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サルコイドーシス

執筆者:

Michael C. Iannuzzi

, MD, MBA,

  • Northwell School of Medicine
  • Staten Island University Hospital
;


Birendra P. Sah

, MD,

  • Upstate Medical University

最終査読/改訂年月 2014年 3月
本ページのリソース

サルコイドーシスは単一または複数の臓器および組織に生じる非乾酪性肉芽腫を特徴とする疾患であり,原因は不明である。肺およびリンパ系が侵される頻度が最も高いが,サルコイドーシスはどの臓器にも生じうる。肺症状は,無症状から労作時呼吸困難,および,まれであるが肺または他臓器の機能不全に至るまで様々である。通常まず肺病変をきっかけに診断が疑われ,胸部X線,生検,および肉芽腫性炎症を引き起こす他の原因を除外することにより,診断が確定される。第1選択の治療はコルチコステロイドである。予後は,病変が限局的である場合良好であるが,より進行した症例では不良である。

サルコイドーシスは20~40歳に生じる頻度が最も高いが,ときに小児およびより高齢の成人にも生じる。世界的にみて有病率が最も高いのは,アフリカ系アメリカ人および北欧人,特にスカンジナビア人である。疾患の現れ方は人種および民族的背景によって大きく異なり,アフリカ系アメリカ人およびプエルトリコ人では胸郭外病変がより多くみられる。サルコイドーシスは女性により多い。発生は冬から春先に増加するが,理由は不明である。

Löfgren症候群

Löfgren症候群は,急性多関節炎,結節性紅斑,および肺門リンパ節腫脹の三徴を伴って発生する。発熱,倦怠感,およびぶどう膜炎がしばしばみられ,またときに耳下腺炎がみられる。スカンジナビアおよびアイルランドの女性により多い。

Löfgren症候群はしばしば自然に軽快する。患者は通常NSAIDに反応する。再発率は低い。

Blau症候群

Blau症候群は,常染色体優性遺伝形式の遺伝性サルコイドーシスで,小児に発生する。4歳未満の小児で関節炎,発疹,およびぶどう膜炎が生じる。Blau症候群はしばしば自然に軽快し,症状は通常NSAIDで緩和される。

病因

サルコイドーシスは,遺伝的に感受性の高い人における環境曝露に対する炎症反応によるものと考えられている。誘因として考えられているのは以下の通りである:

  • Propionibacterium acnesおよび抗酸菌(結核菌[Mycobacterium tuberculosis]のカタラーゼ-ペルオキシダーゼ[mKatG]タンパクによる可能性がある)

  • カビまたは白カビ,ならびに職場にあるカビ臭い未知の物質および殺虫剤

喫煙はサルコイドーシスの発症と逆相関する。

遺伝的感受性を示唆するエビデンスには以下のものがある:

  • 二卵性双生児に比べ,一卵性双生児において疾患の一致率が高い

  • 第1度または第2度近親者に患者がいる場合,サルコイドーシスの有病率が高い(約3.6~9.6%)

  • サルコイドーシスの患者の同胞では,サルコイドーシスを発症する相対リスクが5倍高い

  • サルコイドーシスに関連するHLA遺伝子および非HLA遺伝子がいくつか同定されている

病態生理

未知の抗原により,T細胞およびマクロファージの集積,サイトカインおよびケモカインの放出,ならびに応答細胞による肉芽腫形成を特徴とする細胞性免疫応答が誘発される。家族および集団における疾患の集積は,遺伝的素因,共通の曝露,または可能性は低いがヒトからヒトへの伝播を示唆する。

炎症が進行し,サルコイドーシスの病理学的特徴である非乾酪性肉芽腫の形成に至る。肉芽腫は,類上皮細胞および多核巨細胞に分化する単核球およびマクロファージの集積であり,周囲をリンパ球,形質細胞,線維芽細胞,およびコラーゲンに囲まれている。肉芽腫は,肺およびリンパ節に起こる頻度が最も高いが,どの臓器にも起こる可能性があり,重大な機能不全を引き起こしうる。肺の肉芽腫はリンパ管に沿って分布し,ほとんどが細気管支周囲,胸膜下,および小葉周囲領域に認められる。

活性化マクロファージからビタミンDアナログが産生されることにより,高カルシウム血症が生じることがある。血清Caレベルが正常な患者でも,高カルシウム尿症がみられることがある。腎結石症および腎石灰化症が起こることがあり,ときに慢性腎臓病に至る。

症状と徴候

症状および徴候は,病変の部位およびその程度によって異なり,自然寛解するものから緩徐進行性の慢性経過をたどるものまで様々な経時変化がある。したがって,他の臓器に新たな症状がないか,頻繁に再評価する必要がある。ほとんどの症例はおそらく無症状であるため発見されずにいる。肺疾患は,成人患者の > 90%に起こる。

症状および徴候として,呼吸困難,咳嗽,胸部不快感,および断続性ラ音などがみられることがある。疲労,倦怠感,筋力低下,食欲不振,体重減少,および微熱もよくみられる症状である。サルコイドーシスが不明熱として現れることがある。全身性の場合,様々な症状( サルコイドーシスにおける臓器別病変)を引き起こし,人種,性別および年齢によっても多様である。黒人では白人よりも,眼,肝,骨髄,末梢リンパ節,および皮膚(結節性紅斑は例外)の病変が生じる可能性が高い。女性では結節性紅斑,および眼または神経系が侵される可能性がより高い。男性および高齢者は,高カルシウム血症を発症する可能性がより高い。

サルコイドーシスの患児はBlau症候群(関節炎,発疹,ぶどう膜炎)を呈することもあれば,成人患者により近い症状を呈することもある。この年齢層では,サルコイドーシスは若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)と混同されることがある。

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サルコイドーシスにおける臓器別病変

臓器

推定頻度

備考

> 90%

肺胞中隔ならびに細気管支および気管支の壁に肉芽腫を形成し,びまん性肺疾患を引き起こす;肺動脈および肺静脈も侵される

しばしば無症候性

多くの患者では自然に消失するが,進行性の肺機能不全を引き起こすこともあり,その結果,身体機能制限,呼吸不全,およびまれに死に至ることもある

肺リンパ系

90%

胸部X線で肺門部または縦隔病変が偶然見つかる場合がほとんどである;その他,末梢または頸部に圧痛を伴わないリンパ節腫脹がみられる

50~80%

ほとんどの患者において,酵素の上昇を伴うまたは伴わない無症候性の疾患である

ときに潜行性または急性のミオパチーがみられ,筋力低下を伴う

40~75%

通常無症候性

肝機能検査値は軽度上昇し,造影CTで高吸収病変として出現

まれに,臨床的に重大な胆汁うっ滞または肝硬変がみられる

肝病変のみのサルコイドーシスである場合,サルコイドーシスと肉芽腫性肝炎との区別ははっきりしない

関節

25~50%

足関節,膝関節,手関節,および肘関節の関節炎(最も多い)

Jaccoud変形または指炎を伴う慢性関節炎を呈することがある

Löfgren症候群(急性多関節炎,結節性紅斑,および肺門リンパ節腫脹の三徴)

血液

< 5~30%

リンパ球減少

慢性疾患に伴う貧血

肉芽腫が骨髄に浸潤することで貧血が生じ,ときに汎血球減少を起こす

脾臓での赤血球捕捉は血小板減少の原因となる

白血球減少

皮膚

25%

結節性紅斑:

  • 下肢前面の赤く,硬結し,圧痛のある結節

  • 欧州人,プエルトリコ人,およびメキシコ人により多くみられる

  • 通常1~2カ月以内に軽快する

  • 周囲の関節にしばしば炎症がみられる(Löfgren症候群)

  • 予後良好の徴候である可能性がある

サルコイドーシスに特徴的な肉芽腫はみられないため,結節性紅斑の生検は不要である

一般的な皮膚病変:局面,斑および丘疹,皮下結節,色素減少および色素沈着

凍瘡状狼瘡(びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス):

  • 鼻,頬,口唇,および耳介に生じる紫色の局面

  • アフリカ系アメリカ人およびプエルトリコ人により多くみられる

  • しばしば肺線維症と関連する

予後不良の徴候である

25%

ぶどう膜炎(最も多い)は,霧視,羞明,および流涙を起こす

失明に至ることもある

多くの患者では自然に消失する

結膜炎,虹彩毛様体炎,脈絡網膜炎,涙嚢炎,涙腺への浸潤によるドライアイ,視神経炎,緑内障,または白内障を起こすことがある

眼病変はアフリカ系アメリカ人および日本人を祖先に持つ人々に多い

疾患早期発見のため毎年のスクリーニングが適応となる

精神

10%

抑うつはよくみられるが,サルコイドーシスの初発症状であるか長引く疾患の経過および頻回の再発に対する反応であるかは不明である

10%

無症候性高カルシウム尿症(最も多い)

間質性腎炎

腎結石症および腎石灰化症により慢性腎不全を生じ,一部の患者では腎代替療法(透析または移植)が必要となる

10%

通常無症候性

左上腹部痛および血小板減少を呈するか,X線またはCTで偶然発見される

神経

< 10%

脳神経障害,特に第7脳神経(顔面神経麻痺を起こす)または第8脳神経(難聴を起こす)の障害

視神経障害および末梢神経障害(よくみられる)

どの脳神経も侵される可能性がある

中枢神経系の神経障害,結節性病変またはびまん性の髄膜の炎症を伴い典型的には小脳および脳幹に生じる

視床下部性の尿崩症,過食および肥満,ならびに体温調節能力および性欲の変化

副鼻腔

< 10%

急性および慢性の副鼻腔粘膜の肉芽腫性炎症がみられ,アレルギー性および感染性の一般的な副鼻腔炎の症状と区別がつかない

生検で診断を確定する

凍瘡状狼瘡(びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス)のある患者でより頻度が高い

5%

伝導障害および不整脈(最も多い),ときに突然死を引き起こす

拘束型心筋症(原発性)または肺高血圧症(続発性)による心不全

一過性の乳頭筋機能不全および心膜炎(まれ)

日本人でより頻度が高く,心筋症は日本人におけるサルコイドーシス関連死の最多の原因である

5%

溶骨性または嚢胞性病変

骨減少症

口腔

< 5%

無症候性の耳下腺腫脹(最も多い)

口腔乾燥症を伴う耳下腺炎

ぶどう膜炎,両側耳下腺腫脹,顔面麻痺,および慢性発熱を特徴とするHeerfordt症候群(ぶどう膜耳下腺熱)

口腔内凍瘡状狼瘡(びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス)では,硬口蓋の変形ならびに,頬,舌,および歯肉病変を来しうる

胃または腸管

まれ

まれに胃肉芽腫

まれに腸病変

腹痛を引き起すことがある腸間膜リンパ節腫脹

内分泌

まれ

視床下部および下垂体茎への浸潤は,汎下垂体機能低下症を起こす可能性がある

機能障害を伴わない甲状腺浸潤を引き起こすことがある

高カルシウム血症による続発性副甲状腺機能低下症

胸膜

まれ

リンパ球を含む滲出性胸水が通常両側性に生じる

生殖器

まれ

子宮内膜,卵巣,精巣上体,および精巣の病変に関する症例報告がある

妊孕性への影響はない

妊娠中に軽快し,分娩後に再発することがある

診断

  • 胸部画像検査

  • 生検

  • その他の肉芽腫性疾患の除外

サルコイドーシスは,胸部X線で偶然肺門リンパ節腫脹が発見された場合に疑われることが最も多い。この変化は最もよくみられる異常である。したがって,サルコイドーシスの疑われる患者で胸部X線が未実施であるならば,最初にこの検査を行うべきである。肺病変のみの患者においては,X線所見( 胸部X線によるサルコイドーシスの病期分類)から,疾患が自然寛解する可能性を大まかに予測できる傾向にある。しかしながら,胸部X線によるサルコイドーシスの病期診断は誤りを招く可能性がある;例えば,心または神経サルコイドーシスなどの肺外サルコイドーシスは,肺病変を欠く状態において,重篤な予後を示唆することがある。また,胸部X線所見は肺機能の予測能に乏しく,ゆえに胸部X線所見は肺サルコイドーシスの重症度を正確に示していない可能性がある。

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胸部X線によるサルコイドーシスの病期分類

病期

定義

自然寛解率

0

胸部X線正常

I

両側肺門,気管傍,および縦隔のリンパ節腫脹があるが,肺実質への浸潤を伴わない

60~80%

II

両側肺門および縦隔リンパ節腫脹があり,(通常上肺野の)間質浸潤を伴う

50~65%

III

びまん性間質浸潤があるが,肺門リンパ節腫脹を伴わない

< 30%

IV

びまん性の線維化(線維性外観を呈する集塊状腫瘤,牽引性気管支拡張,および牽引性の嚢胞をしばしば伴う)

0%

胸部X線所見が正常(0期)でもサルコイドーシスの診断を除外することはできず,特に心または神経病変が疑われる場合は注意が必要である。肺門および縦隔リンパ節腫脹ならびに実質病変の検出には,高分解能CTの方が感度が高い。より進行した病期(II-IV)でみられるCT所見には,気管支血管束および気管支壁の肥厚;小葉間隔壁の念珠様変化;すりガラス陰影;肺実質の小結節,嚢胞,または空洞;および牽引性気管支拡張などがある。

画像からサルコイドーシスが示唆される場合,生検で非乾酪性肉芽腫を証明し,肉芽腫性疾患を引き起こすその他の原因を除外することで診断が確定する( サルコイドーシスの鑑別診断)。Löfgren症候群では生検による確認を行う必要はない。

したがって診断の際は,以下の評価を行う必要がある:

  • 生検部位を選択する

  • その他の肉芽腫性疾患を引き起こす原因を除外する

  • 疾患の重症度および広がりを評価し,治療適応となるかどうかを決定する

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サルコイドーシスの鑑別診断

種類

具体的疾患

抗酸菌感染症

非定型抗酸菌

結核

真菌感染症

アスペルギルス症

ブラストミセス症

コクシジオイデス症

クリプトコッカス感染症

ヒストプラズマ症

その他の感染症

ブルセラ症

ネコひっかき病(リンパ節のみ)

マイコプラズマ感染症

Pneumocystis jirovecii感染症

梅毒

リウマチ性疾患

若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)

菊池-藤本病(リンパ節のみ)

壊死性サルコイド肉芽腫症

関節リウマチ

シェーグレン症候群

多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症)

造血器悪性腫瘍

キャッスルマン病(HIVまたはヒトヘルペスウイルス8型感染に関連するリンパ増殖性疾患)

ホジキンリンパ腫

非ホジキンリンパ腫

脾リンパ腫

過敏症

職業上接触する金属:アルミニウム,ベリリウム,チタン,ジルコニウム

過敏性肺炎を引き起こす有機抗原:アクチノミセス,非定型抗酸菌抗原,真菌,キノコの胞子,その他の生物系煙霧

過敏性肺炎を引き起こす無機抗原:イソシアネート,ピレトリン

薬剤への反応

その他

炎症性腸疾患

異物誤嚥または接種

肉芽腫性肝炎

意義不明の肉芽腫性病変

リンパ性間質性肺炎

生検部位

適切な生検部位は,身体診察および初期評価から明らかな場合がある;末梢リンパ節,皮膚病変,および結膜は,全て容易にアクセスできる。超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)を用いた縦隔または肺門リンパ節の生検では,約90%の診断率が報告されている。これは通常胸腔内病変のある患者で選択される診断手技である。EBUS-TBNAで診断がつかない場合,気管支鏡下の経気管支生検を行う場合がある;診断がつかなければ気管支鏡下の経気管支生検を再度試行してもよい。EBUS-TBNAおよび気管支鏡下の経気管支生検で診断がつかない場合,または患者が気管支鏡に耐えられない場合は,縦隔鏡により縦隔または肺門リンパ節を生検するか,もしくは胸腔鏡(VAT)下肺生検または開胸生検により肺組織を採取する。サルコイドーシスが強く疑われるものの,診察または画像所見から生検部位が明らかにならない場合,心臓や脳などの生検部位の同定にPETが役に立つ可能性がある。

その他の診断の除外

他の多くの疾患や過程においても肉芽腫性炎症が生じうるため,特に症状およびX線所見が極めて少ない場合には,他の診断の除外が非常に重要である( サルコイドーシスの鑑別診断)。生検組織を用い,真菌および抗酸菌の培養を行うべきである。職業性(ケイ酸塩,ベリリウム),環境性(カビの生えた干し草,鳥,およびその他過敏性肺炎の誘因となる抗原),および感染性(結核,コクシジオイデス症,ヒストプラズマ症)の抗原への曝露歴を調査すべきである。ツベルクリン反応検査は,アネルギーを考慮の上,評価の早期に施行すべきである。

疾患重症度の評価

重症度の評価には以下の検査を用いる:

  • 肺機能検査

  • 運動時のパルスオキシメトリー

肺機能検査結果は,早期ではしばしば正常であるが,進行期では拘束性パターンおよびDLcoの低下がみられる。気流閉塞(airflow obstruction)もみられ,気管支粘膜の病変を示唆している可能性がある。パルスオキシメトリーは安静時の測定ではしばしば正常であるが,より広範囲にわたる肺病変のある患者では,運動時に酸素飽和度の低下がみられることがある。安静時および運動時の動脈血ガス分析は,パルスオキシメトリーより感度が高い。

肺外疾患のスクリーニングに推奨されているルーチン検査には以下のものが含まれる:

  • 心電図

  • 細隙灯顕微鏡による眼検査

  • 腎機能および肝機能評価のためのルーチンの血液検査

  • 血清Ca値および24時間尿中Ca排泄量の測定

心疾患,神経疾患,またはリウマチ性疾患の症状のある患者には,心エコー検査,ガドリニウム造影剤を使用する心臓MRI,神経画像検査,骨シンチグラフィー,筋電図検査の施行が適切な場合がある。骨およびその他の肺外サルコイドーシスの検出には,PETが最も感度が高いようである。腹部造影CTはルーチンには推奨されないが,肝または脾病変を示す所見(例,腫大,高吸収病変)を得られる可能性がある。

臨床検査は,診断および臓器病変の範囲の確定に補助的な役割を果たす。血算では,貧血,好酸球増多,または白血球減少を示すことがある。高カルシウム血症を検出するため,血清Ca値を測定すべきである。BUN,クレアチニン,および肝機能の検査値は,腎および肝サルコイドーシスにおいて上昇することがある。総タンパクは,高ガンマグロブリン血症のため上昇することがある。赤沈の亢進はよくみられるが非特異的である。血清Ca値が正常である患者においても,高カルシウム尿症を除外するために,24時間蓄尿による尿検体中のCa測定が推奨される。血清ACE値の上昇もサルコイドーシスを示唆するが,非特異的であり,他の多様な病態(例,甲状腺機能亢進症,ゴーシェ病,珪肺症,抗酸菌感染症,真菌感染症,過敏性肺炎,リンパ腫)でも上昇しうる。しかしながら,患者のコルチコステロイド治療遵守のモニタリングには,ACE値の測定が有用となることがある。ACEの値は,低用量のコルチコステロイドでも急降下する。

気管支肺胞洗浄(BAL)は,サルコイドーシスの診断が不確かな場合に他の間質性肺疾患を除外する際,および感染症を除外する際に用いられる。気管支肺胞洗浄の所見はかなり多様であるが,適切な臨床状況下で,洗浄液細胞分画中のリンパ球増多(リンパ球 > 10%),CD4+/CD8+> 3.5,またはその両方がみられる場合はサルコイドーシスの診断が示唆される。しかしながら,これらの所見がみられないことはサルコイドーシスを除外するものではない。

全身ガリウムシンチグラフィーは大部分がPETに取って代わられている。ガリウムシンチグラフィーが可能であれば,生検組織で確認できない場合に,診断を支持する有用な所見が得られることがある。縦隔および肺門リンパ節(ラムダ徴候),ならびに涙腺,耳下腺,および唾液腺(パンダ徴候)への対称性の取り込みの増加はサルコイドーシスを強く示唆するパターンである。プレドニゾンを服用している患者においては,スキャン結果陰性は信頼できない。

予後

自然寛解が一般的であるが,疾患の症状および重症度は非常に多様であり,多くの患者が経過中のいずれかの時点でコルチコステロイド投与を必要とする。したがって,再発がないかを確認するための繰り返しのモニタリングが必須である。自然寛解する患者の約90%は,診断後最初の2年以内に寛解する;このうち10%未満の患者では2年後に再発がみられる。2年以内に寛解しない患者は,疾患が慢性化する可能性が高い。

サルコイドーシスは最大30%の患者において慢性化すると考えられており,また10~20%で永続的な後遺症が残る。1~5%の患者では致死的であり,典型的には肺線維症による呼吸不全,および頻度はより低いがアスペルギローマによる肺出血が死因となる。しかしながら日本では,不整脈および心不全を引き起こす浸潤性心筋症が最も一般的な死因である。

肺外サルコイドーシスの患者および黒人では予後がより悪い。寛解は,胸郭外病変を伴わない場合,白人で89%および黒人で76%であり,胸郭外病変を伴う場合は白人で70%および黒人で46%である。

予後良好の徴候には以下のものが含まれる:

  • Löfgren症候群(急性多関節炎,結節性紅斑,および肺門リンパ節腫脹の三徴)

予後不良の徴候には以下のものが含まれる:

  • 慢性ぶどう膜炎

  • 凍瘡状狼瘡(びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス)

  • 慢性高カルシウム血症

  • 神経サルコイドーシス

  • 心病変

  • 広範囲にわたる肺病変

治療を受ける患者と無治療の患者との間では長期転帰にはほとんど差異が認められておらず,また治療終了時の再発が一般的である。

治療

  • NSAID

  • コルチコステロイド

  • ときに免疫抑制薬

サルコイドーシスはしばしば自然に消退するため,無症状の患者および症状が軽度の患者では治療を必要としないが,悪化徴候確認のためのモニタリングは続けるべきである。このような患者は,X線検査の反復,肺機能検査(肺拡散能の検査を含む),および胸郭外病変を示唆する指標の確認(例,ルーチンの腎機能および肝機能検査,毎年の細隙灯顕微鏡による眼検査)によってフォローアップできる。フォローアップ検査を行う頻度は疾患の重症度によって決まる。以下がみられる患者は,病期にかかわらず治療を要する:

  • 症状の悪化

  • 活動制限

  • 肺機能の著明な異常または悪化

  • X線上の懸念される変化(空洞,線維化,集塊性の腫瘤,肺高血圧の徴候)

  • 心,神経系,または眼病変

  • 腎または肝機能不全(あるいは腎または肝不全)

  • 中等症から重症の高カルシウム血症

  • 外観を損なう皮膚病変または関節疾患

筋骨格不快感の治療にNSAIDが用いられる。

疾患修飾療法はコルチコステロイドにより開始する。標準的プロトコルは,症状および所見の重症度に応じ,プレドニゾン0.3~1mg/kg,1日1回経口投与である。隔日投与も行われる(例,プレドニゾン40~60mg,1日おきに1回経口投与)。40mg/日を超える用量の投与を要することはまれであるが,心病変もしくは眼疾患または神経疾患を伴う患者では,合併症を減少させるためより高用量の投与を要する場合がある。治療への反応は通常2~4週以内にみられるため,症状および肺機能を4~12週の間に再評価する。慢性かつ潜行性の症例では,治療への反応はより緩徐である。治療への反応の証拠が得られた後,コルチコステロイドは維持量(例,プレドニゾン10~15 mg/日)まで漸減し,改善がみられれば最低6~12カ月間継続する。至適治療期間は不明である。尚早な漸減は再発を招くことがある。治療に反応しない,または反応がはっきりしない場合,薬剤を漸減し中止する。ほとんどの患者でコルチコステロイドは最終的に中止できるが,最大50%に再発がみられるため,通常3~6カ月毎にモニタリングを行うべきである。呼吸困難,関節痛,発熱,肝機能不全,不整脈,中枢神経系病変,高カルシウム血症,薬剤の局所投与でコントロールできない眼疾患,および外観を損なう皮膚病変などの症候が再発した場合,コルチコステロイド治療を再開すべきである。低用量のコルチコステロイドでACE産生が抑制されるため,ACEが高値の患者では,コルチコステロイド治療遵守を評価するための繰り返しの血清ACE測定が有用であることがある。

吸入コルチコステロイドは,気管支内病変を伴う患者の咳嗽を緩和しうる。局所コルチコステロイドは,皮膚,副鼻腔,および眼疾患に有用なことがある。

治療が必要な患者の約10%は耐えられる用量のコルチコステロイド投与に反応しないため,メトトレキサート10~15mg/週,6カ月の試験的投与を行うべきである。最初はメトトレキサートおよびコルチコステロイドを併用投与する;8週間かけてコルチコステロイドの用量を漸減でき,多くの場合は中止できる。しかしながらメトトレキサートに対する最大の反応を得るには,6~12カ月かかることがある。そのような場合は,プレドニゾンはより緩徐に漸減しなければならない。繰り返しの血算および肝酵素検査は,初期には1~2週毎,その後用量が安定すれば,4~6週毎に行う。メトトレキサートで治療中の患者には,葉酸(1mg,1日1回経口投与)が推奨される。

コルチコステロイドまたは免疫抑制薬を投与している場合は,Pneumocystis jirovecii肺炎の予防を考慮すべきである。

コルチコステロイド抵抗性がある,または有害作用の合併を経験する少数の患者において効果的であると報告されているその他の薬剤には,アザチオプリン,シクロホスファミド,クロラムブシル,クロロキンまたはヒドロキシクロロキン,サリドマイド,ペントキシフィリン,およびインフリキシマブなどがある。免疫抑制薬は,しばしば難治性の症例においてより高い効果が得られるが,投与中止後の再発が一般的である。TNF阻害薬であるインフリキシマブは,慢性でコルチコステロイド依存性の肺サルコイドーシス,難治性の凍瘡状狼瘡(びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス),および神経サルコイドーシスの治療に効果的である可能性がある。3~5mg/kgの静脈内投与を1回,2週間後に1回,その後1回/月のペースで行う。

ヒドロキシクロロキン200mg,1日2回の経口投与は,高カルシウム血症,外観を損なう皮膚サルコイドーシス,もしくは不快なまたは外観を損なう末梢リンパ節腫脹の治療に対し,コルチコステロイドと同程度の効果が得られる。

心病変による心ブロックまたは心室性不整脈を有する患者には,薬物療法と並行して,植込み型除細動器およびペースメーカーの植え込みを行うべきである。

肺線維化を継続的に予防する薬はまだ存在しない。

臓器移植は,肺,心,または肝の末期病変に対する選択肢の1つであるが,移植臓器において疾患が再発することがある。

要点

  • 全身性または肺外病変がサルコイドーシスでよくみられるが,成人患者では > 90%が肺病変を有する。

  • 胸部の画像撮影を行うが,診断は生検によって確定し,通常,縦隔または肺門リンパ節の超音波ガイド下経気管支穿刺吸引を行う。

  • 肺機能検査および運動時パルスオキシメトリーにより,肺病変の重症度を評価する。

  • 肺外病変の検査として,心電図,細隙灯顕微鏡による眼検査,腎および肝機能検査,ならびに血清および尿中Ca濃度測定を行う。

  • 適応のある場合(例,症状が重症,高カルシウム血症,臓器機能低下の進行,心または神経病変)は,コルチコステロイドの全身投与により治療する。

  • 患者が中用量のコルチコステロイドに耐えられない場合,サルコイドーシスがコルチコステロイド耐性である場合,または長期間のコルチコステロイド投与が必要となる場合は,免疫抑制薬により治療する。

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