気肺または胸水を伴わない,直径3cm未満の孤立性病変と定義される。縦隔腫瘤の評価については,本マニュアルの別の箇所で考察されている。)

孤立性肺結節は,他の理由で胸部X線撮影が行われた際に偶然発見されることが最も多い。乳頭,疣贅,皮膚結節によって生じる肺以外の軟部組織陰影,および骨異常は,胸部X線上でしばしば肺結節と混同される。

病因

癌が通常は主要な懸念事項であるが,孤立性肺結節には多くの原因がある( 孤立性肺結節の原因)。このうち,最も頻度の高いものは年齢および危険因子によって異なるが,典型的には以下が含まれる:

  • 肉芽腫

  • 肺炎

  • 気管支原性嚢胞

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孤立性肺結節の原因

原因

悪性の原因*

原発性肺癌

腺癌

小細胞癌

転移性の癌

乳癌

悪性黒色腫

結腸癌

頭頸部癌

腎癌

精巣癌

肉腫

良性の原因

自己免疫疾患

リウマチ結節

良性腫瘍

線維腫

過誤腫

脂肪腫

肉芽腫性感染症

非定型抗酸菌感染症

ブラストミセス症

コクシジオイデス症

クリプトコッカス症

ヒストプラズマ症

感染症

回虫症

アスペルギローマ

細菌性膿瘍

イヌ糸状虫症(イヌ糸状虫感染)

エキノコックス(Echinococcus)嚢胞

Pneumocystis jirovecii

肺血管異常

海綿状血管腫

血管腫

肺動静脈奇形

Pulmonary telangiectasis

その他

アミロイドーシス

気管支原性嚢胞

血腫

肺内リンパ節

被包化胸水

粘液栓子

円形無気肺(rounded atelectasis)

*悪性の原因の可能性は年齢とともに増加する。

評価

評価の主な目的は,癌および活動性感染症の検出である。

病歴

病歴から孤立性肺結節の悪性および良性の原因を示唆する情報が得られることがあり,具体的には以下のものある:

  • 現在および過去の喫煙歴

  • 癌または自己免疫疾患の病歴

  • 癌に対する職業性危険因子(例,アスベスト,塩化ビニル,ラドンへの曝露)

  • 真菌症が流行しているまたは結核の有病率が高い地域への旅行歴または居住歴

  • 日和見感染症に対する危険因子(例,HIV,免疫不全)

高齢,喫煙,および癌の病歴は全て癌の可能性を高め,これらの情報は結節の直径とともに癌の尤度比の推定に用いられる( 孤立性肺結節における癌の可能性の推定)。

身体診察

全身の徹底的な身体診察により,肺結節の原因を示唆する所見(例,癌を示唆する乳房の腫瘤および皮膚病変)が明らかになる場合もあるが,確実に原因を確定することはできない。

検査

初期検査の目的は孤立性肺結節が悪性である可能性を評価することである。まず単純X線で評価を行い,次に通常はCTを施行する。

画像上の特徴は孤立性肺結節が悪性である可能性を見定めるのに役立つ:

  • 過去の胸部X線またはCT画像があれば,それらとの比較により成長率を判定する。2年以上の間,増大しない病変は,良性の病因を示唆する。容積倍増時間が21~400日の腫瘍は,悪性の可能性が高い。1cm未満の小結節では3カ月後,6カ月後,およびその後は年1回2年間のモニタリングが推奨される。

  • 石灰化は良性病変を示唆し,特に中心性(結核腫,ヒストプラズマ腫),同心円状(ヒストプラズマ症の治癒後),またはポップコーン状(過誤腫)である場合にその傾向が強い。

  • 棘状または不整(波型)な辺縁は,癌をより示唆する。

  • 直径が1.5cm未満の場合は良性の病変を強く示唆し,直径が5.3cmを超える場合は,癌を強く示唆する。しかしながら,例外的に上記に当てはまらない良性の原因として,肺膿瘍,多発血管炎性肉芽腫症,包虫嚢胞などがある。

これらの特徴は,最初の単純写真で明白な場合もあるが,通常CTが必要となる。また,CTでは肺の放射線不透過性と胸膜の放射線不透過性とを識別できる。CTは,癌の検出に関して70%の感度および60%の特異度を有する。

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孤立性肺結節における癌の可能性の推定

I. 以下の表を用いて癌の尤度比(LR)*を確定する:

所見

癌のLR

結節の直径(cm)

< 1.5

0.1

1.5~2.2

0.5

2.3~3.2

1.7

3.3~4.2

4.3

4.3~5.2

6.6

5.3~6.0

29.4

患者の年齢(歳)

35

0.1

36~44

0.3

45~49

0.7

50~59

1.5

60~69

2.1

70~83

5.7

喫煙歴

喫煙歴なし

0.15

パイプまたは葉巻のみ

0.3

過去の喫煙歴

1.5

現在喫煙中または過去9年以内の禁煙(平均タバコ本数/日)

1~9

0.3

10~20

1.0

21~40

2.0

41

3.9

禁煙年数(年)

3

1.4

4~6

1.0

7~12

0.5

13

0.1

全有病率

臨床現場

0.7

地域調査

0.1

II. 結節の直径,患者の年齢,喫煙歴,および癌の有病率のLRを乗じ,孤立性肺結節における癌のオッズ(OddsCA)を推定する:

Odds CA = 直径のLR × 年齢のLR × 喫煙歴のLR × 有病率のLR

例では:OddsCA = (1.5 × 2.1 × 1.0 × 0.7) = 2.21:1

III. オッズから癌の確率を算出する:

癌の確率(PCA)= OddsCA / (1 + OddsCA) × 100 =

例の場合:PCA(%)= 2.21 / (1 + 2.21) × 100 = 69%

*LRはある所見がその疾患をどの程度予測するかの尺度であり,疾患を有する患者においてその所見がみられる可能性を,疾患を有さない患者においてその所見がみられる可能性で除したもの,と定義される;すなわち,真陽性率の偽陽性率に対する比,または感度の1-特異度に対する比である。

例は65歳の男性,喫煙が20本/日で,2.0cmの結節がある患者である。

Adapted from Cummings SR, Lillington GA, Richard RJ: Estimating the probability of malignancy in solitary pulmonary nodules. A Bayesian approach. The American Review of Respiratory Disease 134 (3):449–452, 1986.

PETは癌の結節と良性の結節との鑑別に役立つ。ほとんどの場合,PETは癌である確率が中等度または高い結節に対して用いられる。PETは癌の検出に関して90%を超える感度および約78%の特異度を有する。PETの活動性は(18)F-2-デオキシ-2-フルオロ-D-グルコース(FDG)のSUV(standardized uptake value)により定量化される。SUVが2.5を超える場合癌を示唆し,一方SUV値が2.5未満の結節はより良性である可能性が高い。しかし,偽陽性および偽陰性の結果も出る。結節が8mm未満の場合,偽陰性の可能性がより高い。PETでは,偽陰性は代謝活性の乏しい腫瘍が原因で生じることがあり,また偽陽性は様々な感染症および炎症性疾患において生じうる。

病歴聴取から可能性のある診断として感染症(例,結核,コクシジオイデス症)が示唆される場合,培養が有用となりうる。

侵襲的検査の選択肢としては,以下のものがある:

  • CTガイド下または超音波ガイド下経胸壁穿刺吸引

  • 気管支ファイバースコープ

  • 外科的生検

癌は生検によって診断しうるが,根治的治療が切除であるため,癌の可能性が高い患者で病変の切除が可能である場合,外科的切除に進むべきである。しかしながら,超音波気管支鏡ガイド下に行う縦隔リンパ節生検が行われる頻度が増えており,結節の外科的切除を行う前に肺癌の診断および病期診断を行うためのより低侵襲な方法として,一部の専門家により推奨されている。

経胸壁穿刺吸引は末梢病変に最適であり,また経胸壁アプローチを用いることで,気管支鏡と異なり,検体の上気道微生物による汚染の可能性が避けられるため,感染性の病因が強く疑われる場合には特に有用である。経胸壁穿刺吸引の主な欠点は気胸のリスクであり,そのリスクは約10%である。

気管支ファイバースコープでは,気管支内の洗浄,ブラシ擦過,穿刺吸引,および経気管支生検が可能である。より中枢に位置する,より大きな病変ほど有効であるが,高度に熟練した術者が特別に設計された細径の気管支鏡を使用すれば,直径1cm未満の末梢病変も生検が可能である。これらの比較的低侵襲のアプローチで結節に到達できない症例では,開胸手術による生検が必要である。

治療

  • ときに手術

  • ときに経過観察

癌の疑いが非常に低いか,病変が非常に小さい(1cm未満),または患者が外科的介入を拒否もしくは外科的介入の適応にならない場合は,経過観察が適切である。3カ月後,6カ月後,およびその後は年1回2年間のモニタリングが推奨される。病変が2年以上の間拡大することがなければ,良性の可能性が高い。

原因として癌の可能性が最も高い場合や良性の病態が原因である可能性が低い場合は,肺機能の低下,併存症の存在,または同意が得られないことが理由で手術が禁忌とならない限り,切除を行うべきである。

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