(肝臓の構造および機能 肝臓の構造および機能 肝臓は代謝的に最も複雑な臓器である。肝細胞(肝実質細胞)は以下の肝代謝機能を担っている: ビリルビン代謝における胆汁の産生および排泄(Professional.see sidebar ビリルビン代謝の概要) 炭水化物のホメオスタシスの調節 脂質合成と血漿リポタンパク質の分泌 コレステロール代謝の調節 さらに読む と肝疾患を有する患者の評価 肝疾患を有する患者の評価 様々な症状が発生しうるが,肝疾患に特異的なものはほとんどない: よくみられる非特異的な症状として,疲労,食欲不振,悪心,また特に重度の疾患ではときに嘔吐がみられる。 脂肪性の軟便(脂肪便)は,胆汁うっ滞により十分な胆汁が腸管に到達しない場合にみられる。脂肪便がみられる患者では,脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の欠乏症のリスクがある。よくみられる続発症として,骨粗鬆症と出血がある。... さらに読む も参照のこと。)
常染色体劣性のI型(完全型)では,重度の高ビリルビン血症が生じる。通常は1歳までに核黄疸 核黄疸 核黄疸とは,大脳基底核および脳幹核への非抱合型ビリルビンの沈着による脳の損傷のことである。 正常では,血清アルブミンと結合しているビリルビンは血管内腔に保たれる。しかしながら,血清ビリルビン濃度が著しく上昇している場合(高ビリルビン血症),血清アルブミン濃度が著しく低い場合(例,早期産児の場合),またはビリルビンと競合する物質(例,スルフイソキサゾール,セフトリアキソン,アスピリン;絶食状態,敗血症またはアシドーシスの新生児における遊離... さらに読む により死亡するが,成人まで生存する場合もある。治療法としては,光線療法や肝移植 肝移植 肝移植は,実質臓器の移植の中で2番目に多い。(移植の概要も参照のこと。) 肝移植の適応としては以下のものがある: 肝硬変(米国では移植全体の70%;そのうち60~70%がC型肝炎によるもの) 劇症型の肝壊死(fulminant hepatic necrosis)(約8%) 肝細胞癌(約7%) さらに読む などがある。
常染色体優性(浸透率は一定でない)のII型(部分型)では,しばしば比較的軽度の高ビリルビン血症(20mg/dL未満[342μmol/L未満])がみられ,通常は神経損傷を生じることなく成人期まで生存する。フェノバルビタール(1.5~2mg/kg,経口,1日3回)は,部分的に欠乏したグルクロン酸転移酵素を誘導する作用があり,効果的となる場合がある。