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大気汚染関連疾患

執筆者:

Lee S. Newman

, MD, MA, Colorado School of Public Health

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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先進国における大気汚染の主な要素は次のものである:

  • 二酸化窒素(化石燃料の燃焼による)

  • オゾン(日光が二酸化窒素と炭化水素に与える影響による)

  • 浮遊粒子または液体粒子

  • 硫黄酸化物

その他の大気汚染の発生源として,室内では受動喫煙,発展途上国ではバイオマス燃料(例,木材,動物の排泄物,作物)の焼却が挙げられる。

高濃度の大気汚染は肺機能に悪影響を及ぼし,喘息 喘息 喘息は,様々な誘発刺激により引き起こされ,部分的または完全に可逆的な気管支収縮を生じさせる気道のびまん性炎症疾患である。症状および徴候には,呼吸困難,胸部圧迫感,咳嗽,および喘鳴などがある。診断は病歴,身体診察,および肺機能検査に基づく。治療には誘発因子の制御および薬物療法があり,吸入β2作動薬および吸入コルチコステロイドが最も多く用いら... さらに読む およびCOPDの増悪 急性増悪 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,毒素の吸入(しばしばタバコ煙)に対する炎症反応によって引き起こされる気流制限である。比較的まれな原因として,非喫煙者におけるα1-アンチトリプシン欠乏症および様々な職業曝露がある。症状は数年かけて発現する湿性咳嗽および呼吸困難であり,一般的な徴候には呼吸音の減少,呼気相の延長,および喘鳴などがある。重症例で... さらに読む 急性増悪 を誘発し,また肺癌 肺癌 肺癌は世界におけるがん関連死因の第1位である。約85%の症例に喫煙の関連がみられる。症状としては,咳嗽,胸部不快感または胸痛,体重減少などのほか,頻度は低いものの喀血もありうるが,多くの患者では何の臨床症状もないまま転移を来す。診断は,典型的には胸部X線またはCTによって行い,生検によって確定する。治療には,病期に応じ手術,化学療法,放射線療法,またはこれらの組合せなどがある。過去数十年間,肺癌患者の予後は不良であり,診断時から5年を超... さらに読む 肺癌 のリスクを高める可能性がある。大気汚染はまた,急性心血管イベント(例,心筋梗塞 急性心筋梗塞 急性心筋梗塞は,冠動脈の急性閉塞により心筋壊死が引き起こされる疾患である。症状としては胸部不快感がみられ,それに呼吸困難,悪心,発汗を伴う場合がある。診断は心電図検査と血清マーカーの有無による。治療法は抗血小板薬,抗凝固薬,硝酸薬,β遮断薬,スタチン系薬剤,および再灌流療法である。ST上昇型心筋梗塞に対しては,血栓溶解薬,経皮的冠動脈インターベンション,または(ときに)冠動脈バイパス術による緊急再灌流療法を施行する。非ST上昇型心筋梗塞... さらに読む 急性心筋梗塞 )および冠動脈疾患 冠動脈疾患の概要 冠動脈疾患では,冠動脈の血流が障害され,そのほとんどがアテロームに起因する。臨床像としては,無症候性心筋虚血,狭心症,急性冠症候群(不安定狭心症,心筋梗塞),心臓突然死などがある。診断は症状,心電図検査,負荷試験,ときに冠動脈造影による。予防法は可逆的な危険因子(例,高コレステロール血症,高血圧,運動不足,肥満,糖尿病,喫煙)の是正である... さらに読む 冠動脈疾患の概要 の発生リスクを増大させる。交通量の多い地域の住民では,特に気温逆転により大気の停滞が生じた場合にリスクが高くなる。

いわゆる基準大気汚染物質(窒素酸化物,硫黄酸化物,オゾン,一酸化炭素,鉛,粒子状物質)のうち,一酸化炭素および鉛以外は,全て気道過敏性をもたらす。長期曝露により一般集団,特に小児で,呼吸器感染や呼吸器症状が増加する可能性があり,また小児では肺機能が低下することもある。

スモッグの主成分であるオゾンは,強力な呼吸器刺激物質であり,強力な酸化性物質である。オゾン濃度は夏ならびに午前の遅い時間帯および午後の早い時間帯に最も高くなる。短期間の曝露は,呼吸困難,胸痛,および気道反応性を引き起こしうる。オゾン濃度の高い日中に屋外活動に頻繁に参加する小児は,喘息 乳幼児における呼気性喘鳴および喘息 呼気性喘鳴(wheezing)とは,末梢気道の狭小化したまたは圧迫された部位を空気が通る際に生じる比較的高調な笛様の雑音である。生後数年間に最もよくみられ,典型的には気道のウイルス感染または喘息により起こるが,可能性のある他の原因として刺激物またはアレルゲンの吸入,食道逆流,および心不全などがある。 (成人における呼気性喘鳴および喘息も参照のこと。) 反復性の呼気性喘鳴は生後数年間はよくみられる;小児3人に1人が,3歳までに少なくとも1... さらに読む を発症する可能性がより高い。長期間オゾンに曝露すると,わずかであるが恒久的な肺機能の低下を生じる。

硫黄含有量の高い化石燃料が燃焼して生じる硫黄酸化物は,溶解性の高い酸性のエアロゾルを発生しうるが,これは上気道に沈着する可能性が高い。硫黄酸化物は気道炎症を引き起こす可能性があり,気管支収縮を誘発しうるだけでなく,慢性気管支炎のリスクを増大させる可能性もある。

粒子状の大気汚染物質は,化石燃料の燃焼(特にディーゼル)に由来する複合混合物である。このような粒子には局所性および全身性の炎症作用があり,呼吸器系および心血管系の両方に影響が及ぶことの説明となりうる。いわゆるPM2.5(直径 < 2.5μmの粒子状物質)は,より大きい粒子に比べ,質量当たりの炎症反応が強い。粒子状大気汚染物質はあらゆる原因による死亡率,特に心血管系および呼吸器系の疾患による死亡率を高めることがデータから示唆されている。

大気汚染のデータからは,ナノ粒子と呼ばれるさらに小さい粒子(物質を制御する工学的プロセスによって産生される)や超微粒子が与えうる健康上の影響に関する懸念がもち上がっている。特定のナノ粒子および超微粒子は,動物モデルにおいて酸化ストレス,気道炎症,および毒性を誘発することがあり,喘息患者の呼吸器症状の増加と関連付けられている;ただし直接の因果関係はまだ報告されていない。

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