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腎性糖尿

(腎性糖尿)

執筆者:

L. Aimee Hechanova

, MD, Texas Tech University Health Sciences Center, El Paso

レビュー/改訂 2020年 7月
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腎性糖尿では,正常な血漿血糖値の存在下にグルコースが尿中に排泄される。

腎性糖尿は遺伝する可能性がある。この病型は,通常グルコース最大輸送量(グルコースを再吸収できる最大速度)の減少と,それに続いて起こる尿中へのグルコース漏出が関与する。遺伝性の場合は通常,不完全劣性の形質として遺伝する(ヘテロ接合体である程度の糖尿がみられる)。

腎性糖尿は,腎機能のその他の異常を伴わずに起こるか,または近位尿細管機能の広範な欠陥の一部として起こる場合がある(ファンコニ症候群 ファンコニ症候群 ファンコニ症候群は,糖尿,リン酸尿,汎アミノ酸尿,および重炭酸塩喪失を引き起こす 近位尿細管再吸収の複数の異常から構成される。遺伝性の場合と後天性の場合がある。小児でみられる症状は,発育不良,発育遅滞,およびくる病である。成人でみられる症状は,骨軟化症および筋力低下である。診断は糖尿,リン酸尿,およびアミノ酸尿を示すことによる。治療法は,ときに重炭酸塩およびカリウムの補充,原因となっている腎毒性物質の除去,ならびに腎不全に対する処置であ... さらに読む )。また,種々の全身性疾患に併発することがあり,これには,シスチン症, ウィルソン病 ウィルソン病 ウィルソン病では,結果として肝および他の臓器に銅が蓄積する。肝症状または神経症状が出現する。診断は,血清セルロプラスミン濃度の低値,銅の尿中排泄量の高値,およびときに肝生検の結果に基づく。治療は,低銅食およびペニシラミンまたはトリエンチンなどの薬物から成る。 ウィルソン病は,男女ともに罹患する銅代謝の障害であり,約30,000人中1人にみられる。罹患者は,13番染色体に位置する劣性遺伝子変異体がホモ接合型である。人口の約1... さらに読む ウィルソン病 遺伝性チロシン血症 チロシン代謝異常症 チロシンは,いくつかの神経伝達物質(例,ドパミン,ノルアドレナリン,アドレナリン),ホルモン(例,サイロキシン),およびメラニンの前駆物質となるアミノ酸であり,その代謝に関与する酵素の異常により様々な症候群が引き起こされる。 フェニルアラニンおよびチロシンの代謝異常には数多くの疾患がある( 表を参照)。 遺伝性代謝疾患が疑われる患者へのアプローチおよび 遺伝性代謝疾患が疑われる場合の検査も参照のこと。... さらに読む ,眼脳腎症候群(Lowe症候群)がある。

症状と徴候

腎性糖尿は無症候性で,重篤な続発症もない。しかしながら,近位尿細管機能に広範な欠陥を伴っている場合には,症候として低リン血症性くる病,体液量減少,低身長,筋緊張低下,白内障または緑内障の眼変化(眼脳腎症候群)またはカイザー-フライシャー輪(ウィルソン病)などがみられる場合がある。このような所見が認められる場合は,糖尿以外の輸送障害を検索すべきである。

診断

  • 尿検査

  • 24時間蓄尿

本疾患は,典型的にはルーチンの尿検査で最初に発見される。

診断は,高血糖が存在しない状況(血清血糖値140mg/dL未満)での24時間蓄尿におけるグルコースの所見(食事の炭水化物含有率50%)に基づく。排泄された糖がグルコースであることを確認し,ペントース尿,フルクトース尿,スクロース尿,マルトース尿,ガラクトース尿,ラクトース尿を除外するために,全ての臨床検査測定でグルコースオキシダーゼ法を用いるべきである。一部の専門家は診断をする上で経口ブドウ糖負荷試験の結果が正常であることを要求する。

治療

  • 治療は不要

散発性腎性糖尿は良性であり,治療は必要ない。

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