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腎細胞癌

(腎腺癌)

執筆者:

Viraj A. Master

, MD, PhD, Emory University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2019年 9月
本ページのリソース

腎細胞癌(RCC)は,最も頻度の高い腎癌である。症状としては,血尿,側腹部痛,触知可能な腫瘤,不明熱などがみられる。しかしながら,症状はしばしば認められないため,診断は通常所見の偶然の発見に基づいて疑われる。診断はCTまたはMRI,ときに生検により確定される。治療は早期疾患に対しては手術,進行した疾患に対しては分子標的療法,実験的プロトコル,緩和治療による。

RCCは腺癌であり,原発性悪性腎腫瘍の90~95%を占める。比較的頻度の低い原発性腎腫瘍としては,移行上皮癌,ウィルムス腫瘍(ほとんどが小児),肉腫などがある。

米国では,RCCおよびその他の腎腫瘍が毎年新たに約73,820例発生し,14,770例が死亡している(2019年の推定値)。RCCの発生率は男性の方がわずかに高い(男女比が約3:2)。発症年齢は通常50~70歳である。危険因子としては以下のものがある:

  • 喫煙,リスクは2倍(患者の20~30%)

  • 肥満

  • フェナセチンの過剰使用

  • 透析患者の後天性嚢胞性腎疾患

  • 特定の造影剤,アスベスト,カドミウム,皮革なめしおよび石油製品への曝露

  • 一部の家族性症候群,特にフォン・ヒッペル-リンドウ病

RCCは,腎静脈で血栓形成を誘発する可能性があり,ときとして大静脈に進展する。腫瘍の静脈壁浸潤は,まれである。RCCは,ほとんどの場合リンパ節,肺,副腎,肝,脳,骨に転移する。

症状と徴候

症状は通常後期まで出現せず,その時点で腫瘍はすでに拡大し転移している可能性がある。肉眼的または顕微鏡的血尿が最も頻度の高い臨床像であり,その次に側腹部痛,不明熱,触知可能な腫瘤が多い。ときに区域性虚血または腎茎圧迫のため高血圧がもたらされる。腫瘍随伴症候群が20%の患者で発生する。エリスロポエチンの活性亢進によって赤血球増多が生じる可能性がある。一方,貧血も起きることがある。高カルシウム血症がよくみられ,治療が必要になる場合がある。血小板増多症,悪液質,続発性アミロイドーシスが発生する可能性がある。

診断

  • 造影CTまたはMRI

ほとんどの場合,腎腫瘤は他の理由で施行された腹部画像検査(例,CT,超音波検査)で偶然検出される。その他の場合には,診断は臨床所見から示唆され,放射線造影剤の注入前後の腹部CTまたはMRIにより確認される。(泌尿生殖器の画像検査を参照のこと。)放射線造影剤によって強調される腎腫瘤は腎細胞癌(RCC)を強く示唆する。CTおよびMRIでは,局所の進展ならびにリンパ節および静脈の関与に関する情報が得られる。MRIは腎静脈と大静脈への進展に関する詳しい情報が得られるため,下大静脈造影に取って代わっている。超音波検査および排泄性尿路造影では,腫瘤が描出されることはあるが,CTまたはMRIと比較して,腫瘤の特徴や病変の進展範囲について得られる情報は少ない。

しばしば,良性の腫瘤と悪性の腫瘤はX線撮影で鑑別できるが,ときに確定診断のために手術が必要となる。針生検は所見が不確かな場合には感度が十分ではないことから,その施行が推奨されるのは,分離した腫瘤ではなく浸潤性のパターンが存在する場合,腎腫瘤が別の既知の癌の転移である可能性がある場合,またはときに転移に対する化学療法前の確定診断を目的に行う場合のみである。

手術の前,特に腎温存手術の前には3次元CT,CT血管造影,またはMRアンギオグラフィーを施行し,RCCの性質を明確にし,存在する腎動脈の数をより正確に判定し,血管パターンを描写する。(泌尿生殖器の画像検査を参照のこと。)これらの画像検査技術は,大動脈造影および選択的腎動脈血管造影に取って代わっている。

胸部X線と肝機能検査は必須である。胸部X線が異常の場合,胸部CTを施行する。アルカリホスファターゼ値が上昇した場合は,骨シンチグラフィーが必要である。血清電解質,血中尿素窒素(BUN),クレアチニン,カルシウムを測定する。BUNおよびクレアチニンは,両腎が罹患した場合を除き,影響を受けない。

病期分類

評価で得られた情報から暫定的な病期診断が可能となる。TNM(tumor, node, metastasis)分類は最近,より正確なものへと洗練されている(腎細胞癌のAJCC/TNM病期分類および腎細胞癌のTNM分類の定義の各表を参照)。診断時には,RCCは45%が限局性,約33%が局所浸潤性であり,25%が遠隔臓器に転移している。

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腎細胞癌のAJCC/TNM*病期分類

病期

原発腫瘍

所属リンパ節転移

遠隔転移

I期

T1

N0

M0

II期

T2

N0

M0

III期

T1,T2

N1

M0

T3

N0,N1

M0

IV期

T4

Nは問わない

M0

Tは問わない

Nは問わない

M1

* AJCC/TNM分類の定義については,腎細胞癌のTNM分類の定義の表を参照のこと。

AJCC = American Joint Commission on Cancer;TNM = tumor, node, metastasis。

Adapted from Amin MB, Edge S, Greene F, Byrd DR, et al: AJCC Cancer Staging Manual, 8th edition.New York, Springer, 2018.

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腎細胞癌のTNM分類の定義

特徴

定義

原発腫瘍

TX

原発腫瘍を評価するための情報がない

T0

原発腫瘍の所見を認めない

T1

最大径が7cm以下である

腎臓に限局している

T1a

最大径が4cm以下である

T1b

最大径が4cm超かつ7cm以下である

T2

最大径が7cm以上である

腎臓に限局している

T2a

最大径が7cm超かつ10cm以下である

T2b

最大径が10cm超である

T3

主要静脈に進展しているか,腎周囲組織に浸潤しているが,Gerota筋膜は越えておらず,副腎浸潤もない

T3a

腎静脈または腎静脈分枝に進展しているか,腎周囲および/または腎洞脂肪組織に浸潤しているが,Gerota筋膜は越えていない

T3b

腫瘍が大静脈(心臓につながる太い静脈)の腹腔内の部分まで増殖している

T3c

腫瘍が大静脈の胸腔内の部分まで増殖している,または大静脈の壁内に増殖している

T4

腫瘍がGerota筋膜(腎臓と周辺の脂肪組織を取り巻く線維性の層)を越えて進展している腫瘍が副腎(腎臓の上にある)内に増殖している可能性がある

所属リンパ節転移

NX

評価できない

N0

なし

N1

あり

遠隔転移

M0

なし

M1

遠隔転移あり,遠隔リンパ節転移を含む

TNM = tumor, node, metastasis。

Data from Amin MB, Edge S, Greene F, Byrd DR, et al: AJCC Cancer Staging Manual, 8th edition.New York, Springer, 2018.

予後

5年生存率の範囲は,American Joint Commission on Cancer(AJCC)病期分類I期(T1 N0 M0)の約81%から,IV期(T4またはM1)の8%までである。転移性または再発腎細胞癌(RCC)患者の予後は,通常は治療しても治癒が得られないため不良であるが,症状の緩和に治療が有用となる場合がある。

治療

  • 早期腎細胞癌(RCC)には手術治療

  • 進行RCCには緩和療法または実験的プロトコル

根治的治療

根治的腎摘出術(腎臓,副腎,腎周囲脂肪組織,およびGerota筋膜を切除する)は,限局性RCCに対する標準治療であり,一定以上の確率で治癒をもたらす。開腹手術と腹腔鏡手術の成績は同等であるが,回復は腹腔鏡手術の方が迅速である。腎温存手術(腎部分切除術)が多くの患者で可能かつ適切であり,腫瘍の大きさが4~7cm未満の場合は対側腎が正常な患者でも適切である。腎部分切除術は,根治的腎摘出術と比較して慢性腎臓病の発生率が低いことから,選択されることが増えてきている。凍結(凍結手術)または熱エネルギー(ラジオ波焼灼術)という手術以外の方法で腎腫瘍を破壊する治療は,しばしば経皮的に行われるが,現時点で一次治療法としては推奨されていない。これらの治療法は高度に選択された患者のみに施行されているが,その効力や適応に関する長期のデータはまだ得られていない。

腎静脈および大静脈が関与する腫瘍は,リンパ節または遠隔転移がない場合,手術によって治癒しうる。

両腎が侵されている場合は,技術的に可能ならば,両側の根治的腎摘出術よりも一側または両側の腎部分切除術の方が望ましい。

放射線療法はもはや腎摘出術と併用されなくなっているが,小さな腎腫瘤に対する体幹部定位放射線治療が探索的に検討されている。

アジュバント療法としての全身療法は,複数の臨床試験で生存期間を延長しなかったが,S-TRAC試験においてアジュバント療法としてスニチニブを投与された患者で無病生存期間の改善がみられたことから,スニチニブは高リスク患者における切除後の使用が承認された(1)

緩和治療

緩和治療としては,腎摘出術や腫瘍塞栓術などのほか,外照射療法を行うこともある。転移巣の切除は症状緩和をもたらし,転移巣の数が少ない場合には,一部の患者,特に初回治療(腎摘出術)から転移発生までの期間が長い患者において,生存期間の延長をもたらす。転移性RCCは従来,放射線抵抗性と特徴づけられてきたが,RCCが骨に転移している場合には放射線療法は緩和的な可能性がある。

一部の患者では薬物療法が腫瘍を縮小し延命をもたらす。約10~20%の患者はインターフェロンα-2bまたはIL-2に反応するが,持続的な反応は5%未満である。多くの分子標的療法に進行癌に対する効力が示されている:スニチニブ,ソラフェニブ,ベバシズマブ,パゾパニブ,カボザンチニブ,アキシチニブ,およびレンバチニブ(チロシンキナーゼ阻害薬)と,mTOR(mammalian target of rapamycin)を阻害するテムシロリムスおよびエベロリムス。

分子標的療法の施行中に進行した転移性RCCに対して利用可能な最新の全身療法は,ニボルマブおよびペムブロリズマブである。これらの抗PD-1モノクローナル抗体は,腫瘍細胞と腫瘍浸潤T細胞の間で起きるPD-1/PD-L1の相互作用を阻害し,抗腫瘍免疫応答を含む免疫応答がPD-1経路を介して阻害される反応を遮断することによって作用する。ニボルマブは,チロシンキナーゼ阻害薬による治療歴がある進行RCC患者において,エベロリムスと比較して全生存期間を5.4カ月延長する(25.0 vs 19.6カ月;P < 0.002)ことが示されている(2)。ニボルマブ/イピリムマブの併用は,未治療かつ中リスクおよび高リスクの転移性RCC患者において,全生存期間でスニチニブより優れた成績を示すことが最近示されている(3)。同様に,ペムブロリズマブ/アキシチニブの併用は,スニチニブと比較して全リスク群で全生存期間,無増悪生存期間,および客観的奏効率を改善し,より優れた成績を示した(4)。どちらの併用療法も転移性腎癌患者に対する一次治療に現在用いられている。

その他の治療法は実験段階にある。具体的には造血幹細胞移植,その他のインターロイキン,血管新生阻害療法(例,サリドマイド),ワクチン療法などがある。従来法の化学療法薬の単独または併用投与,およびプロゲスチンは無効である。

全身療法前の腫瘍縮小腎摘除術(cytoreductive nephrectomy)については,腫瘍縮小腎摘除術 + その後のスニチニブをスニチニブ単独と比較したランダム化第III相試験であるCARMENA(Clinical Trial to Assess the Importance of Nephrectomy)により,スニチニブ単独で治療した場合でも生存期間が不良とならなかったことが示されているため,議論がある(5)

RCCの遺伝学的亜型に関する知見が蓄積されるにつれて,管理の推奨はより特異的なものへと進化している。

治療に関する参考文献

要点

  • RCCは腺癌であり,原発性悪性腎腫瘍の90~95%を占める。

  • 通常,症状(ほとんどが肉眼的または顕微鏡的血尿)は腫瘍が増大または転移するまで出現しないことから,偶然発見されるのが一般的である。

  • RCCはMRIまたは造影CTにより診断し,さらに胸部X線および肝機能検査を施行する。

  • ほとんどの限局性RCCの治療は根治的腎摘出術による。

  • 進行RCCは併用免疫療法,分子標的療法,インターフェロンα-2bもしくはIL-2,緩和的放射線療法,および/または手術で治療する。

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