(ネフローゼ症候群の概要 ネフローゼ症候群の概要 ネフローゼ症候群では,糸球体疾患が原因で尿タンパク排泄量が3g/日を超え,これに浮腫および低アルブミン血症が伴う。小児でより多くみられ,原発性および続発性いずれの原因もある。診断は随時尿検体の尿タンパク/クレアチニン比測定または24時間蓄尿での尿タンパクの測定により,原因は病歴,身体診察,血清学的検査,腎生検に基づき診断される。予後および治療は原因によって異なる。 ( 糸球体疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む も参照のこと。)
HIV関連腎症(HIVAN)は ネフローゼ症候群 ネフローゼ症候群の概要 ネフローゼ症候群では,糸球体疾患が原因で尿タンパク排泄量が3g/日を超え,これに浮腫および低アルブミン血症が伴う。小児でより多くみられ,原発性および続発性いずれの原因もある。診断は随時尿検体の尿タンパク/クレアチニン比測定または24時間蓄尿での尿タンパクの測定により,原因は病歴,身体診察,血清学的検査,腎生検に基づき診断される。予後および治療は原因によって異なる。 ( 糸球体疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む の一種であり,黒人のHIV感染患者で注射薬物使用者,または抗レトロウイルス療法に対する服薬コンプライアンスが不良であった患者でより多くみられると考えられる。腎細胞のHIV感染が寄与する可能性がある。
ほとんどの臨床所見は 巣状分節性糸球体硬化症 症状と徴候 巣状分節性糸球体硬化症は,点在する(分節性の)メサンギウム硬化症で,糸球体の全体ではなく一部において(巣状に)始まり,最終的に全ての糸球体が罹患する。同疾患は,ほとんどが特発性であるが,ヘロインまたは他の薬物の使用,HIV感染,肥満,鎌状赤血球症,アテローム塞栓症,ネフロン喪失(例,逆流性腎症,腎亜全摘,または腎形成異常)に続発する場合がある。主に青年に発生するが,若年成人および中年成人にも発生する。患者はタンパク尿,軽度の血尿,高血圧... さらに読む と同様であるが,高血圧の発生頻度は低く,腎臓は大きいままである。
大半の患者で末期腎臓病への急速な進行が1~4カ月以内に起こる。
診断
腎生検
ネフローゼ症候群または腎症を呈し,かつAIDSと診断されているかAIDSの症状がみられる患者では,HIVANを疑う。HIVANは,HIV感染者で高頻度に発生し腎疾患をもたらす他の多くの疾患とは鑑別されるべきであり,これには血栓性微小血管症(溶血性尿毒症症候群および血栓性血小板減少性紫斑病),免疫複合体性糸球体腎炎,薬剤性間質性腎炎(インジナビルおよびリトナビルに起因)および横紋筋融解症(スタチン系薬剤に起因)などがある。
超音波検査を施行した場合,腎は拡大しエコー輝度が高い。
典型的には腎生検を施行する。光学顕微鏡検査は,毛細管の多様な重症度の虚脱(虚脱型糸球体症)およびメサンギウム基質の様々な程度の増加を示す。尿細管細胞は,著明な退行性変化と尿細管萎縮または小嚢胞状拡張を示す。間質の免疫細胞浸潤,線維化,および浮腫が一般的に認められる。 SLE 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデス(SLE)は,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー現象,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよびときに免疫抑制薬を必要とする。... さらに読む におけるものと同様の管状網状封入体が内皮細胞内に認められるが,より効果的なHIV療法により,現在ではまれである。
巣状分節性糸球体硬化症からHIVANを鑑別する際には,正常血圧および持続的な腎腫大が有用である。
治療
HAART(highly active antiretroviral therapy)およびACE阻害薬
HIV感染症のコントロールは腎障害を最小限にする上で有用であると考えられる;実際,HAARTを受けHIV感染症が良好にコントロールされている患者では,HIVANはまれである。ACE阻害薬は,いくらか有益と考えられる。コルチコステロイドの役割は十分に定義されていない。 透析 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデス(SLE)は,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー現象,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよびときに免疫抑制薬を必要とする。... さらに読む が通常必要である。移植後の転帰は,一部の医療施設では極めて良好である。