Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

細線維性糸球体腎炎とイムノタクトイド糸球体症

執筆者:

Frank O'Brien

, MD, Washington University in St. Louis

医学的にレビューされた 2020年 1月
ここをクリックすると、 家庭版の同じトピックのページに移動します
本ページのリソース

細線維性糸球体腎炎とイムノタクトイド糸球体症は,病理学的にはアミロイドではないミクロフィブリルまたは微小管構造物が腎臓のメサンギウムおよび基底膜に沈着する病態と定義される,まれな疾患である。

細線維性糸球体腎炎とイムノタクトイド糸球体症は関連疾患と考える専門家もいる。これらの疾患は腎生検の約0.6%で発見され,男女差なく発生し,これまで10歳以上の患者で報告されている。診断時の平均年齢は約45歳である。機序は不明であるが,免疫グロブリン,特にIgGのκおよびλ軽鎖ならびに補体(C3)の沈着から,免疫系の機能障害が示唆される。患者はがん,異常タンパク血症,クリオグロブリン血症,形質細胞疾患,C型肝炎, 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー症候群,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよび免疫抑制薬を必要とする。 全症例のうち,70~90%が女性(通常妊娠可能年齢)に起こる。... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) を併発する場合があり,あるいは全身性疾患の所見を伴わない原発性腎疾患を有することもある。特にイムノタクトイド糸球体腎炎は,一般的に 慢性リンパ性白血病 慢性リンパ性白血病(CLL) 慢性リンパ性白血病(CLL)は,表現型的に成熟した悪性Bリンパ球が進行性に蓄積していくことを特徴とする。本疾患の原発部位としては,末梢血,骨髄,脾臓,およびリンパ節がある。症状および徴候は,認められない場合もあるが,リンパ節腫脹,脾腫,肝腫大,疲労,発熱,盗汗,意図しない体重減少,早期満腹感などが認められる場合もある。診断は末梢血でのフローサイトメトリーおよび細胞表面マーカー検査による。治療は症状が現れるまで待機し,一般に化学療法と免疫... さらに読む および B細胞リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫は,網内系およびリンパ系から発生する不均一な一群の腫瘍である。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別される( ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の比較の表を参照)。 リンパ腫はかつて, 白血病とは全く異なる疾患と考えられていた。しかし現在では,細胞マーカーとそれらのマーカーを評価するツールについて理解が深まったことで,これら... さらに読む と関連している。

診断

  • 腎生検

通常,血清C3およびC4が測定され,ときに低下している。

生検検体の光学顕微鏡検査では,無定形の好酸性沈着物と軽度のメサンギウム細胞増殖によりメサンギウム領域の拡大を認める。様々な他の変化が光学顕微鏡検査で認められる可能性がある(例,半月体形成,膜性増殖性パターン)。コンゴレッド染色では,アミロイドは陰性である。免疫染色では,沈着物の領域にIgGおよびC3,ときにκおよびλ軽鎖が示される。

電子顕微鏡検査では,細胞外の伸長した非分岐性のミクロフィブリルまたは微小管で構成された糸球体沈着物を認める。細線維性糸球体腎炎では,ミクロフィブリルおよび微小管の直径は20~30nmである。イムノタクトイド糸球体腎炎では,ミクロフィブリルおよび微小管の直径は30~50nmである。それに対し,アミロイドーシスでは原線維は8~12nmである。

細線維性糸球体腎炎からイムノタクトイドの鑑別は,一部の専門家は沈着物中の微小管(より小型のミクロフィブリルではなく)構造の存在によって行い,他の専門家は関連する全身性疾患がイムノタクトイド糸球体腎炎では存在することによって行う。例えば,リンパ増殖性疾患,単クローン性免疫グロブリン血症,クリオグロブリン血症,または 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー症候群,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよび免疫抑制薬を必要とする。 全症例のうち,70~90%が女性(通常妊娠可能年齢)に起こる。... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) は,イムノタクトイド糸球体腎炎を示唆する。

細線維性糸球体腎炎

予後

治療

  • エビデンスはないものの,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB),免疫抑制薬および/またはコルチコステロイドを考慮する

特異的な治療法を裏付けるエビデンスはないものの,タンパク尿を低下させるためACE阻害薬およびARBを使用することができる。免疫抑制薬は,症例報告のエビデンスに基づいて使用されているものの,中心的な治療法ではなく,血清補体価が低下している場合はコルチコステロイドの方がより効果が大きくなる可能性がある。本疾患は移植後に再発する場合がある。

ここをクリックすると、 家庭版の同じトピックのページに移動します
家庭版を見る
quiz link

Test your knowledge

Take a Quiz! 
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
TOP