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腎静脈血栓症

腎静脈血栓症は主要な腎静脈の一側性または両側性の血栓性閉塞で,急性腎障害または慢性腎臓病を生じる。一般的な原因は,ネフローゼ症候群,原発性の凝固亢進性疾患,悪性腎腫瘍,外因性圧迫,外傷,まれに炎症性腸疾患である。腎不全の症状,およびときに悪心,嘔吐,側腹部痛,肉眼的血尿,尿量低下または静脈血栓塞栓症の全身症状が起こる場合がある。診断はCT,MRアンギオグラフィー,または腎静脈造影による。治療をした場合の予後は,一般に良好である。治療は抗凝固療法,腎機能の維持,基礎疾患の治療である。一部の患者では血栓除去術または腎摘出術が有益である。

病因

腎静脈血栓症は通常,膜性腎症 膜性腎症 膜性腎症は,免疫複合体が糸球体基底膜(GBM)に沈着し,GBM肥厚を伴う。原因は通常不明であるが,続発性の原因として薬物,感染症,自己免疫疾患,がんなどがある。臨床像は,良性の尿沈渣所見を伴った浮腫および重度タンパク尿の潜行性の発生,腎機能正常,血圧正常または高値などである。診断は腎生検による。自然寛解がよくみられる。進行のリスクが高い患者の治療は,通常はコルチコステロイドおよびシクロホスファミドまたはクロラムブシルによる。... さらに読む 膜性腎症 (最も多い),微小変化群,膜性増殖性糸球体腎炎 膜性増殖性糸球体腎炎 膜性増殖性糸球体腎炎は,腎炎とネフローゼが混合した特徴と顕微鏡的所見を共有する非均一的な疾患群である。ほとんどが小児で発生する。原因は免疫複合体の沈着で,特発性または全身性疾患への続発性である。診断は腎生検による。予後は一般的に不良である。治療は,適応の場合はコルチコステロイドおよび抗血小板薬による。 (ネフローゼ症候群の概要も参照のこと。) 膜性増殖性糸球体腎炎は,光学顕微鏡検査での糸球体基底膜(GBM)の肥厚および増殖性変化を組織学... さらに読む 膜性増殖性糸球体腎炎 に関連するネフローゼ症候群 ネフローゼ症候群の概要 ネフローゼ症候群では,糸球体疾患が原因で尿タンパク排泄量が3g/日を超え,これに浮腫および低アルブミン血症が伴う。小児でより多くみられ,原発性および続発性いずれの原因もある。診断は随時尿検体の尿タンパク/クレアチニン比測定または24時間蓄尿での尿タンパクの測定により,原因は病歴,身体診察,血清学的検査,腎生検に基づき診断される。予後および治療は原因によって異なる。 (糸球体疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む を原因とする局所および全身性の凝固亢進によって起こる。ネフローゼ症候群に起因する血栓症のリスクは,低アルブミン血症の重症度と比例するようにみえる。過剰に積極的な利尿または長期の高用量コルチコステロイド投与は,これらの状態を有する患者で腎静脈の血栓症に寄与している可能性がある。

その他の原因としては以下のものがある:

症状と徴候

診断

  • 血管画像検査

腎梗塞または原因不明の腎機能増悪を呈する患者,特にネフローゼ症候群またはその他の危険因子を有する患者では,腎静脈血栓症を考慮すべきである。

従来からの第1選択かつ標準の診断検査は,下大静脈の静脈造影であり,この検査は診断が可能であるが,血栓を移動させる可能性がある。従来法の静脈造影にはリスクがあることから,磁気共鳴静脈造影およびドプラ超音波検査 ドプラ 超音波検査では,信号発生器がトランスデューサーと一体になっている。信号発生器内部の圧電結晶が電気を高周波の音波に変換し,これが組織内に送られる。組織は音波を様々な程度で散乱,反射,および吸収する。反射されて返ってきた音波(エコー)が電気信号に変換される。コンピュータがこの信号を分析し,画面上に解剖学的画像を表示する。 超音波検査は機器の持ち運びが可能であり,広く利用でき,比較的安価で,安全である。放射線は使用しない。... さらに読む ドプラ の使用がますます増加している。磁気共鳴静脈造影は,糸球体濾過量(GFR)が30mL/minを超えていれば施行できる。ドプラ超音波検査は,ときには腎静脈血栓症を検出するが,偽陰性率および偽陽性率が高い。側副静脈の拡張に起因する尿管の陥凹は,一部の慢性症例では特徴的な所見である。

顕微鏡的血尿がしばしば認められる。タンパク尿はネフローゼレベルに達することがある。

予後

治療

  • 基礎疾患の治療

  • 抗凝固療法

  • ときに経皮的カテーテルベースの血栓除去または血栓溶解療法

基礎疾患を治療すべきである。

腎静脈血栓症の治療選択肢としては,ヘパリンによる抗凝固療法,血栓溶解療法,カテーテルベースまたは外科的な血栓除去などがある。侵襲的介入の計画がない場合は,低分子ヘパリンまたは経口ワルファリンによる長期抗凝固療法を直ちに開始すべきである。抗凝固療法は,新規の血栓のリスクを最小限に抑え,血栓が既存する血管の再開通を促進し,腎機能を改善する。抗凝固療法は少なくとも6~12カ月間継続し,凝固亢進性疾患(例,持続性ネフローゼ症候群 ネフローゼ症候群の概要 ネフローゼ症候群では,糸球体疾患が原因で尿タンパク排泄量が3g/日を超え,これに浮腫および低アルブミン血症が伴う。小児でより多くみられ,原発性および続発性いずれの原因もある。診断は随時尿検体の尿タンパク/クレアチニン比測定または24時間蓄尿での尿タンパクの測定により,原因は病歴,身体診察,血清学的検査,腎生検に基づき診断される。予後および治療は原因によって異なる。 (糸球体疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む )が存在する場合には無期限に継続する。

血栓除去または血栓溶解のための経皮的カテーテルの使用が現在推奨されている。外科的血栓除去の使用はまれであるが,急性両側性腎静脈血栓症および急性腎障害を呈し,経皮的カテーテルによる血栓除去および/または血栓溶解療法による治療が不可能な患者では,考慮すべきである。

腎摘出術は,梗塞が全体に及ぶ場合か(一部の症例),または基礎疾患により正当化される場合にのみ施行される。

要点

  • 腎静脈血栓症で最も一般的な原因は,膜性腎症に関連するネフローゼ症候群である。

  • 腎梗塞または原因不明の何らかの腎機能増悪を呈する患者,特にネフローゼ症候群またはその他の危険因子を有する患者では,腎静脈血栓症を考慮する。

  • 血管画像検査,通常は磁気共鳴静脈造影(GFRが30mL/minを超える場合)またはドプラ超音波検査により診断を確定する。

  • 基礎疾患を治療し,抗凝固療法,血栓溶解療法,血栓除去を開始する。

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