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呼気性喘鳴(wheezing)

執筆者:

Noah Lechtzin

, MD, MHS, Johns Hopkins University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2016年 7月
本ページのリソース

呼気性喘鳴は,末梢気道の狭小化または圧迫された部位を空気が通る際に生まれる,比較的高調な笛様の雑音である。呼気性喘鳴は症状であり,また身体所見でもある。

病態生理

末梢気道の狭小化または圧迫された部位を気流が通る際に乱流となり,気道壁の振動を引き起こす;この振動により呼気性喘鳴の音が生じる。

呼気相における胸腔内圧の上昇により気道が狭小化するため,呼気性喘鳴(wheezing)は呼気時により頻繁に起こる。呼気性喘鳴(wheezing)が呼気時のみ起こる場合は,吸気および呼気両相で起こる場合よりも軽度の気道閉塞を示し,両相でみられる場合はより重度の気道の狭小化を示唆する。

対照的に,胸郭外の太い気道の狭小化部位を乱流が通る際は,笛様の吸気時雑音が生じる(吸気性喘鳴(stridor))。

病因

末梢気道の狭小化は,気管支収縮,粘膜浮腫,または外部からの圧迫によって生じることがあり,また部分的閉塞は腫瘍,異物,または粘稠な分泌物により引き起こされることがある。

全体として,最も一般的な原因は以下のものである:

  • 喘息

  • COPD

しかし呼気性喘鳴は,心不全(心臓喘息),アナフィラキシー,および毒素吸入などの末梢気道を侵す他の病態でも起こりうる。健康な患者が急性気管支炎の発作時に呼気性喘鳴を呈することがある。小児では,細気管支炎および異物誤嚥も原因となる ( 呼気性喘鳴の原因)。

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呼気性喘鳴の原因

原因

示唆する所見

診断アプローチ*

URI症状

肺疾患の病歴がない

臨床的評価

アレルギー反応

突然発症し,通常既知のまたは可能性のあるアレルゲンへの曝露後30分以内である

しばしば鼻閉,蕁麻疹,眼そう痒,くしゃみ

臨床的評価

しばしば喘息の病歴

自発的または特定の刺激(例,アレルゲン,上気道感染症,寒さ,運動)への曝露後に生じる呼気性喘鳴

臨床的評価

ときに肺機能検査,ピークフローの測定,メサコリン吸入試験,または経験的気管支拡張薬投与への反応観察

生後18カ月未満の小児(北半球では通常11月から4月の間)

通常URI症状および頻呼吸

臨床的評価

COPDの増悪

中年または高齢患者

しばしばCOPDの病歴

大量の喫煙歴

呼吸音の減弱

呼吸困難

口すぼめ呼吸

呼吸補助筋の使用

臨床的評価

ときに胸部X線および動脈血ガス測定

薬剤(例,ACE阻害薬,アスピリン,β遮断薬,NSAID)

新たな薬剤の最近の服用開始歴,反応性気道疾患の患者で最も頻繁にみられる

臨床的評価

気管支内腫瘍

固定化した持続性の吸気時および呼気時の笛音(特に癌の危険因子または徴候[例,喫煙歴,盗汗,体重減少,喀血]のある患者にみられる場合)

おそらく,びまん性よりむしろ限局性

胸部X線またはCT

気管支鏡検査(通常,閉塞を示せるスパイロメトリーとフローボリューム曲線の分析を先に行う)

異物

URI症状も全身症状もない幼児における突然発症

胸部X線またはCT

気管支鏡検査

慢性の誤嚥を伴うGERD

慢性または反復性の呼気性喘鳴,しばしば胸やけおよび夜間咳嗽を伴う

URIおよびアレルギー症状はない

胃酸分泌抑制薬の試験的投与

ときに食道pHモニタリング

職業曝露または洗浄剤の不適切な使用の後に突然発症

臨床的評価

肺水腫を伴う左心不全(心臓喘息)

断続性ラ音,および中枢または末梢の容量負荷を示唆する徴候(例,頸静脈怒張,末梢浮腫)

臥位での呼吸困難(起座呼吸)または入眠から1~2時間後に起こる呼吸困難(発作性夜間呼吸困難)

胸部X線

心電図

BNP測定

心エコー検査

*ほとんどの患者でパルスオキシメトリーを実施すべきである。また症状が非常に軽度または明らかに既知の慢性疾患の増悪である場合を除き,胸部X線を行うべきである。

BNP = 脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチド;GERD = 胃食道逆流症。

評価

患者が著しい呼吸窮迫状態にある場合は,評価と治療を同時に進める。

病歴

現病歴の聴取では,呼気性喘鳴が新規発症か再発かを明らかにすべきである。再発であれば,患者に以前の診断を尋ね,現在の症状が質および重症度の点で異なっているかを聴取する。特に診断が不明である場合は,発症の急性度(例,突然または緩徐),時間的パターン(例,持続性か間欠性か,季節変動),および誘発または増悪因子(例,現在のURI,アレルゲンへの曝露,冷気,運動,乳児への授乳)などに注意する。重要な関連症状としては,息切れ,発熱,咳嗽,喀痰などがある。

系統的症状把握(review of systems)では,発熱,咽頭痛,および鼻漏(呼吸器感染症);起座呼吸,発作性夜間呼吸困難,および末梢浮腫(心不全);盗汗,体重減少,および疲労(癌);鼻閉,眼のそう痒,くしゃみ,および発疹(アレルギー反応);ならびに嘔吐,胸やけ,および嚥下困難(誤嚥を伴う胃食道逆流症)などの,原因疾患の症状および徴候がないか検討すべきである。

既往歴の聴取では,特に喘息,COPD,および心不全などの呼気性喘鳴を引き起こすことが知られている病態について尋ねるべきである。ときにこれらの診断の手がかりが患者の服用薬リストのみであることがある(例,COPD患者における吸入気管支拡張薬およびコルチコステロイド;心不全患者における利尿薬およびACE阻害薬)。これらの疾患を有する患者には,入院,挿管,またはICU治療の既往など,疾患の重症度を示す指標について尋ねるべきである。また,動脈硬化性または先天性の心疾患および高血圧など,心不全の素因となる病態を同定する。喫煙歴および受動喫煙の有無に注意すべきである。

身体診察

バイタルサインを評価して,発熱,頻脈,頻呼吸,および酸素飽和度の低下がないか確認する。

あらゆる呼吸窮迫徴候(例,呼吸補助筋の使用,肋間陥凹,口すぼめ呼吸,興奮,チアノーゼ,意識レベルの低下)に直ちに注意を払うべきである。

診察では肺に重点を置き,特に空気の出入りは十分か,呼吸音は左右対称か,および呼気性喘鳴の局在(びまん性か限局性か;吸気時か,呼気時か,両方か)を同定する。あらゆる硬化徴候(例,やぎ声,打診時の濁音)または断続性ラ音に注意すべきである。

心臓の診察では,雑音,III音(III音奔馬調律),および頸静脈怒張などの心不全を示唆しうる所見に焦点を置くべきである。

鼻および咽頭の診察では鼻粘膜の外観(例,色,うっ血),顔面または舌の腫脹,および鼻炎,副鼻腔炎,または鼻茸の徴候に注意すべきである。

四肢の診察では,ばち状指および浮腫,ならびに皮膚の診察ではアレルギー反応(例,蕁麻疹,発疹)またはアトピー(例,湿疹)の徴候がないか確認する。患者の全般的な外観の評価として,悪液質および重症COPDによる樽状胸などの全身徴候がないか注意する。

警戒すべき事項(Red Flag)

以下の所見は特に注意が必要である:

  • 呼吸補助筋の使用,臨床的な疲労徴候,または意識レベルの低下

  • 固定化した吸気時および呼気時両相の呼気性喘鳴(wheezing)

  • 顔面および舌の腫脹(血管性浮腫)

所見の解釈

喘息,COPD,または心不全の病歴が判明している患者における反復性の呼気性喘鳴は,通常増悪の表れであると推測される。肺疾患および心疾患の両方を有する患者では,臨床像が類似することがあるため(例,頸静脈怒張と末梢浮腫はCOPDによる肺性心や心不全でみられる),しばしば検査が必要となる。原因が既知の喘息またはCOPDである場合,咳嗽,後鼻漏の病歴,またはアレルゲン,毒素もしくは刺激性ガス(例,冷気,塵埃,タバコの煙,香水)への曝露歴が,誘因を示唆する場合がある。

臨床所見は,病歴が判明していない患者における呼気性喘鳴の原因の探索に役立つ( 呼気性喘鳴の原因)。

URI症状がない急性(突然発症)の呼気性喘鳴は,アレルギー反応または切迫したアナフィラキシーを示唆する(特に蕁麻疹または血管性浮腫がみられる場合)。発熱およびURI症状は,2歳未満の小児では細気管支炎を,より年長の小児および成人では感染症,急性気管支炎を示唆する。断続性ラ音,頸静脈怒張,および末梢浮腫は,心不全を示唆する。乳児において呼気性喘鳴が授乳または嘔吐と関連する場合,胃食道逆流が原因でありうる。

喘息の患者では,通常発作性または間欠性の急性呼気性喘鳴がある。

持続性の,限局した呼気性喘鳴は,腫瘍または異物による気管支の局所的閉塞を示唆する。生後の非常に早い時期からみられる持続性の呼気性喘鳴は,先天性または構造的異常を示唆する。突然発症する持続性の呼気性喘鳴は異物誤嚥と合致し,緩徐に発症する呼気性喘鳴は増大する腫瘍またはリンパ節による管外からの気管支圧迫の徴候である場合がある。

検査

検査では重症度の評価,診断の確定,および合併症の同定に努める。

  • パルスオキシメトリー

  • 胸部X線(診断が不明な場合)

  • ときに動脈血ガス分析

  • ときに肺機能検査

重症度はパルスオキシメトリーおよび,呼吸窮迫徴候または臨床的な疲労徴候がある場合は動脈血ガス分析によって評価する。喘息が判明している患者では,通常ベッドサイドでピークフローの測定(または,可能であれば1秒量[FEV1]の測定)を行う。

新たに発症した呼気性喘鳴または診断のつかない持続性の呼気性喘鳴がある患者は,胸部X線を行うべきである。典型的な増悪を呈する喘息の患者および明らかなアレルギー反応がみられる患者では,X線検査を延期してもよい。心拡大,胸水,および大葉間裂内の液体貯留は心不全を示唆する。過膨張および透過性の亢進はCOPDを示唆する。区域または亜区域の無気肺または浸潤影は,気管支内病変による閉塞を示唆する。気道内のX線不透過像または限局した過膨張は,異物を示唆する。

反復性の呼気性喘鳴がみられる患者で診断が不明の場合,肺機能検査により気流制限の確認,ならびにその可逆性および重症度の定量化が行える。メサコリン吸入試験および運動負荷試験により,喘息の診断が疑われる患者において気道の過敏性を確認できる。

治療

呼気性喘鳴の根治的治療は,基礎となる疾患の治療である。

呼気性喘鳴そのものは,吸入気管支拡張薬(例,サルブタモールをネブライザー溶液で2.5mg,または定量噴霧式吸入器で180μg)によって緩和できる。喘息による持続する呼気性喘鳴の長期管理には,吸入コルチコステロイドおよびロイコトリエン阻害薬が必要となる場合がある。

アナフィラキシーの症例では,H2受容体拮抗薬(ジフェンヒドラミン),コルチコステロイド(メチルプレドニゾロン)の静脈内投与,およびラセミ体アドレナリンの皮下投与または吸入が適応となる。

要点

  • 喘息は最多の原因であるが,全ての呼気性喘鳴が喘息とは限らない。

  • 肺疾患のない患者における呼気性喘鳴の急性発症は,誤嚥,アレルギー反応,または心不全による可能性がある。

  • 反応性気道疾患はスパイロメトリーによって確認できる。

  • 吸入気管支拡張薬は急性期治療の柱である。

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