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尿細管間質性疾患の概要

執筆者:

Navin Jaipaul

, MD, MHS, Loma Linda University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2019年 2月

尿細管間質性疾患は,尿細管および間質の損傷を共通の特徴とする臨床的に不均一な疾患群である。罹病期間の長い重症例では,腎全体が侵され,糸球体機能障害を来したり,腎不全に至る場合さえある。尿細管間質性疾患の主なカテゴリーは以下の通りである:

鎮痛薬腎症 鎮痛薬腎症 鎮痛薬腎症は,生涯を通じて特定の鎮痛薬を大量(例,2kg以上)に使用することによって生じる慢性尿細管間質性腎炎である。腎障害のほか,通常はネフローゼレベルに達しないタンパク尿と無菌の尿沈渣または無菌性膿尿がみられる。腎機能不全が発生すると,高血圧,貧血,および尿濃縮能障害が生じる。後期に乳頭壊死が生じる。診断は鎮痛薬の使用歴と単純CTの結... さらに読む は慢性間質性腎炎の一種であり,逆流性腎症 膀胱尿管逆流症と逆流性腎症 逆流性腎症は膀胱尿管逆流によって感染尿が腎実質内に逆流することで誘発されると推定される腎瘢痕である。診断は,尿路感染症を呈するか逆流性腎症の家族歴を有する小児で,または出生前超音波検査で水腎症が認められる場合に疑われる。診断は排尿時膀胱尿道造影または膀胱シンチグラフィーによる。中等度または重度の逆流を呈する小児は,予防的抗菌薬投与または外... さらに読む 膀胱尿管逆流症と逆流性腎症 および骨髄腫腎 骨髄腫関連腎疾患 多発性骨髄腫患者では単クローン性のIg軽鎖(ベンスジョーンズタンパク質)が過剰産生されるが,それらの軽鎖は糸球体により濾過され,腎毒性を有するため,様々な形態(遊離,尿細管円柱,アミロイド)で腎実質のほぼ全領域に損害を与える可能性がある。診断は尿検査(スルホサリチル酸検査もしくはタンパク質電気泳動)または腎生検による。治療は多発性骨髄腫と... さらに読む 骨髄腫関連腎疾患 では慢性尿細管間質性腎炎が生じる可能性がある。

病態生理

腎臓は非常に高濃度の毒性物質に曝される。腎臓は全組織のうち血液供給量が最も多く(約1.25L/minまたは心拍出量の25%),未結合の溶質は100mL/min以上の糸球体濾過により循環系から排除され,その結果,毒性物質は他の組織の50倍の速度で,かつ非常に高い濃度で送達される。尿が濃縮される際には,尿細管細胞の管腔表面は血漿と比べて300~1000倍高い濃度に曝露する可能性がある。近位尿細管細胞の微細な刷子縁は莫大な表面積をもつ。対向流機序により,髄質の間質液のイオン濃度は最大で血漿中濃度の4倍まで上昇する(それにより尿濃度が上昇する)。

さらに,毒性物質に曝露した細胞の脆弱性に複数の因子が影響を及ぼしうる:

  • 尿細管の輸送機構は,正常な状態では細胞を毒性から保護している結合タンパク質から薬物を切り離す。

  • 経細胞輸送は,細胞の内部および細胞内小器官を新たに遭遇した化学物質に曝露させる。

  • 一部の薬物の結合部位(例,スルフヒドリル基)は,流入を容易にするが,流出を遅延させる場合がある(例,重金属)。

  • 化学反応(例,アルカリ化,酸性化)は,いずれの方向にも輸送を変化させる可能性がある。

  • 輸送受容体の阻害は組織の曝露を変化させる可能性がある(例,アミノフィリンなどによるアデノシンA1受容体の阻害による利尿は曝露量を低下させる可能性がある)。

  • 腎は組織1g当たりの酸素およびブドウ糖消費量が最も高いため,細胞エネルギー代謝に作用する毒性物質に対して脆弱である。

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