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ネフロン癆と常染色体優性尿細管間質性腎疾患(ADTKD)

執筆者:

Navin Jaipaul

, MD, MHS, Loma Linda University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 1月
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ネフロン癆と常染色体優性尿細管間質性腎疾患(ADTKD)は,腎髄質または皮髄境界に限局した嚢胞形成を引き起こし,最終的に末期腎臓病を来す遺伝性疾患である。

ネフロン癆と常染色体優性尿細管間質性腎疾患(ADTKD)は,共通する特徴が多くあることから,同じ疾患群に分類されている。病理学的には,これらの疾患は腎髄質または皮髄境界に限局した嚢胞形成を引き起こす可能性があるほか,尿細管萎縮,尿細管基底膜の崩壊,および間質線維化の3主徴をもたらす。嚢胞が存在する場合と存在しない場合があるが,ある場合は尿細管の拡張により生じたものである。これらの疾患はおそらく類似の機序を共有しているが,十分に検討されていない。両疾患の特徴としては以下のものがある:

  • バソプレシン(ADH)抵抗性の尿濃縮能の欠損であり,多尿および多飲をもたらす

  • 重度のナトリウム喪失では補充が必要となる。

  • 貧血

  • 軽度のタンパク尿を示す傾向と良性の尿沈渣所見

  • 最終的には末期腎臓病(ESRD)

ネフロン癆

遺伝形式は常染色体劣性である。ネフロン癆は,小児および若年成人(20歳未満)において腎不全を伴う慢性腎臓病の最大15%を占める。3つの病型がある:

  • 乳児型,発症年齢の中央値は1歳

  • 若年型,発症年齢の中央値は13歳

  • 青年型,発症年齢の中央値は19歳

これまでにネフロン癆の患者で11の遺伝子変異が同定されている。NPHP1遺伝子の変異が最も一般的であり,約30~60%の患者で同定される。ネフロン癆患者の約10%では他の臨床像もみられ,具体的には網膜色素変性,肝線維症,知的障害,その他の神経因性異常などがある。

診断

  • 画像検査,遺伝子検査,またはその両方

以下のものがみられる小児では,特に尿沈渣所見が良性の場合,本疾患を疑うべきである:

  • 多飲および多尿

  • 進行性の腎機能低下,特に高血圧を伴わない場合

  • 腎以外の付随所見

  • 腎不全の程度と不釣り合いな貧血

タンパク尿は通常みられない。診断は画像検査により確定されるが,嚢胞はしばしば疾患の末期にのみ発生する。超音波検査,CT,またはMRIにより,平滑な輪郭をした正常大または小さな腎臓,皮髄境界の消失,および皮質髄質境界部の多発性嚢胞を認める場合がある。水腎症は典型的にはみられない。遺伝子検査が利用できる。

治療

  • 支持療法

早期での治療は, 高血圧 高血圧の概要 高血圧とは,安静時の収縮期血圧(130mmHg以上),拡張期血圧(80mmHg以上),またはその両方が高値で維持されている状態である。原因不明の高血圧(本態性高血圧)が最も多くを占める。原因が判明する高血圧(二次性高血圧)は通常,睡眠時無呼吸症候群,慢性腎臓病,または原発性アルドステロン症に起因する。高血圧は重症となるか長期間持続しない限... さらに読む 高血圧の概要 電解質異常 腎臓および電解質の異常 肝疾患はしばしば全身性の症状や異常を引き起こす。 ( 肝臓の構造および機能と 肝疾患を有する患者の評価も参照のこと。) 進行した肝不全では,低血圧によって腎機能障害が生じることがある。進行した肝不全または 肝硬変で生じる血流亢進(心拍出量および心拍数の増加)と低血圧の発生機序については,ほとんど解明されていない。しかしながら,おそらくは両方とも末梢動脈の拡張が寄与していると考えられている。肝硬変に寄与しうる因子としては,交感神経緊張の変... さらに読む および 酸塩基平衡障害 酸塩基平衡障害 酸塩基平衡障害は,二酸化炭素分圧(Pco2)または血清中の重炭酸イオン(HCO3)濃度が病的に変化した状態であり,その結果,典型的には動脈血のpHが異常値を示す。 アシデミアは血清pHが7.35未満の状態である。 アルカレミアは血清pHが7.45を上回ることである。 アシドーシスは酸の蓄積またはアルカリの欠乏を引き起こす生理的過程を指す。 アルカローシスはアルカリの蓄積または酸の欠乏を引き起こす生理的過程を指す。 さらに読む ,ならびに 貧血 赤血球産生低下の概要 貧血(赤血球数,ヘモグロビン量,またはヘマトクリットの減少)は, 赤血球産生(赤血球造血)の低下,赤血球崩壊の増加,失血,またはこれらの因子の組合せの結果として生じることがある。( 貧血患者へのアプローチも参照のこと。) 赤血球産生低下による貧血(hypoproliferative... さらに読む の管理である。発育不全がみられる小児は,栄養剤および成長ホルモン療法に反応する場合がある。最終的には全ての患者が 慢性腎臓病 慢性腎臓病 慢性腎臓病(CKD)とは,腎機能が長期にわたり進行性に悪化する病態である。症状は緩徐に現れ,進行すると食欲不振,悪心,嘔吐,口内炎,味覚異常,夜間頻尿,倦怠感,疲労,そう痒,精神的集中力の低下,筋収縮,筋痙攣,水分貯留,低栄養,末梢神経障害,痙攣発作などがみられる。診断は腎機能検査に基づき,ときに続いて腎生検を施行する。治療は主に基礎疾患... さらに読む 慢性腎臓病 を来し, 透析 血液透析 血液透析では,患者の血液をポンプで血液透析器に送り込むが,透析器は中空糸でできた細管の束またはサンドイッチ状に平行に挟んだ半透膜シートで構成される2つの液体コンパートメントを有する。いずれの構造においても,第1のコンパートメントの血液は半透膜の片側に沿ってポンプで送られ,膜を隔てた他方では電解質輸液(透析液)が別個のコンパートメントで血液とは反対方向にポンプで送られる。(その他の腎代替療法[RRT]については,... さらに読む または 移植 腎移植 腎移植は最もよく行われる実質臓器移植である。( 移植の概要も参照のこと。) 腎移植の主な適応は以下の通りである: 末期腎不全 絶対的禁忌としては以下のものがある: 移植片の生着を危うくしかねない併存症(例,重度の心疾患,悪性腫瘍),これらは徹底的なスクリーニングにより検出可能 さらに読む が必要となる。

常染色体優性尿細管間質性腎疾患(ADTKD)

これらの疾患に共通する病理組織学的変化として以下のものがある:

  • 間質の線維化

  • 尿細管の萎縮

  • 尿細管基底膜の肥厚

  • ときに尿細管拡張の結果としての嚢胞形成

  • 蛍光抗体法で補体および免疫グロブリンの染色を認めない

常染色体優性尿細管間質性腎疾患は30歳代から70歳代で発症する。約15%の患者は家族歴がなく,散発的な新規変異が示唆される。高血圧がよくみられるが,通常は重度にはならず,典型的には腎機能障害の発症に先行することはない。高尿酸血症および痛風がよくみられ,これらは有意な腎機能不全の発症に先行することがある。典型的には,30~50歳でESRDが発生する。以下がみられる患者では,特に尿沈渣所見が良性の場合,ADTKDを疑うべきである:

タンパク尿はないか軽度である。画像検査の結果は,ネフロン癆と多くの類似点がみられるが,腎髄質嚢胞はときに視認できるのみである。遺伝子検査により診断を確定できる。家系内の少なくとも1人の罹患者で腎生検が必要になる場合がある。

治療に関する参考文献

要点

  • ネフロン癆と常染色体優性尿細管間質性腎疾患は,尿濃縮能の低下(多飲および多尿を伴う),ナトリウム喪失,貧血,およびESRDを引き起こす。

  • ネフロン癆は常染色体劣性遺伝疾患であり,小児期にESRDを引き起こすのに対し,ADTKDは常染色体優性遺伝疾患であり,30~50歳でESRDを引き起こす。

  • 腎臓の画像検査を施行し,可能な場合は遺伝子検査を行う。

  • 合併疾患を治療し,腎疾患に対して支持療法を行う。

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