特発性肺ヘモジデローシスは,基礎疾患を同定できない再発性の びまん性肺胞出血 びまん性肺胞出血 びまん性肺胞出血は持続性または再発性の肺出血である。数多くの原因があるが,自己免疫疾患が最も一般的である。患者の多くは呼吸困難,咳嗽,喀血,および胸部画像検査において新しい肺胞浸潤影を呈する。疑いのある原因に対して診断検査を行う。治療は,自己免疫性の原因をもつ患者に対しては免疫抑制薬によって行い,また必要があれば呼吸補助を行う。... さらに読む を引き起こすまれな病気である;主に10歳未満の小児に起こる。特発性肺ヘモジデローシスの患者では,繰り返す肺胞出血により結果として肺ヘモジデローシスおよび肺線維症が引き起こされることがある。
この疾患は,肺胞毛細血管内皮の障害(可能性として,自己免疫性の損傷による)に起因すると考えられている。患者の多くは セリアック病 セリアック病 セリアック病は,遺伝的感受性を有する者に免疫を介して発生する疾患で,グルテン不耐症によって引き起こされ,粘膜炎症および絨毛萎縮が生じ,その結果,吸収不良を来す。症状としては通常,下痢や腹部不快感などがみられる。診断は小腸生検により行い,生検では特徴的であるが非特異的な病理的変化である絨毛萎縮が示され,この変化は厳格なグルテン除去食で消失する。 セリアック病は 吸収不良を引き起こす疾患である。... さらに読む を有する。
症状と徴候
小児における特発性肺ヘモジデローシスの症状および徴候には,再発性の 呼吸困難 呼吸困難 呼吸困難とは,不快または苦しさを感じる呼吸である。患者による呼吸困難の感じ方および訴え方は原因によって異なる。 呼吸困難は比較的頻度の高い症状であるが,呼吸に伴う不快感の病態生理はほとんど解明されていない。他の種類の有害な刺激に対する受容器とは異なり,呼吸困難に特化した受容器は存在しない(ただし,MRIを用いた最近の研究では,呼吸困難の知覚を仲介している可能性のある特定の領域が中脳でいくつか同定されている)。... さらに読む のエピソードおよび 咳嗽 小児の咳嗽 咳嗽は,気道からの分泌物除去を助け,異物誤嚥から気道を保護し,疾患の症状にもなりうる1つの反射である。咳嗽は,親が子を受診させる最も多い愁訴の1つである。 咳嗽の原因は,症状が急性( 4週)か慢性かによって異なる( Professional.see table 小児における咳嗽の主な原因)。 急性咳嗽の場合,最も頻度の高い原因は以下のものである: ウイルス性 上気道感染症 慢性咳嗽の場合,最も頻度の高い原因は以下のものである: さらに読む などがあり,特に初期には乾性咳嗽がみられる。その後,喀血が起こる。特発性肺ヘモジデローシスの小児は 発育不良 発育不良(failure to thrive[FTT]) 発育不良とは,年齢と性別に応じた体重に対して一貫して3~5パーセンタイル未満にあるか,体重が進行性に減少し3~5パーセンタイル未満になる,または短期間に2つの主要な成長指標のパーセンタイル順位が降下することである。医学的原因が明らかな場合もあれば,環境因子が関与する場合もある。いずれのタイプも不十分な栄養と関係している。治療は適切な栄養状態へ戻すことを目標とする。 病因が何であれ,発育不良(FTT)の生理学的基礎は... さらに読む および 鉄欠乏性貧血 鉄欠乏性貧血 鉄欠乏症は貧血の最も一般的な原因であり,通常は失血の結果として起こり,吸収不良ははるかにまれな原因である。症状は通常非特異的である。赤血球は小球性および低色素性の傾向を示し,血清フェリチン低値,血清総鉄結合能高値,および血清鉄低値で示されるように,貯蔵鉄量は低値である。この診断を下した場合は,他の原因が証明されない限り潜在的な失血を疑うべきである。治療としては,鉄補充に加え,失血の原因に対する治療がある。... さらに読む のみを呈することがある。成人における最も一般的な症状は,肺出血および鉄欠乏性貧血による労作時呼吸困難および疲労である。
診断
気管支肺胞洗浄
特発性肺ヘモジデローシスの診断は,特徴的な臨床所見の組合せ,鉄欠乏性貧血,および気管支肺胞洗浄(BAL)液または肺生検の検体におけるヘモジデリン貪食マクロファージを証明することに加え,小血管の血管炎(肺毛細血管炎)など,病態を説明できる他の疾患の存在する証拠が認められないことが必要である;他の所見によって結論が出なければ,肺生検で診断を確定する。
治療
コルチコステロイド
コルチコステロイドは,急性の肺胞出血の発生率とそれによる死亡率を減少させ,肺線維症の進行を抑制する可能性がある。一部の患者では免疫抑制薬を追加する必要がある。
セリアック病の患者では,グルテン除去食が必要である。