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慢性腎盂腎炎

(慢性感染性尿細管間質性腎炎)

執筆者:

Talha H. Imam

, MD, University of Riverside School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 6月
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慢性腎盂腎炎は,腎臓の持続的な化膿性感染症であり,ほぼ常に重大な解剖学的異常がある患者に発生する。症状はみられない場合もあれば,発熱,倦怠感,側腹部痛などがみられる場合もある。診断は尿検査,培養,および画像検査による。治療は抗菌薬投与と構造的異常の是正による。

通常の機序は感染尿の腎盂への逆流である。原因としては, 閉塞性尿路疾患 閉塞性尿路疾患 閉塞性尿路疾患は,構造的または機能的異常により正常な尿流が妨げられる病態であり,ときに腎機能障害(閉塞性腎症)につながることもある。症状としては,慢性閉塞では出現する可能性がより低いが,T11からT12までの皮膚分節に放散する疼痛や排尿異常(例,排尿困難,無尿,夜間頻尿,多尿)などが出現することがある。診断は閉塞のレベルに応じて,膀胱カテ... さらに読む やストルバイト 結石 尿路結石 尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術また... さらに読む などもあるが,最も頻度が高いのは 膀胱尿管逆流症 膀胱尿管逆流症(VUR) 膀胱尿管逆流症とは,尿が膀胱から尿管へ,ときに重症度によっては集合管まで逆流する病態である。逆流は尿路感染症の素因となり,しばしば再発を繰り返す。評価としては,排尿前後の腎臓,尿管,および膀胱の超音波検査とその後にX線透視下で排尿時膀胱尿道造影(VCUG)を施行する方法などがある。治療法は原因および重症度に依存する。 膀胱尿管逆流症(VUR)の原因として最も頻度が高いのは,尿管膀胱移行部の先天的な発育異常である。膀胱壁内尿管のトンネル構... さらに読む (VUR)である。

病理学的には,腎萎縮および腎杯奇形に重複して腎実質の瘢痕が認められる。慢性腎盂腎炎は 慢性腎臓病 慢性腎臓病 慢性腎臓病(CKD)とは,腎機能が長期にわたり進行性に悪化する病態である。症状は緩徐に現れ,進行すると食欲不振,悪心,嘔吐,口内炎,味覚異常,夜間頻尿,倦怠感,疲労,そう痒,精神的集中力の低下,筋収縮,筋痙攣,水分貯留,低栄養,末梢神経障害,痙攣発作などがみられる。診断は腎機能検査に基づき,ときに続いて腎生検を施行する。治療は主に基礎疾患... さらに読む 慢性腎臓病 に進行する場合がある。慢性腎盂腎炎を有する患者では, 菌血症 菌血症 菌血症とは,血流中に細菌が存在する状態のことである。特定の組織感染を契機として,泌尿生殖器または静脈内にカテーテルを留置しているとき,あるいは歯科,消化管,泌尿生殖器,創傷などに対する処置を施行した後に,自然に発生する可能性がある。菌血症は心内膜炎などの転移性感染症を引き起こすことがある(特に心臓弁膜異常の患者で)。一過性の菌血症は無症状のことが多いが,発熱の原因となりうる。その他の症状の出現は通常,敗血症や敗血症性ショックなどのより重... さらに読む の素因となっている可能性がある感染巣が残存している場合や, 腎移植 腎移植 腎移植は最もよく行われる実質臓器移植である。(移植の概要も参照のこと。) 腎移植の主な適応は以下の通りである: 末期腎不全 絶対的禁忌としては以下のものがある: 移植片の生着を危うくしかねない併存症(例,重度の心疾患,悪性腫瘍),これらは徹底的なスクリーニングにより検出可能 さらに読む 患者では尿路および移植腎に播種した感染巣が残存している場合がある。

黄色肉芽腫性腎盂腎炎(XPN)は,感染に対する異常な炎症反応とみられる,まれな亜型と考えられる。感染組織が黄色を呈するのは,巨細胞,脂質貪食マクロファージ,およびcholesterol cleftが存在するためである。腎臓は腫大し,腎周囲の線維化と隣接する後腹膜組織の癒着がよくみられる。この疾患は,ほぼ常に片側性であり,再発性UTIの病歴を有する中年女性に好発する。長期の尿路閉塞(通常は 結石 尿路結石 尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術また... さらに読む に起因する)および感染によりリスクが上昇する。最も頻度の高い起因菌は,Proteus mirabilisと大腸菌(Escherichia coli)である。

症状と徴候

症状と徴候はしばしば曖昧であり,一貫しない。一部の患者では,発熱,側腹部痛,腹痛,倦怠感,または食欲不振がみられる。XPNでは,一側性の腫瘤が通常触知できる。

診断

  • 尿検査および尿培養

  • 画像検査

慢性腎盂腎炎は,再発性UTIおよび 急性腎盂腎炎 急性腎盂腎炎 細菌性UTIは,尿道,前立腺,膀胱,または腎臓で発生する。症状は認められない場合もあれば,頻尿,尿意切迫,排尿困難,下腹部痛,および側腹部痛がみられる場合もある。腎臓の感染では,全身症状や敗血症が発生する場合もある。診断は尿の分析および培養に基づく。治療は抗菌薬投与と尿路カテーテルの抜去および閉塞の解除による。 (Professional.See also page 尿路感染症... さらに読む の既往がある患者で疑われる。しかしながら,VURを呈する小児を除き,ほとんどの患者はこれらの病歴を有していない。ときに,画像検査で典型的所見が偶然見つかることで本疾患が疑われる。症状は曖昧で非特異的であるため,本疾患を示唆しないことがある。

尿検査および尿培養と通常は画像検査を施行する。尿沈渣は通常少ないが,腎上皮細胞,顆粒円柱,ときに白血球円柱が認められる。タンパク尿はほぼ常に認められ,VURが広範な腎障害を引き起こしている場合には,ネフローゼの範囲にある可能性もある。両腎ともに罹患している場合は,有意な高窒素血症が生じる前に濃縮能の低下と高クロール性アシドーシスが認められることがある。尿培養は無菌または陽性の場合があり,通常はグラム陰性菌である。

最初に行う画像検査は通常,超音波検査,ヘリカルCT,またはIVUである。画像検査での慢性腎盂腎炎(通常は逆流または閉塞を伴う)の特徴として,古典的には大きく,深い,分節性の粗い皮質の瘢痕が通常は1つまたは複数の腎杯に広がっている。最も頻度の高い部位は腎上極である。腎皮質が消失し,腎実質は菲薄化する。侵されていない腎組織は局所的に肥大し,分節性に腫大することがある。慢性の重度の逆流に起因する変化を反映して,尿管拡張がみられることもある。同様の変化が尿路 結核 泌尿生殖器結核 肺以外の結核は通常,血行性播種によって発生する。感染はときに隣接臓器から直接広がる。症状は部位によって異なるが,一般には発熱,倦怠感,体重減少などがみられる。診断は喀痰の塗抹および培養によることが最も多いが,分子生物学に基づく迅速診断検査の利用も増えてきている。治療では複数の抗菌薬を少なくとも6カ月間投与する。 血行性全身性結核としても知られる粟粒結核は,結核病変が血管を侵して何百万もの結核菌が血流に入り全身に播種される場合に発生する。... さらに読む 泌尿生殖器結核 でも起こりうる。

XPNでは,ほぼ常に尿培養でP. mirabilisまたは大腸菌(E. coli)の増殖がみられる。CTを施行し, 結石 尿路結石 尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術また... さらに読む またはその他の閉塞を検出する。画像検査では,腎周囲に様々な程度で拡張した無血管性腫瘤が認められる。ときに,悪性腫瘍(例, 腎細胞癌 腎細胞癌 腎細胞癌(RCC)は,最も頻度の高い腎癌である。症状としては,血尿,側腹部痛,触知可能な腫瘤,不明熱などがみられる。しかしながら,症状はしばしば認められないため,診断は通常所見の偶然の発見に基づいて疑われる。診断はCTまたはMRI,ときに生検により確定される。治療は早期疾患に対しては手術,進行した疾患に対しては分子標的療法,実験的プロトコル,緩和治療による。 RCCは腺癌であり,原発性悪性腎腫瘍の90~95%を占める。比較的頻度の低い原... さらに読む )との鑑別のために生検が必要になる場合があるか,腎摘出の際に切除した組織で検査することが可能である。

予後

慢性腎盂腎炎の経過は非常に多様であるが,通常は極めて緩慢に進行する。ほとんどの患者は発生後20年以上にわたり十分な腎機能を有する。急性腎盂腎炎の頻回の増悪は,コントロールされていても,通常は腎臓の構造および機能をさらに悪化させる。持続的な尿路閉塞は腎盂腎炎の素因であるか,腎盂腎炎を永続させ,腎盂内圧を上昇させ,腎を直接損傷する。

治療

  • 閉塞の是正

  • 長期にわたる抗菌薬療法

  • ときに腎摘出術,ときにその後の腎移植術

閉塞を解除できずにUTIの再発を頻回に起こしている場合は,長期の抗菌薬療法(例,トリメトプリム/スルファメトキサゾール,トリメトプリム,フルオロキノロン系薬剤,ニトロフラントイン)が有用であり,無期限に必要となる場合もある。尿毒症または高血圧の合併は適切に治療しなければならない。

XPNの場合,局所感染を制御するための抗菌薬を最初に投与し,続いて全ての関連組織とともに腎を一括摘出する。

要点

  • 慢性腎盂腎炎は通常は腎盂への尿逆流の素因(例,VUR,閉塞性尿路疾患,ストルバイト結石に起因)を有する患者が罹患する。

  • 患者が再発性急性腎盂腎炎を有する場合は慢性腎盂腎炎を疑うが,しばしば診断は画像検査での偶然の所見に基づいて最初に疑われる。

  • 画像検査を施行する(超音波検査,ヘリカルCT,またはIVU)。

  • 閉塞を軽減できない場合は,抗菌薬による長期予防療法を考慮する。

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