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細菌性尿路感染症(UTI)

執筆者:

Talha H. Imam

, MD, University of Riverside School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 6月
患者さん向けの 同じトピックページ はこちら

細菌性UTIは,尿道,前立腺,膀胱,または腎臓で発生する。症状は認められない場合もあれば,頻尿,尿意切迫,排尿困難,下腹部痛,および側腹部痛がみられる場合もある。腎臓の感染では,全身症状や敗血症が発生する場合もある。診断は尿の分析および培養に基づく。治療は抗菌薬投与と尿路カテーテルの抜去および閉塞の解除による。

(Professional.See also page 尿路感染症(UTI)に関する序論 尿路感染症(UTI)に関する序論 尿路感染症(UTI)は,腎臓(腎盂腎炎)が侵される上部尿路感染症と,膀胱(膀胱炎),尿道(尿道炎),および前立腺(前立腺炎)が侵される下部尿路感染症に分類される。しかしながら,実際には(特に小児では)感染部位の鑑別が困難または不可能な場合もある。さらに,感染はしばしば1つの領域から別の領域へと拡大する。尿道炎と前立腺炎も尿路が侵される感染... さらに読む グラム陰性桿菌 グラム陰性桿菌に関する序論 グラム陰性桿菌は数多くの感染症の原因となる。一部は共生微生物で腸内常在菌叢中に存在する。これらの共生微生物に加えて,動物または環境病原巣に存在する他の微生物が疾患を引き起こす場合もある。 尿路感染症,下痢, 腹膜炎,および血流感染症は,一般的にグラム陰性桿菌によって引き起こされる。... さらに読む 前立腺炎 前立腺炎 前立腺炎とは,主に刺激性または閉塞性の泌尿器症状と会陰部痛の組合せとして出現する多様な疾患群を指す。一部の症例は前立腺の細菌感染が原因であり,より頻度の高い他の一群の症例では,非感染性の炎症因子,尿生殖隔膜筋の攣縮,またはその両方に起因するが,まだ十分に解明されていない。診断は臨床的に行い,前立腺マッサージの前後に採取した尿検体の鏡検および培養も併用する。原因が細菌性の場合,治療は抗菌薬による。原因が非細菌性の場合,治療は温坐浴,筋弛緩... さらに読む ;および小児の尿路感染症 小児における尿路感染症(UTI) 尿路感染症(UTI)は,カテーテル採尿による尿検体中で5 × 104コロニー/mL以上,または年長児では複数回の尿検体で105コロニー/mL以上の病原体を認める場合と定義される。幼児においては,しばしば解剖学的異常に関連するUTIが発生する。UTIは発熱,発育不良,側腹部痛,および敗血症徴候を引き起こすことがあり,これらは特に幼児でよくみられる。治療は抗菌薬による。フォローアップとして尿路画像検査を行う。... さらに読む

20~50歳の成人では,UTIは女性の方が約50倍多くみられる。この年齢層の女性では,ほとんどのUTIが膀胱炎 膀胱炎 細菌性UTIは,尿道,前立腺,膀胱,または腎臓で発生する。症状は認められない場合もあれば,頻尿,尿意切迫,排尿困難,下腹部痛,および側腹部痛がみられる場合もある。腎臓の感染では,全身症状や敗血症が発生する場合もある。診断は尿の分析および培養に基づく。治療は抗菌薬投与と尿路カテーテルの抜去および閉塞の解除による。 (Professional.See also page 尿路感染症(UTI)に関する序論;グラム陰性桿菌;前立腺炎;および小児... さらに読む または腎盂腎炎 急性腎盂腎炎 細菌性UTIは,尿道,前立腺,膀胱,または腎臓で発生する。症状は認められない場合もあれば,頻尿,尿意切迫,排尿困難,下腹部痛,および側腹部痛がみられる場合もある。腎臓の感染では,全身症状や敗血症が発生する場合もある。診断は尿の分析および培養に基づく。治療は抗菌薬投与と尿路カテーテルの抜去および閉塞の解除による。 (Professional.See also page 尿路感染症(UTI)に関する序論;グラム陰性桿菌;前立腺炎;および小児... さらに読む である。同じ年齢層の男性では,ほとんどのUTIが尿道炎 尿道炎 細菌性UTIは,尿道,前立腺,膀胱,または腎臓で発生する。症状は認められない場合もあれば,頻尿,尿意切迫,排尿困難,下腹部痛,および側腹部痛がみられる場合もある。腎臓の感染では,全身症状や敗血症が発生する場合もある。診断は尿の分析および培養に基づく。治療は抗菌薬投与と尿路カテーテルの抜去および閉塞の解除による。 (Professional.See also page 尿路感染症(UTI)に関する序論;グラム陰性桿菌;前立腺炎;および小児... さらに読む または前立腺炎 前立腺炎 前立腺炎とは,主に刺激性または閉塞性の泌尿器症状と会陰部痛の組合せとして出現する多様な疾患群を指す。一部の症例は前立腺の細菌感染が原因であり,より頻度の高い他の一群の症例では,非感染性の炎症因子,尿生殖隔膜筋の攣縮,またはその両方に起因するが,まだ十分に解明されていない。診断は臨床的に行い,前立腺マッサージの前後に採取した尿検体の鏡検および培養も併用する。原因が細菌性の場合,治療は抗菌薬による。原因が非細菌性の場合,治療は温坐浴,筋弛緩... さらに読む である。50歳以上になると,UTIの発生率は上昇するが,男性において前立腺腫大と器具操作が増加するため,男性患者数に対する女性患者数の比は小さくなる。

病態生理

腎臓から外尿道口までの尿路は,遠位尿道が大腸内の細菌によって頻繁に汚染されるにもかかわらず,正常では無菌であり,細菌の定着に対して抵抗力を有している。UTIに対する主要な防御機構は,排尿時に膀胱が完全に空になることである。尿路を無菌に保つその他の機構としては,尿の酸性度,膀胱尿管弁,種々の免疫および粘膜バリアなどがある。

単純性UTIは通常,閉経前の成人女性において,尿路に構造的にも機能的にも異常がなく,妊娠しておらず,より重篤な結果をもたらしうる有意な併存症もない状況で発生した膀胱炎または腎盂腎炎とされる。また一部の専門家は,閉経後女性またはコントロール良好の糖尿病を有する患者に生じたUTIも単純性とみなしている。男性では,ほとんどのUTIが小児または高齢患者で発生しており,解剖学的異常または器具操作に起因し,複雑性とみなされる。

15~50歳の男性で発生するまれなUTIは,通常は無防備な肛門性交を行う男性か包茎を有する男性で発生し,それらは一般に単純性とみなされる。この年齢層で無防備な肛門性交歴と包茎がいずれもない男性でのUTIの発症は非常にまれであり,単純性とみなされるものの,泌尿器の異常に対する評価が必要である。

複雑性UTIは,男女ともあらゆる年齢で発生する可能性がある。これは通常,単純性の基準を満たさない腎盂腎炎または膀胱炎であるとされる。患者が小児または妊婦であるか,以下のいずれかに該当する場合,UTIは複雑性とみなされる:

危険因子

女性のUTI発生の危険因子としては以下のものがある:

  • 性交

  • ペッサリーおよび殺精子剤の使用

  • 抗菌薬の使用

  • 過去1年間の新たなセックスパートナー

  • 第1度近親者の女性におけるUTIの既往

  • 再発性UTIの既往

  • 若年での初回UTI

解剖学的,構造的,および機能的異常がUTIの危険因子となる。解剖学的異常の結果としてよく生じる病態に膀胱尿管逆流症 膀胱尿管逆流症(VUR) 膀胱尿管逆流症とは,尿が膀胱から尿管へ,ときに重症度によっては集合管まで逆流する病態である。逆流は尿路感染症の素因となり,しばしば再発を繰り返す。評価としては,排尿前後の腎臓,尿管,および膀胱の超音波検査とその後にX線透視下で排尿時膀胱尿道造影(VCUG)を施行する方法などがある。治療法は原因および重症度に依存する。 膀胱尿管逆流症(VUR)の原因として最も頻度が高いのは,尿管膀胱移行部の先天的な発育異常である。膀胱壁内尿管のトンネル構... さらに読む (VUR)があり,これは症候性UTIを呈する幼児 小児における尿路感染症(UTI) 尿路感染症(UTI)は,カテーテル採尿による尿検体中で5 × 104コロニー/mL以上,または年長児では複数回の尿検体で105コロニー/mL以上の病原体を認める場合と定義される。幼児においては,しばしば解剖学的異常に関連するUTIが発生する。UTIは発熱,発育不良,側腹部痛,および敗血症徴候を引き起こすことがあり,これらは特に幼児でよくみられる。治療は抗菌薬による。フォローアップとして尿路画像検査を行う。... さらに読む の30~45%に認められる。VURは通常,尿管膀胱弁の機能不全につながる先天異常によって生じる。VURは後天的に発生することもあり,脊髄損傷により弛緩性膀胱を来した患者や尿路手術を受けた患者でみられる。UTIの素因となるその他の解剖学的異常としては,尿道弁(先天的な閉塞性異常),膀胱頸部の発達遅滞,膀胱憩室,重複尿道などがある(Professional.see heading on page 泌尿生殖器系の先天異常の概要 泌尿生殖器系の先天異常の概要 泌尿生殖器は先天奇形が最も高頻度に発生する器官系である。 尿路奇形は,尿路感染症や閉塞,尿うっ滞,結石形成,腎機能障害など多くの合併症の素因となる。 生殖器奇形は,排尿機能障害,性機能障害,生殖障害,心理社会的問題,またはこれらの合併を引き起こす。 泌尿生殖器奇形はしばしば外科的再建を要する。... さらに読む )。

UTIの素因となる構造的および機能的な尿路異常には,通常は尿流路の閉塞と膀胱からの排出不良が関与する。尿流は結石 尿路結石 尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術また... さらに読む および腫瘍によって損なわれることがある。膀胱の排出機能は,神経因性機能障害(Professional.see page 神経因性膀胱 神経因性膀胱 神経因性膀胱は,神経性の損傷を原因とする膀胱機能障害(弛緩または痙性)である。症状としては,溢流性尿失禁,頻尿,尿意切迫,切迫性尿失禁,尿閉などがみられる。重大な合併症(例,反復性感染症,膀胱尿管逆流症,自律神経過反射)のリスクは高い。診断は画像検査と膀胱鏡検査または尿流動態検査による。治療としては,カテーテルを留置するか,排尿を誘発する方法を用いる。 (排尿の概要も参照のこと。)... さらに読む ),妊娠,子宮脱,膀胱瘤,および前立腺腫大により低下しうる。先天的因子に起因するUTIは小児期に発生することが最も多い。他のほとんどの危険因子は高齢者で多くみられるようになる。

病因

膀胱炎および腎盂腎炎を引き起こす頻度が高い細菌としては,以下のものがある:

  • 腸内細菌,通常はグラム陰性好気性細菌(最も多い)

  • グラム陽性細菌(比較的少ない)

正常な泌尿生殖器では,膀胱および尿管の移行上皮に対する特異的な接着因子を発現する大腸菌(Escherichia coli)株が全症例の75~95%を占める。それ以外のグラム陰性の尿路病原菌は,通常はその他の腸内細菌であり,典型的にはKlebsiella mirabilisまたはProteus mirabilis,ときに緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)である。グラム陽性細菌の中では,腐性ブドウ球菌(Staphylococcus saprophyticus)が細菌性UTIの5~10%で分離される。より頻度の低いグラム陽性の分離菌としてEnterococcus faecalis(D群レンサ球菌)およびStreptococcus agalactiae(B群レンサ球菌)があるが,これらは汚染菌である可能性があり,特に単純性膀胱炎の患者から分離された場合はその可能性が高い。

入院患者では,大腸菌( E. coli)が全症例の約50%を占める。グラム陰性菌のKlebsiella属,Proteus属,Enterobacter属,Pseudomonas属,およびSerratia属が原因の約40%を占めており,残りはグラム陽性球菌のE. faecalis,腐性ブドウ球菌(S. saprophyticus),および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)である。

分類

尿道炎

尿道の細菌(または原虫,ウイルス,真菌)による感染は,尿道に進入した微生物が男性の尿道球部および下垂部と女性の尿道全体に存在する多数の尿道周囲腺に,急性または慢性に定着することで起こる。性感染症を引き起こす病原体であるChlamydia trachomatis(Professional.see page クラミジア,マイコプラズマ,およびウレアプラズマによる粘膜感染症 クラミジア,マイコプラズマ,およびウレアプラズマによる粘膜感染症 非淋菌性STDとしての尿道炎,子宮頸管炎,直腸炎,および咽頭炎は,主にクラミジアが原因であるが,まれにマイコプラズマまたはUreaplasma属細菌によることもある。クラミジアは,卵管炎,精巣上体炎,肝周囲炎,新生児結膜炎,および乳児肺炎も引き起こすことがある。未治療のクラミジア卵管炎は慢性化し,引き起こす症状は最小限であるが,重篤な転帰を招く。診断は培養,抗原の免疫測定法,または核酸検査による。治療はアジスロマイシンの単回投与,または... さらに読む クラミジア,マイコプラズマ,およびウレアプラズマによる粘膜感染症 ),淋菌(Neisseria gonorrhoeae)(Professional.see page 淋菌感染症 淋菌感染症 淋菌感染症は,淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と呼ばれる細菌によって引き起こされる。典型的には,尿道,子宮頸部,直腸,咽頭の上皮,または結膜に感染し,刺激感または疼痛および膿性分泌物を生じさせる。皮膚および関節への播種はまれであるが,皮膚のただれ,発熱,および移動性の多関節炎または少関節型の化膿性関節炎を引き起こす。診断は鏡検,培養,または核酸増幅検査による。いくつかの経口または注射用抗菌薬が使用できるが,薬剤耐性の問... さらに読む 淋菌感染症 ),腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)(Professional.see page トリコモナス症 トリコモナス症 トリコモナス症は,腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)による腟または男性性器の感染症である。無症候性のこともあれば,尿道炎,腟炎,もしくはときに膀胱炎,精巣上体炎,または前立腺炎を引き起こすこともある。診断は,直接鏡検,試験紙検査,もしくは腟分泌物の核酸増幅検査,または尿もしくは尿道培養による。患者およびセックスパートナーは,メトロニダゾールまたはチニダゾールにより治療する。... さらに読む ),および単純ヘルペスウイルス 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 単純ヘルペスウイルス(ヒトヘルペスウイルス1型および2型)は一般的に,皮膚,口腔,口唇,眼,および性器を侵す反復性感染症を引き起こす。頻度の高い重症感染症としては,脳炎,髄膜炎,新生児ヘルペスなどがあり,易感染性患者では播種性感染症もある。皮膚粘膜感染症では,紅斑上に集簇する有痛性の小水疱が生じる。診断は臨床的に行う;培養,PCR検査,直接蛍光抗体法,または血清学的検査により確定診断が可能である。治療は対症療法である;アシクロビル,バラ... さらに読む 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 は,男女ともに頻度の高い原因である。

膀胱炎

急性尿道症候群

急性尿道症候群は女性に発生し,排尿困難,頻尿,膿尿(排尿困難‐膿尿症候群)が関連する症候群で,このため膀胱炎に類似する。しかしながら,急性尿道症候群では(膀胱炎と異なり),ルーチンの尿培養は陰性となるか,細菌性膀胱炎の従来の診断基準より低いコロニー数を示す。起因菌にChlamydia trachomatisおよびUreaplasma urealyticumが含まれることから,尿道炎が原因である可能性があり,これらはルーチンの尿培養では検出されない。

感染以外の原因が提唱されているが,これを裏付けるエビデンスは決定的ではなく,感染以外の病態は大半が膿尿をほとんどまたは全く引き起こさないのが通常である。非感染性の原因として考えられるものは,解剖学的異常(例,尿道狭窄),生理的異常(例,骨盤底筋機能障害),ホルモン不均衡(例,萎縮性尿道炎),限局性の外傷,消化器系症状,炎症などがある。

無症候性細菌尿

無症候性細菌尿に対する患者のスクリーニングは,細菌尿を無治療で放置した場合に合併症が起きるリスクが高い患者で適応となる。具体的には以下のような患者が挙げられる:

特定の患者(例,閉経後女性,コントロール良好の糖尿病患者,ステント,腎瘻チューブ,留置カテーテルなどの尿路異物を継続して使用する患者)は,しばしば持続的な無症候性細菌尿,ときに膿尿を呈する。このような患者が無症状である場合,リスクは低いためルーチンにスクリーニングすべきではない。カテーテルが留置された患者では,無症候性細菌尿の治療を行っても細菌尿の消失に無効である場合が多く,抗菌薬に耐性を獲得した細菌の出現をもたらすのみである。

急性腎盂腎炎

腎盂腎炎は,腎実質の細菌感染症である。腎盂腎炎という用語は,感染が確認されているのでない限り,尿細管間質性腎症 尿細管間質性腎炎 尿細管間質性腎炎は,尿細管と間質の原発性損傷であり,腎機能低下をもたらす。急性型はほとんどの場合,薬物アレルギー反応または感染症が原因である。慢性型は,多種多様な原因により発生し,これには遺伝性または代謝性疾患,閉塞性尿路疾患,環境毒素または特定の薬物およびハーブへの慢性的な曝露が挙げられる。診断は病歴と尿検査によって示唆され,しばしば生検によって確定される。治療と予後は,病因および診断時の疾患の可逆性の可能性によって様々である。... さらに読む 尿細管間質性腎炎 を記載するために使用すべきではない。女性では,市中感染の菌血症 菌血症 菌血症とは,血流中に細菌が存在する状態のことである。特定の組織感染を契機として,泌尿生殖器または静脈内にカテーテルを留置しているとき,あるいは歯科,消化管,泌尿生殖器,創傷などに対する処置を施行した後に,自然に発生する可能性がある。菌血症は心内膜炎などの転移性感染症を引き起こすことがある(特に心臓弁膜異常の患者で)。一過性の菌血症は無症状のことが多いが,発熱の原因となりうる。その他の症状の出現は通常,敗血症や敗血症性ショックなどのより重... さらに読む の約20%は腎盂腎炎に起因する。腎盂腎炎は尿路が正常な男性ではまれである。

腎盂腎炎の95%の症例では,原因は細菌の尿路の上行である。閉塞(例,狭窄,結石 尿路結石 尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術また... さらに読む ,腫瘍,神経因性膀胱 神経因性膀胱 神経因性膀胱は,神経性の損傷を原因とする膀胱機能障害(弛緩または痙性)である。症状としては,溢流性尿失禁,頻尿,尿意切迫,切迫性尿失禁,尿閉などがみられる。重大な合併症(例,反復性感染症,膀胱尿管逆流症,自律神経過反射)のリスクは高い。診断は画像検査と膀胱鏡検査または尿流動態検査による。治療としては,カテーテルを留置するか,排尿を誘発する方法を用いる。 (排尿の概要も参照のこと。)... さらに読む VUR 膀胱尿管逆流症(VUR) 膀胱尿管逆流症とは,尿が膀胱から尿管へ,ときに重症度によっては集合管まで逆流する病態である。逆流は尿路感染症の素因となり,しばしば再発を繰り返す。評価としては,排尿前後の腎臓,尿管,および膀胱の超音波検査とその後にX線透視下で排尿時膀胱尿道造影(VCUG)を施行する方法などがある。治療法は原因および重症度に依存する。 膀胱尿管逆流症(VUR)の原因として最も頻度が高いのは,尿管膀胱移行部の先天的な発育異常である。膀胱壁内尿管のトンネル構... さらに読む )は腎盂腎炎の素因となるが,女性の腎盂腎炎患者の大半には,明白な機能的または解剖学的異常は認められない。男性では,腎盂腎炎はほぼ常に何らかの機能的または解剖学的異常に起因する。膀胱炎 膀胱炎 細菌性UTIは,尿道,前立腺,膀胱,または腎臓で発生する。症状は認められない場合もあれば,頻尿,尿意切迫,排尿困難,下腹部痛,および側腹部痛がみられる場合もある。腎臓の感染では,全身症状や敗血症が発生する場合もある。診断は尿の分析および培養に基づく。治療は抗菌薬投与と尿路カテーテルの抜去および閉塞の解除による。 (Professional.See also page 尿路感染症(UTI)に関する序論;グラム陰性桿菌;前立腺炎;および小児... さらに読む 単独,あるいは解剖学的異常により逆流が生じることがある。細菌の上行のリスクは尿管蠕動が抑制される場合に大きく強まる(例,妊娠中,閉塞,グラム陰性細菌の内毒素)。腎盂腎炎は,膀胱カテーテル挿入後の若年の女児および妊婦においてよくみられる。

細菌の上行が原因ではない腎盂腎炎は血行性の伝播に起因し,これは黄色ブドウ球菌(S. aureus),緑膿菌(P. aeruginosa),Salmonella属,Candida属真菌などの病原性微生物で特に特徴的である。

患側腎は通常,炎症性の多形核白血球(PMN)と浮腫のために腫大する。感染は腎盂と髄質において限局的かつ斑状に始まり,楔状に拡がり皮質に及ぶ。慢性炎症を媒介する細胞が数日のうちに現れ,髄質および皮質下に膿瘍が形成されることがある。感染巣の間にある実質組織は正常であることが多い。

乳頭壊死は,糖尿病,閉塞,鎌状赤血球症,腎移植患者の腎盂腎炎,カンジダ症による腎盂腎炎,または鎮痛薬腎症のいずれかに合併した急性腎盂腎炎において明らかに認められることがある。

急性腎盂腎炎はしばしば小児の腎瘢痕に関連するが,成人における同様の瘢痕は,逆流または閉塞が存在しない場合は検出されない。

症状と徴候

高齢患者,神経因性膀胱患者,またはカテーテル留置患者では,敗血症とせん妄がみられるが,尿路に関係する症状はみられない場合がある。

症状が存在する場合,相当な重複がみられるために尿路の感染部位と相関しないこともあるが,多少の一般化は有用である。

尿道炎の主な症状は,排尿困難と主に男性における尿道分泌物である。分泌物は膿性,白色調,または粘液性の場合がある。膿汁の量などの分泌物の特徴は,非淋菌性尿道炎から淋菌性尿道炎を鑑別する上で信頼性はない。

膀胱炎は,通常突然発生し,典型的には頻尿,尿意切迫,灼熱感または疼痛を伴う少量の排尿がみられる。夜間頻尿がよくみられ,恥骨上部痛やときに腰痛を伴う。尿はしばしば混濁し,顕微鏡的(またはまれに肉眼的)血尿が発生する可能性がある。軽度の発熱が認められることもある。気尿(尿中への空気の排出)は,感染が膀胱腸瘻もしくは膀胱腟瘻に起因する場合または気腫性膀胱炎に起因する場合に発生しうる。

急性腎盂腎炎の症状は膀胱炎と同様の場合がある。3分の1の患者で頻尿および排尿困難がみられる。しかしながら,腎盂腎炎では,症状は典型的には悪寒,発熱,側腹部痛,腹部仙痛,悪心,嘔吐などである。腹部硬直が認められないか軽微な場合は,圧痛を伴う腎腫大がときに触知される。一般に,感染側の肋骨脊柱角の打診で圧痛が認められる。小児の尿路感染症 症状と徴候 尿路感染症(UTI)は,カテーテル採尿による尿検体中で5 × 104コロニー/mL以上,または年長児では複数回の尿検体で105コロニー/mL以上の病原体を認める場合と定義される。幼児においては,しばしば解剖学的異常に関連するUTIが発生する。UTIは発熱,発育不良,側腹部痛,および敗血症徴候を引き起こすことがあり,これらは特に幼児でよくみられる。治療は抗菌薬による。フォローアップとして尿路画像検査を行う。... さらに読む では,症状が乏しく,あまり特徴がない場合が多い。

診断

  • 尿検査

  • ときに尿培養

培養による診断は常に必要というわけではない。培養を行う場合のUTIの診断では,適切に採取した尿検体で有意の細菌尿を確認する必要がある。

採尿

清潔に採取した中間尿検体を得るには,外尿道口を無発泡の低刺激性消毒薬で洗ってから,空気乾燥させる。粘膜と尿流の接触を最小限に抑えるため,女性では陰唇を広げ,包茎の男性では包皮を引き上げるべきである。尿の最初の5mLは採取せず,次の5~10mLを無菌の容器に採取する。

高齢女性(典型的には清潔尿の採取が困難である)と性器出血または帯下がみられる女性では,カテーテル採取による検体が望ましい。評価に内診を含める場合は,多くの臨床医がカテーテルを用いて検体を採取している。カテーテルが留置された患者での診断については,本マニュアルの別の箇所で考察されている(Professional.see page 診断 診断 カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)とは,尿路に2日以上にわたりカテーテルが留置されている状況で培養陽性と判定されるUTIである。膀胱カテーテルを留置されている患者では,細菌尿およびUTIが発生しやすい。症状は曖昧な場合もあれば,敗血症を示唆する場合もある。診断は症状の有無に依存する。検査としては,カテーテルを抜去して新たなカテーテルを挿入してからの尿検査および培養などを行う。最も効果的な予防法は,不必要なカテーテル挿入を避け,可能な... さらに読む )。

検査(特に培養)は,検体採取から2時間以内に行うべきであり,そうでない場合は検体を冷蔵すべきである。

尿検査

尿の鏡検は有用であるが,決定的ではない。膿尿の定義は非遠心尿で白血球8個/μL以上であり,これは遠心尿沈渣の強拡大視野当たり白血球2~5個に相当する。真に感染した患者の大半は白血球10個/μLを超える。膿尿が認められず細菌が存在する場合,特に複数の菌株が認められる場合は,通常,検体採取時の汚染が原因である。顕微鏡的血尿は最大50%の患者で発生するが,肉眼的血尿はまれである。白血球円柱は,尿細管円柱との鑑別は特殊染色を要するが,炎症反応を示唆するにすぎず,腎盂腎炎,糸球体腎炎 腎炎症候群の概要 腎炎症候群は,血尿および様々な程度のタンパク尿を認め,かつ尿沈渣の鏡検で通常は変形赤血球を,さらにしばしば赤血球円柱を認める場合として定義される。しばしば,浮腫,高血圧,血清クレアチニン値上昇,乏尿のうち1つ以上の要素が認められる。原因は原発性および続発性のいずれもある。診断は,病歴,身体診察,ときには腎生検に基づく。治療および予後は原因によって異なる。 (糸球体疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む ,および非感染性尿細管間質性腎炎 尿細管間質性腎炎 尿細管間質性腎炎は,尿細管と間質の原発性損傷であり,腎機能低下をもたらす。急性型はほとんどの場合,薬物アレルギー反応または感染症が原因である。慢性型は,多種多様な原因により発生し,これには遺伝性または代謝性疾患,閉塞性尿路疾患,環境毒素または特定の薬物およびハーブへの慢性的な曝露が挙げられる。診断は病歴と尿検査によって示唆され,しばしば生検によって確定される。治療と予後は,病因および診断時の疾患の可逆性の可能性によって様々である。... さらに読む 尿細管間質性腎炎 で認められる可能性がある。

細菌尿およびUTIが存在しない状態で膿尿がみられることもあり,例えば,腎結石症 尿路結石 尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術また... さらに読む ,尿路上皮腫瘍,虫垂炎 虫垂炎 虫垂炎は虫垂の急性炎症で,典型的には腹痛,食欲不振,および腹部圧痛を引き起こす。診断は臨床的に行い,しばしばCTまたは超音波検査で補完する。治療は虫垂の外科的切除である。 (急性腹痛も参照のこと。) 米国では,急性虫垂炎は外科手術を要する急性腹痛の最も頻度の高い原因である。一般集団の5%以上がいずれかの時点で虫垂炎を発症する。10~20歳代に最も多く発症するが,あらゆる年齢層で起こりうる。... さらに読む 虫垂炎 ,または炎症性腸疾患 炎症性腸疾患の概要 炎症性腸疾患(IBD)は,消化管の様々な部位で再燃と寛解を繰り返す慢性炎症を特徴とする病態であり,下痢および腹痛を引き起こし,クローン病と潰瘍性大腸炎が含まれる。 消化管粘膜における細胞性免疫応答により炎症が生じる。炎症性腸疾患の正確な病因は不明であるが,多因子性の遺伝的素因を有する患者において,腸内常在菌叢が異常な免疫反応を引き起こすこ... さらに読む がある場合や,検体が腟の白血球で汚染された場合に起こりうる。排尿困難および膿尿がみられるが,有意の細菌尿はみられない女性は,尿道症候群ないし排尿困難膿尿症候群である。

尿試験紙検査もよく用いられる。排尿直後の検体を用いた亜硝酸塩試験(検体を直ちに検査しないと容器中で細菌が繁殖し,検査結果の信頼性が損なわれる)の陽性は,UTIに高度に特異的であるが,検査の感度があまり高くない。白血球エステラーゼ検査は,10個/μLを超える白血球の存在に対して非常に特異的であり,感度もかなり高い。典型的症状を伴う単純性UTIの成人女性では,大半の医師が鏡検と尿試験紙検査で陽性であれば十分と判断する;可能性の高い病原体を考慮に入れると,このような症例では,培養によって治療方針が変わる可能性は低く,一方で相当の費用が追加で必要になる。

培養は,特徴と症状から複雑性UTIの存在または細菌尿の治療適応が示唆される患者で推奨される。一般的な例を以下に示す:

多数の上皮細胞を含有する検体は汚染されており,役立つ可能性は低い。培養のためには汚染されていない検体を採取しなければならない。UTIを検出する可能性は朝の検体の培養が最も高い。室温に2時間以上放置された検体は,細菌の増殖が継続したためにコロニー数が偽性に高い可能性がある。培養の陽性基準には,無菌的に採取された中間尿またはカテーテル尿で単一菌種の細菌が分離されることなどがある。

無症候性細菌尿の培養陽性の基準は,Infectious Diseases Society of Americaのガイドラインに基づく( Guidelines for the Diagnosis and Treatment of Asymptomatic Bacteriuria in Adultsを参照):

  • 清潔に採取した尿検体の連続した2検体(男性では1検体)で,同じ細菌株がコロニー数105/mL超で分離される

  • 女性または男性で,カテーテルを介して採取された検体から単一菌種の細菌がコロニー数102/mL超で分離される

症状がみられる患者の培養での基準は以下の通りである:

  • 女性の単純性膀胱炎では103/mL超

  • 女性の単純性膀胱炎では102/mL超(この数値は大腸菌 [E. coli]に対する感度を高めるために考慮されることがある。)

  • 女性の急性単純性腎盂腎炎では104/mL超

  • 複雑性UTIは,女性では105/mL超,または男性もしくはカテーテルから採取した女性の尿検体では104/mL超

  • 急性尿道症候群は,単一菌種の細菌が102/mL超

恥骨上膀胱穿刺により得られた検体では,培養の結果陽性は,コロニー数にかかわらず真の陽性とみなすべきである。

ときに,コロニー数は少ないがUTIが存在する場合があり,これはおそらく過去の抗菌薬投与,著しい希釈尿(比重1.003未満),著しく感染した尿流が妨げられたことなどが原因である。培養を繰り返すことで陽性結果の診断精度が向上し,汚染と真の陽性を鑑別できる場合がある。

感染部位の同定

上部UTIと下部UTIの臨床的な鑑別は,多くの患者において不可能であり,検査は通常推奨されない。高熱,肋骨脊柱角の圧痛,円柱を伴う肉眼的膿尿が存在する場合は,腎盂腎炎の可能性が非常に高い。非侵襲的に膀胱感染症を腎感染症と鑑別する上での最良の方法は,抗菌薬による短期療法で反応を確認することと考えられる。治療3日後に尿が清澄化しない場合,腎盂腎炎を探索すべきである。

その他の検査

成人のほとんどでは,以下のことが発生しない限り,構造的異常の評価は必要ない:

  • 腎盂腎炎のエピソードが2回以上ある。

  • 感染が複雑性である。

  • 腎結石症が疑われる。

  • 無痛性の肉眼的血尿または新規の腎機能不全が認められる。

  • 発熱が72時間以上持続している。

尿路画像検査 尿路画像検査 尿路感染症(UTI)は,カテーテル採尿による尿検体中で5 × 104コロニー/mL以上,または年長児では複数回の尿検体で105コロニー/mL以上の病原体を認める場合と定義される。幼児においては,しばしば解剖学的異常に関連するUTIが発生する。UTIは発熱,発育不良,側腹部痛,および敗血症徴候を引き起こすことがあり,これらは特に幼児でよくみられる。治療は抗菌薬による。フォローアップとして尿路画像検査を行う。... さらに読む の選択肢としては,超音波検査,CT,IVUなどがある。ときに,排尿時膀胱尿道造影,逆行性尿道造影,または膀胱鏡検査が必要となる。症候性膀胱炎または無症候性再発性膀胱炎を呈する女性では,結果が治療方針に影響を及ぼさないことから,泌尿器検査をルーチンに施行する必要はない。UTIの小児患者では,しばしば画像検査が必要となる。

診断に関する参考文献

治療

  • 抗菌薬

  • ときに手術(例,膿瘍のドレナージ,基礎にある構造的異常の是正,閉塞の軽減)

その形態を問わず,症候性の細菌性UTIには抗菌薬投与が必要である。煩わしい排尿困難がある患者では,抗菌薬が症状をコントロールするまで(通常48時間以内)の症状管理にフェナゾピリジンが有用な場合がある。

抗菌薬の選択は,患者のアレルギーおよびアドヒアランス歴,現地の耐性パターン(既知の場合),抗菌薬の利用可能性および費用,ならびに治療失敗のリスクに対する患者および医療従事者の耐容性に基づくべきである。抗菌薬耐性を誘発する性質も考慮すべきである。尿培養を行った場合,抗菌薬の選択は培養および感受性の結果が判明した時点で,同定された病原菌に対して効果的であり,かつ最もスペクトルの狭い薬剤に変更すべきである。

外科的な是正は,通常は閉塞性尿路疾患 閉塞性尿路疾患 閉塞性尿路疾患は,構造的または機能的異常により正常な尿流が妨げられる病態であり,ときに腎機能障害(閉塞性腎症)につながることもある。症状としては,慢性閉塞では出現する可能性がより低いが,T11からT12までの皮膚分節に放散する疼痛や排尿異常(例,排尿困難,無尿,夜間頻尿,多尿)などが出現することがある。診断は閉塞のレベルに応じて,膀胱カテ... さらに読む ,解剖学的異常,および神経障害性の尿路病変(脊髄圧迫 脊髄圧迫 様々な病変が脊髄を圧迫して,髄節性の感覚,運動,反射,および括約筋障害を引き起こしうる。診断はMRIによる。治療は圧迫の軽減を目標として行う。 (脊髄疾患の概要および脊椎・脊髄外傷の応急処置も参照のこと。) 圧迫の原因としては,脊髄内部の病変(髄内病変)より脊髄外部の病変(髄外病変)の方がはるかに頻度が高い。 圧迫は以下の場合がある: 急性 さらに読む 脊髄圧迫 など)に対して必要とされる。閉塞した尿路のカテーテルによるドレナージは,UTIの迅速なコントロールに役立つ。ときに,腎皮質膿瘍または腎周囲膿瘍に対して外科的ドレナージが必要となる。感染尿が認められる場合は,下部尿路に対する器具操作は可能ならば延期すべきである。器具操作の前に尿を無菌にしておくこと,および器具操作後3~7日間の抗菌薬投与により,生命を脅かす尿路敗血症を予防できる。

尿道炎

性的に活動的で症状がみられる患者は,通常は検査結果が判明するまでSTDと推定して治療する。典型的なレジメンは,セフトリアキソン250mg,筋注に加えて,アジスロマイシン1g,経口,1回またはドキシサイクリン100mg,経口,1日2回,7日間のいずれかを投与するものである。全てのセックスパートナーの評価を60日以内に済ませるべきである。尿道炎と診断された男性は,Centers for Disease Control and Preventionの2015年版 Sexually Transmitted Diseases Treatment Guidelinesに従い,HIVおよび梅毒の検査を受けるべきである。

膀胱炎

単純性膀胱炎の第1選択の治療は,ニトロフラントイン100mg,経口,1日2回,5日間(クレアチニンクリアランス60mL/min未満の場合は禁忌),トリメトプリム/スルファメトキサゾール160/800mg,経口,1日2回,3日間,またはホスホマイシン3g,経口,1回である。次善の選択肢としては,フルオロキノロン系薬剤やβ-ラクタム系抗菌薬などがある。膀胱炎が1~2週間以内に再発した場合は,より広いスペクトルを有する抗菌薬(例,フルオロキノロン系薬剤)を使用することができ,尿培養を行うべきである。

複雑性膀胱炎の治療では,現地の病原体および耐性パターンに基づいて選択した広域抗菌薬の経験的投与を開始し,培養結果に基づいて修正するべきである。尿路異常も管理されなければならない。

急性尿道症候群

治療は臨床所見および尿培養の結果による:

無症候性細菌尿

糖尿病患者,高齢患者,または膀胱留置カテーテル 診断 カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)とは,尿路に2日以上にわたりカテーテルが留置されている状況で培養陽性と判定されるUTIである。膀胱カテーテルを留置されている患者では,細菌尿およびUTIが発生しやすい。症状は曖昧な場合もあれば,敗血症を示唆する場合もある。診断は症状の有無に依存する。検査としては,カテーテルを抜去して新たなカテーテルを挿入してからの尿検査および培養などを行う。最も効果的な予防法は,不必要なカテーテル挿入を避け,可能な... さらに読む を長期使用している患者にみられる無症候性細菌尿は,典型的には治療すべきでない。しかしながら,無症候性細菌尿から合併症が発生するリスクを有する患者(Professional.see page 細菌性UTIは,尿道,前立腺,膀胱,または腎臓で発生する。症状は認められない場合もあれば,頻尿,尿意切迫,排尿困難,下腹部痛,および側腹部痛がみられる場合もある。腎臓の感染では,全身症状や敗血症が発生する場合もある。診断は尿の分析および培養に基づく。治療は抗菌薬投与と尿路カテーテルの抜去および閉塞の解除による。 (Professional.See also page 尿路感染症(UTI)に関する序論;グラム陰性桿菌;前立腺炎;および小児... さらに読む )では,治療可能な全ての原因に対処し,膀胱炎に対して抗菌薬を投与すべきである。妊婦では,安全に使用できる抗菌薬がごくわずかに限られている。経口β-ラクタム系薬剤,スルホンアミド系薬剤,およびニトロフラントインは妊娠初期には安全であるとされているが,トリメトプリムは妊娠第1トリメスターには避けるべきであり,スルファメトキサゾールは妊娠第3トリメスター,特に分娩間際には避けるべきである。治療不能な閉塞性疾患(例,結石 尿路結石 尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術また... さらに読む 逆流 膀胱尿管逆流症(VUR) 膀胱尿管逆流症とは,尿が膀胱から尿管へ,ときに重症度によっては集合管まで逆流する病態である。逆流は尿路感染症の素因となり,しばしば再発を繰り返す。評価としては,排尿前後の腎臓,尿管,および膀胱の超音波検査とその後にX線透視下で排尿時膀胱尿道造影(VCUG)を施行する方法などがある。治療法は原因および重症度に依存する。 膀胱尿管逆流症(VUR)の原因として最も頻度が高いのは,尿管膀胱移行部の先天的な発育異常である。膀胱壁内尿管のトンネル構... さらに読む )を有する患者では,長期の再発抑制療法が必要となることがある。

急性腎盂腎炎

抗菌薬が必要である。以下の全ての基準を満たす場合には,経口抗菌薬による外来治療が可能である:

  • 患者にアドヒアランスが期待される

  • 患者の免疫能が正常である

  • 悪心および嘔吐が認められず,体液量減少または敗血症の所見もみられない

  • 複雑性UTIを示唆する因子が認められない

第1選択の抗菌薬は,現地の尿路病原体の耐性率が10%未満である場合には,シプロフロキサシン500mg,経口,1日2回,7日間およびレボフロキサシン750mg,経口,1日1回,5日間である。第2選択の治療は通常,トリメトプリム/スルファメトキサゾール160/800mg,経口,1日2回,14日間の投与である。しかしながら,米国の一部では大腸菌(E. coli)の20%超がサルファ剤に耐性を示すことから,現地の感受性パターンを考慮すべきである。

外来治療に適格ではない患者は入院させ,現地の感受性パターンに基づいて選択した注射剤による治療を行うべきである。第1選択の抗菌薬は通常,シプロフロキサシンやレボフロキサシンなど,腎排泄されるフルオロキノロン系薬剤である。アンピシリン + ゲンタマイシン,スペクトルの広いセファロスポリン系薬剤(例,セフトリアキソン,セフォタキシム,セフェピム),アズトレオナム,β-ラクタム系抗菌薬/β-ラクタム阻害薬の併用(アンピシリン/スルバクタム,チカルシリン/クラブラン酸塩,ピペラシリン/タゾバクタム),およびイミペネム/シラスタチンは,一般的に,より複雑な腎盂腎炎(例,閉塞,結石,耐性菌,院内感染)または尿路に対する器具操作を最近受けた患者にのみ使用する。

注射剤による治療は,解熱とその他の臨床的改善の徴候がみられるまで継続する。80%以上の患者では,72時間以内に改善が認められる。その後は経口治療を開始でき,残りの7~14日間の治療は退院して継続することが可能である。複雑性感染症の症例では,抗菌薬を計2~3週間にわたって静脈内投与する,より長期の薬物療法と泌尿器の解剖学的異常の是正が必要となる。

腎盂腎炎を呈する妊婦では外来治療を考慮することが可能であるが,ただし症状が軽症で,綿密なフォローアップが可能であり,(望ましくは)妊娠24週未満の場合のみである。外来治療はセファロスポリン系薬剤による(例,セフトリアキソン1~2g,静注または筋注,続いてセファレキシン500mg,経口,1日4回を10日間)。その他の場合の第1選択の静脈内投与抗菌薬には,セファロスポリン系薬剤,アズトレオナム,アンピシリン + ゲンタマイシンなどがある。腎盂腎炎が重症の場合,可能性としてピペラシリン/タゾバクタムまたはメロペネムなどがある。フルオロキノロン系薬剤およびトリメトプリム/スルファメトキサゾールは避けるべきである。再発は一般的にみられることから,一部の専門家は急性感染が消失した後にニトロフラントイン100mg,経口またはセファレキシン250mg,経口,毎晩を妊娠の残りの期間および妊娠後の4~6週間にわたって予防投与することを推奨している。

予防

UTIを年間に3回以上経験する女性では,行動療法が推奨され,これには水分摂取量の増加,殺精子剤およびペッサリーの使用回避,排尿を遅延させない,排便後は前から後ろに向かって拭く,腟洗浄の回避,性交の直後に排尿するなどがある。クランベリー製品に女性のUTIに対する予防効果があるとしたエビデンスもあるが,そうでないエビデンスもある;至適な用量は不明であり,シュウ酸が大量に含まれている可能性がある(そのためシュウ酸結石のリスクを高める可能性がある)。そのため,ほとんどの専門家は女性の症候性UTIの予防にクランベリー製品を用いることを推奨していない。(さらなる詳細については,Jepsonらによる2012年コクラン・レビュー[Cochrane Review]の論文, Cranberries for preventing urinary tract infectionsを参照のこと。)

これらの方法が無効に終わった場合は,抗菌薬の予防投与を考慮すべきである。一般的な選択肢としては,継続的な予防と性交後の予防がある。

継続的予防は,一般的には6カ月間の試験投与で開始される。6カ月間の予防的治療後にUTIが再発する場合は,予防を2~3年間繰り返してもよい。抗菌薬の選択は前回の感染症の感受性パターンに依存する。一般的な選択肢はトリメトプリム/スルファメトキサゾール40/200mg,経口,1日1回または週3回,ニトロフラントイン50mgまたは100mg,経口,1日1回,セファレキシン125~250mg,経口,1日1回,ホスホマイシン3g,経口,1日4回に分けて10日間である。フルオロキノロン系薬剤は効果的であるが,耐性が増加しているため,通常は推奨されない。また,フルオロキノロン系薬剤は妊婦および小児では禁忌である。ニトロフラントインは,クレアチニンクリアランスが60mL/min未満の場合は禁忌である。長期使用すると,まれに肺,肝臓,および神経系の損傷につながる可能性がある。

女性の性交後の予防は,UTIに性交との時間的関連性が認められる場合により効果的となる可能性がある。通常は継続的予防で使用される薬剤(ただし,ホスホマイシンは除く)の単剤の単回投与が効果的である。

フルオロキノロン系薬剤を使用している女性は,これらの薬剤が胎児に傷害をもたらす可能性があることから,避妊が推奨される。抗菌薬は経口避妊薬の有効性を低下させる可能性が懸念されているが,薬物動態試験では有意な影響も一貫した影響もこれまで示されていない。それでも,一部の専門家は依然として,経口避妊薬を使用している女性に対し,抗菌薬の服用中はバリア式避妊具を使用することを推奨している。

妊婦のUTIの効果的な予防法は,性交後の予防を含め,妊娠していない女性と同様である。該当する患者として,急性腎盂腎炎を呈する妊娠中の患者,妊娠中にUTIまたは細菌尿のエピソードが(治療にもかかわらず)1回を上回って発生した患者,妊娠前に再発性UTIの予防を必要とした患者などが挙げられる。

閉経後女性に対する抗菌薬の予防投与は,上述と同様である。加えて,局所エストロゲン療法は,萎縮性腟炎または萎縮性尿道炎を呈する女性の再発性UTIの発生率を顕著に低下させる。

要点

  • 細菌性UTIおよびUTI全体で最も頻度の高い原因は,大腸菌(E. coli)とその他のグラム陰性腸菌である。

  • 妊婦,易感染性患者,および泌尿器の侵襲的処置を受ける前の患者を除き,無症候性細菌尿には検査および治療は行わない。

  • 一般に,複雑性UTIが疑われる患者では尿培養を行うが,単純性膀胱炎では行わない。

  • 構造的異常の検査は,感染が再発性または複雑性である患者,腎結石症が疑われる患者,無痛性血尿または新たな腎機能不全が認められた患者,および発熱が72時間以上持続する患者に対して行う。

  • UTIに対して抗菌薬療法を選択する場合は,現地の耐性パターンが判明していれば考慮に入れる。

  • 行動的予防療法にもかかわらずUTIが年間に3回以上発生した女性では,抗菌薬による継続的予防または性交後予防を考慮する。

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