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急性気管支炎

執筆者:

Sanjay Sethi

, MD, University at Buffalo, Jacobs School of Medicine and Biomedical Sciences

最終査読/改訂年月 2018年 1月
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急性気管支炎は気管気管支の炎症であり,一般的には,慢性肺疾患のない患者に発生する上気道感染症に続いて起こる。原因はほぼ常にウイルス感染である。病原体が同定されることはまれである。最も一般的な症状は咳嗽であり,発熱は伴うことも伴わないこともあり,また喀痰産生を伴うことがある。診断は臨床所見に基づく。治療は支持療法であり,抗菌薬は通常不要である。予後は極めて良好である。

急性気管支炎は,ライノウイルス 感冒 感冒は,鼻漏,咳嗽,咽頭痛などの上気道症状を引き起こし,通常は発熱を伴わずに自然に軽快する急性ウイルス感染症である。診断は臨床的に行う。手洗いは感染拡大の防止に役立つ。治療は対症療法である。 全感冒の約50%は100を超えるライノウイルスの血清型のいずれかによって引き起こされる。コロナウイルスはアウトブレイクを引き起こし,またインフルエン... さらに読む パラインフルエンザ パラインフルエンザウイルス感染症 パラインフルエンザウイルスには互いに近縁のいくつかのウイルスが含まれており,それらは感冒からインフルエンザ様症候群や肺炎まで多岐にわたる呼吸器疾患 を引き起こす;クループは最も頻度の高い重症の臨床像である。診断は通常,臨床的に行う。治療は支持療法である。 パラインフルエンザウイルスはパラミクソウイルスであり,1型,2型,3型,および4型に... さらに読む A型またはB型インフルエンザウイルス インフルエンザ インフルエンザは,発熱,鼻感冒,咳嗽,頭痛,および倦怠感を引き起こすウイルス性呼吸器感染症である。季節的な流行の際には特に高リスク患者(例,施設入所者,低年齢児と高齢者,心肺機能不全患者,または妊娠後期の妊婦)の間で死亡も起こりうる;パンデミックの間は,健康な若年患者でさえ死に至る可能性がある。診断は通常,臨床的に,また地域の疫学的パター... さらに読む RSウイルス RSウイルス(RSV)感染症およびヒトメタニューモウイルス感染症 RSウイルス感染症とヒトメタニューモウイルス感染症は,特に乳児および幼児において,季節性の下気道疾患を引き起こす。無症候性ないし軽症で済むこともあれば,細気管支炎や肺炎を伴った重症となることもある。診断は臨床的に行うのが通常であるが,臨床検査による診断も可能である。治療は支持療法による。... さらに読む ,コロナウイルス,またはヒトメタニューモウイルスによって引き起こされる上気道感染症の一部として起こることが多い。比較的まれな原因として,肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae),百日咳菌(Bordetella pertussis),肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)などがある。5%未満の症例は細菌によって引き起こされ,ときにアウトブレイク時に発症する。

基礎に慢性気管支疾患(例,COPD 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,毒素の吸入(しばしばタバコ煙)に対する炎症反応によって引き起こされる気流制限である。比較的まれな原因として,非喫煙者におけるα1-アンチトリプシン欠乏症および様々な職業曝露がある。症状は数年かけて発現する湿性咳嗽および呼吸困難であり,一般的な徴候には呼吸音の減少,呼気相の延長,および喘鳴などがある。重症例で... さらに読む 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 気管支拡張症 気管支拡張症 気管支拡張症とは,慢性の感染および炎症によって引き起こされる太い気管支の拡張および破壊である。一般的な原因は嚢胞性線維症,免疫異常,および反復性の感染であるが,一部の症例は特発性とみられる。症状は慢性咳嗽および膿性痰の喀出であり,一部の患者では発熱および呼吸困難も伴う。診断は病歴および画像検査に基づき,通常は高分解能CTを必要とするが,通... さらに読む 気管支拡張症 嚢胞性線維症 嚢胞性線維症 嚢胞性線維症は,主に消化器系と呼吸器系を侵す外分泌腺の遺伝性疾患である。慢性肺疾患,膵外分泌機能不全,肝胆道疾患,および汗の電解質濃度の異常高値を引き起こす。診断は,新生児スクリーニング検査で陽性と判定された患者または特徴的な臨床的特徴を認める患者において,汗試験を行うか,嚢胞性線維症の原因遺伝子変異を2つ同定することによる。治療は,積極... さらに読む 嚢胞性線維症 )のある患者における気管気管支の急性炎症は,急性気管支炎というよりはむしろ基礎疾患の急性増悪とみなされる。このような患者では,病因,治療,および転帰は急性気管支炎のものとは異なる(Professional.see also page COPDの急性増悪の治療 COPDの急性増悪の治療 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の管理には,慢性安定期の治療および増悪時の治療がある。 急性増悪の治療では,以下を行う: 酸素投与 気管支拡張薬 コルチコステロイド さらに読む )。

パール&ピットフォール

  • COPD,気管支拡張症,または嚢胞性線維症の患者における急性咳嗽は,典型的には単純な急性気管支炎ではなく,基礎疾患の増悪とみなされるべきである。

症状と徴候

症状は,乾性または軽度の湿性咳嗽であり,上気道感染症の症状を伴うかまたはその症状の先行が通常は5日以上前からみられる。主観的な呼吸困難は,低酸素症ではなく,胸痛または呼吸に伴う圧迫感に起因する。しばしば徴候を欠くが,散発性の類鼾音および喘鳴などがみられることがある。喀痰は,透明,膿性,またはときに血性のこともある。喀痰の特徴は特定の病因(すなわち,ウイルス性か細菌性か)とは一致しない。軽度の発熱がみられることもあるが,高熱または発熱の遷延はまれであり,インフルエンザまたは肺炎を示唆する。

治癒の際,最後に消失する症状は咳嗽であり,消失にはしばしば2~3週間またはそれ以上の期間を要する場合もある。

診断

  • 臨床的評価

  • ときに他の疾患除外のための胸部X線

診断は臨床像に基づく。通常,検査の必要はない。しかしながら,呼吸困難を訴える患者では,低酸素血症を除外するためパルスオキシメトリーを実施すべきである。重篤な疾患または肺炎 市中肺炎 市中肺炎(Community-acquired pneumonia)は,病院の外で獲得した肺炎と定義されている。同定される頻度が最も高い病原体は,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae),非定型細菌(すなわち,肺炎クラミジア[Chlamydia... さらに読む 市中肺炎 を示唆する所見(例,重症感[ill appearance],精神状態の変化,高熱,頻呼吸,低酸素血症,断続性ラ音,肺の硬化または胸水の徴候)がある場合,胸部X線検査を行う。高齢患者はときに例外であり,肺炎であっても発熱および聴診所見を認めず,かわりに精神状態の変化および頻呼吸を呈する可能性がある。

喀痰のグラム染色および培養は通常役に立たない。インフルエンザおよび百日咳 診断 百日咳は,グラム陰性細菌である百日咳菌(Bordetella pertussis)を原因菌として主に小児および青年に発生する,感染性の強い疾患である。 まず非特異的な上気道感染症状が出現した後,通常は長い吸気性笛声(whoop)で終わる発作性ないし痙攣性の咳嗽(痙咳)がみられるようになる。診断は上咽頭培養,PCR,および血清学的検査による... さらに読む が臨床的に疑われる場合(例,百日咳では10~14日間の体調不良の後に持続する発作性の咳嗽,まれに特徴的な笛声および/またはゲーゲー音,百日咳と診断された患者との接触),上咽頭の検体検査を行うことがある。ウイルスパネル検査は,結果が治療に影響を及ぼさないため,通常は推奨されない。

咳嗽は75%の患者において2週間以内に消失する。咳嗽が持続する患者には胸部X線検査を行うべきである。後鼻漏および胃食道逆流症などの非感染性の原因を評価する判断は,通常,臨床像に基づいて行うことができる。咳喘息との鑑別には肺機能検査が必要となる場合がある。

治療

  • 症状の緩和(例,アセトアミノフェン,水分補給,おそらく鎮咳薬)

  • 喘鳴に対し吸入β作動薬

一方,健康な患者における急性気管支炎は,抗菌薬が過剰に使用される主な原因である。ほぼ全ての患者は,アセトアミノフェンおよび水分補給などの対症療法のみを必要とする。鎮咳薬,粘液溶解薬,および気管支拡張薬など,その他対症療法のルーチンの施行の効果を支持するエビデンスは弱い。鎮咳薬 咳嗽は,気道内の異物を除去するために反射的または意識的に行われる爆発的な呼気動作である。受診するきっかけとして最も多い症状の1つである。(小児の咳嗽も参照のこと。) 考えられる咳嗽の原因は(Professional.see table 咳嗽の主な原因),症状が急性(3週間未満)か慢性かによって異なる。... さらに読む は,咳嗽が睡眠を妨害する場合に限り考慮されるべきである。喘鳴のある患者では,吸入β2作動薬(例,サルブタモール)の数日間の投与が有益な場合がある。振戦,神経過敏,震えなどの有害作用がよくみられるため,吸入β2作動薬のより広範な使用は推奨されない。

急性気管支炎における抗菌薬の使用により症状改善に中程度の便益がみられるものの,急性気管支炎の自然に軽快する性質ならびに有害作用および抗菌薬耐性のリスクから,抗菌薬の広範な使用は否定されている。抗菌薬の経口投与は,百日咳の患者または細菌感染症の既知のアウトブレイク時を除いて,典型的には実施されない。マクロライド系のアジスロマイシン500mgを経口で1回,その後250mgを経口で1日1回を4日間継続,またはクラリスロマイシン500mgを経口で1日2回を7日間継続する。

パール&ピットフォール

  • 他の点では健康な患者における急性気管支炎の大半は,抗菌薬を使用せずに治療する。

要点

  • 急性気管支炎は > 95%の症例でウイルス性であり,しばしば上気道感染症の一部をなす。

  • 急性気管支炎の診断は主に臨床的評価によって行い,より重篤な病態を呈する患者に対してのみ,胸部X線および/またはその他の検査を行う。

  • ほとんどの場合,治療の目的は症状の緩和のみである。

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