Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

縦隔炎

執筆者:

Richard W. Light

, MD, Vanderbilt University Medical Center

最終査読/改訂年月 2019年 7月
患者さん向けの 同じトピックページ はこちら

縦隔炎は縦隔の炎症である。急性縦隔炎は通常,食道穿孔または胸骨正中切開に起因する。症状としては,重度の胸痛,呼吸困難,発熱などがある。診断は胸部X線またはCTにより確定される。治療は抗菌薬(例,クリンダマイシンとセフトリアキソンの併用),およびときに手術による。

急性縦隔炎の最も頻度の高い原因は以下の2つである:

  • 食道穿孔

  • 胸骨正中切開

食道穿孔

食道穿孔 食道破裂 食道破裂は,内視鏡手技もしくは他の器具操作時に起こる医原性疾患,または特発性疾患(Boerhaave症候群)の場合がある。患者は重篤な状態となり,縦隔炎の症状がみられる。診断は水溶性造影剤を用いた食道造影による。外科的修復およびドレナージ術を直ちに行う必要がある。 (食道疾患および嚥下障害の概要も参照のこと。) 食道破裂の主因は内視鏡手技であるが,特発性破裂も起こることがあり,典型的には,嘔吐,レッチング,または大きな食物塊の嚥下と関連... さらに読む は,食道鏡検査の施行中やSB(Sengstaken-Blakemore)チューブまたはMinnesotaチューブ(食道静脈瘤出血用)の挿入時に合併症として発生することがある。まれに,激しい嘔吐によって生じることもある(Boerhaave症候群)。ほかに可能性のある原因は腐食性物質の誤嚥である(例,アルカリ溶液,特定のボタン電池)。特定の錠剤または食道潰瘍(例,食道炎を伴うAIDS患者において)が原因の場合もある。

食道穿孔の患者は,数時間のうちに急速に状態が悪化し,縦隔の炎症による重度の胸痛および呼吸困難を呈する。

診断は通常,臨床像と器具の使用歴またはその他の危険因子の既往歴から明らかである。極めて重篤で,胸痛があり,本人が説明できない危険因子を有する可能性がある患者においても診断を考慮すべきである(例,酒に酔って激しく嘔吐した可能性があるが覚えていない患者,ボタン電池を飲み込んだ可能性があるまだ話せない小児)。診断は胸部X線またはCTで確認できるが,縦隔に空気が入り込む疾患は他にもある(例,特発性縦隔気腫 縦隔気腫 縦隔気腫は縦隔内の空気である。 縦隔気腫の主な原因は以下の通りである: 肺胞破裂により肺間質へ侵入した空気の縦隔への移動 食道穿孔 食道または腸管破裂による,頸部または腹部から縦隔への空気の侵入 さらに読む 縦隔気腫 )。

治療は,口腔細菌叢および消化管内細菌叢に効くように選択された抗菌薬の非経口投与(例,クリンダマイシン450mg,6時間毎の静注に加えてセフトリアキソン2gを1日1回,少なくとも2週間)により行う。胸水 胸水 胸水は胸膜腔(pleural space)内における体液の貯留である。胸水には複数の原因があり,通常,漏出液または滲出液に分類される。検出は身体診察および胸部X線による;原因を同定するために胸腔穿刺および胸水分析がしばしば必要とされる。無症状の漏出液は治療の必要はない。症状のある漏出液およびほぼ全ての滲出液には,胸腔穿刺,胸腔ドレナージ,胸膜切除術,またはこれらの組合せが必要となる。... さらに読む 胸水 または気胸 気胸 気胸は胸腔内に空気が存在することであり,部分的または完全な肺虚脱を引き起こす。気胸は,自然に起こることもあれば,外傷または医療行為が原因で起こることもある。診断は,臨床基準および胸部X線に基づく。ほとんどの気胸は経カテーテル的吸引または胸腔ドレナージを必要とする。 原発性自然気胸は,肺の基礎疾患がなく,典型的には,背が高く痩身の10代および20代の若年男性に発生する。原発性自然気胸は,喫煙によって生じた,または患者が遺伝的にもつ,胸膜下... さらに読む 気胸 を伴う重症の縦隔炎患者は,食道断裂部の一次的修復ならびに胸腔および縦隔のドレナージを伴う縦隔の外科的検索を必要とする。

胸骨正中切開

この手技は,実施例の約1%において縦隔炎が合併する。患者は,創傷部排膿または敗血症を呈することが最も多い。診断は経胸骨的穿刺吸引で感染体液を認めることに基づく。治療は,緊急の外科的ドレナージ,デブリドマン,および広域抗菌薬の非経口投与から成る。死亡率は研究によっては50%に近いものもある。

慢性線維性縦隔炎

この病態は,通常は結核 結核 結核は,しばしば初感染から一定期間の潜伏期を経て発症する慢性進行性の抗酸菌感染症である。結核は肺を侵すことが最も多い。症状としては,湿性咳嗽,発熱,体重減少,倦怠感などがある。診断は喀痰の塗抹および培養によることが最も多いが,分子生物学に基づく迅速診断検査の利用も増えてきている。治療では複数の抗菌薬を少なくとも6カ月間投与する。... さらに読む 結核 またはヒストプラズマ症 ヒストプラズマ症 ヒストプラズマ症は,Histoplasma capsulatumにより引き起こされる肺および播種性感染症であり,しばしば慢性に経過し,無症状の初感染に続いて発症するのが通常である。症状は,肺炎症状または非特異的慢性疾患症状である。診断は,喀痰中もしくは組織中の菌の同定,または特異的な血清および尿抗原検査による。治療が必要な場合は,アムホテリシンBまたはアゾール系薬剤を使用する。... さらに読む ヒストプラズマ症 によるが,サルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスは単一または複数の臓器および組織に生じる非乾酪性肉芽腫を特徴とする炎症性疾患であり,病因は不明である。肺およびリンパ系が侵される頻度が最も高いが,サルコイドーシスはどの臓器にも生じうる。肺症状は,無症状から咳嗽,労作時呼吸困難,および,まれであるが肺または他臓器の機能不全に至るまで様々である。通常まず肺病変をきっかけに診断... さらに読む サルコイドーシス 珪肺症 珪肺症 珪肺症は遊離結晶性シリカの塵の吸入により起こり,結節性の肺の線維化を特徴とする。慢性珪肺症は初期には無症状または軽い呼吸困難のみであるが,長年をかけて進行して肺の大部分を侵し,呼吸困難,低酸素血症,肺高血圧症,および呼吸器障害を引き起こすことがある。診断は病歴および胸部X線所見に基づく。効果的な治療は支持療法以外にはなく,重症例では肺移植のみである。 (環境性肺疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む 珪肺症 ,またはその他の真菌症が原因の場合もある。激しい線維化が生じて縦隔構造の圧迫に至り,それにより上大静脈症候群 肺癌は世界におけるがん関連死因の第1位である。約85%の症例に喫煙の関連がみられる。症状としては,咳嗽,胸部不快感または胸痛,体重減少などのほか,頻度は低いものの喀血もありうるが,多くの患者では何の臨床症状もないまま転移を来す。診断は,典型的には胸部X線またはCTによって行い,生検によって確定する。治療には,病期に応じ手術,化学療法,放射線療法,またはこれらの組合せなどがある。過去数十年間,肺癌患者の予後は不良であり,診断時から5年を超... さらに読む ,気管の狭小化,もしくは肺動脈または肺静脈の閉塞が起こりうる。

診断はCTに基づく。

原因が結核の場合,抗結核療法の適応となる。それ以外の場合,有益な既知の治療法はないが,血管ステントまたは気道ステントの挿入が考慮されることがある。

患者さん向けの 同じトピックページ はこちら
家庭版で同じトピック をみる
よく一緒に読まれているトピック
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS

おすすめコンテンツ

医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
TOP