Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

急性肝不全

(劇症肝不全)

執筆者:

Steven K. Herrine

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2018年 1月
患者さん向けの 同じトピックページ はこちら
本ページのリソース

急性肝不全は,薬物および肝炎ウイルスによって引き起こされる場合が最も多い。主な臨床像は,黄疸,凝固障害,および脳症である。診断は臨床的に行う。治療は支持療法が中心であるが,ときに肝移植および/または特異的な治療(例,アセトアミノフェンの毒性に対するN-アセチルシステイン)も行う。

icon

病因

全体でみると,急性肝不全の最も一般的な原因は以下のものである:

  • ウイルス

  • 薬物および毒性物質

通常,発展途上国では,ウイルス性肝炎が最も一般的な原因と考えられ,先進国では毒性物質が最も一般的な原因と考えられている。

全体でみると,最も一般的な原因ウイルスはB型肝炎ウイルス(D型肝炎 D型肝炎 D型肝炎は,B型肝炎ウイルスの存在下でしか複製できない不完全なRNAウイルス(δ因子)によって引き起こされる。頻度は高くないが,B型急性肝炎との同時感染またはB型慢性肝炎への重複感染として発生する。 (肝炎の原因および急性ウイルス性肝炎の概要も参照のこと。) D型肝炎は通常,血液感染か汚染された血液または体液の粘膜接触によって伝播する。感染した肝細胞内にはB型肝炎表面抗原(HBs抗原)で覆われたδ粒子がみられる。... さらに読む との同時感染が多い)であり,C型肝炎は一般的な原因ではない。他に原因となりうるウイルスには,サイトメガロウイルス,エプスタイン-バーウイルス,単純ヘルペスウイルス,ヒトヘルペスウイルス6型,パルボウイルスB19,水痘帯状疱疹ウイルス,A型肝炎ウイルス(まれ),E型肝炎ウイルス(特に妊娠中に接触した場合),出血熱を引き起こすウイルスなどがある(Professional.see page アルボウイルス(節足動物媒介ウイルス)という名称は,特定の吸血性節足動物,主に昆虫(ハエおよび蚊)とクモ形網動物(マダニ)を媒介生物としてヒトおよび/または他の脊椎動物に伝播する全てのウイルスに適用される。アルボウイルスは,ウイルスゲノムの性質および構造に基づいた現在のウイルス分類体系には含まれていない。... さらに読む )。

最も一般的な毒性物質はアセトアミノフェン アセトアミノフェン中毒 アセトアミノフェン中毒は,摂取から数時間以内に胃腸炎,および1~3日後に肝毒性を引き起こしうる。単回急性過剰摂取後の肝毒性の重症度は,血清アセトアミノフェン濃度から予測される。治療は,肝毒性を予防するかまたは最小限に抑えるN-アセチルシステインによる。 (中毒の一般原則も参照のこと。) アセトアミノフェンはOTCで販売されている100種類を超える製品に含まれている。製品には多数の小児用の液剤,錠剤,およびカプセル剤や,多数の鎮咳薬および... さらに読む であり,その毒性は用量と関連する。アセトアミノフェンによる肝不全に対する素因には,既存の肝疾患,慢性飲酒,チトクロムP450酵素を誘導する薬物(例,抗てんかん薬)の使用などがある。その他の毒性物質としては,アモキシシリン/クラブラン酸,ハロタン,鉄化合物,イソニアジド,NSAID,ハーブ製品に含まれる一部の化合物,タマゴテングタケ,キノコなどがある(Professional.see heading on page 薬物による肝障害 薬物による肝障害 多くの薬物(例,スタチン系薬剤)により,無症状の肝酵素値(ALT,AST,アルカリホスファターゼ)の上昇がよく引き起こされる。一方,臨床的に重大な肝障害(例,黄疸,腹痛,そう痒),すなわちタンパク質合成が障害される肝機能障害(例,プロトロンビン時間[PT]延長,低アルブミン血症)はまれである。 薬剤性肝障害(drug-induced liver injury:DILI)という用語は,臨床的に重大な肝障害を指して用いられる場合と,全ての肝... さらに読む )。薬物の反応には特異体質性のものもある。

比較的まれな原因としては以下のものがある:

  • 血管疾患

  • 代謝性疾患

血管性の原因には,肝静脈血栓症(バッド-キアリ症候群 バッド-キアリ症候群 バッド-キアリ症候群は,肝臓内の細い肝静脈から下大静脈,右房に至るまでのいずれかの部位で肝静脈流出路が閉塞する病態である。その臨床像は多様で,無症状のこともあれば,劇症肝不全に至ることもある。診断は超音波検査に基づく。治療には支持療法のほか,血栓溶解療法,シャントによる減圧および長期的な抗凝固療法のように静脈開存性を確立し,維持する方法がある。 (肝臓の血管障害の概要も参照のこと。)... さらに読む ),虚血性肝炎,門脈血栓症,類洞閉塞症候群(肝中心静脈閉塞症 肝中心静脈閉塞症 肝中心静脈閉塞症は,内皮細胞の損傷によって引き起こされ,肝静脈や下大静脈(バッド-キアリ症候群で障害される)よりむしろ,中心静脈および類洞の非血栓性閉塞が生じる。 (肝臓の血管障害の概要も参照のこと。) 静脈うっ滞により門脈圧亢進症と虚血性壊死(肝硬変につながる)が引き起こされる。 一般的な原因としては以下のものがある: 放射線照射 さらに読む とも呼ばれ,ときに薬物または毒性物質が原因となる)などがある。代謝性の原因には,急性妊娠性脂肪肝 妊娠脂肪肝 妊娠中の肝疾患は以下の可能性がある: 妊娠に特有 既存 妊娠と同時に生じ,おそらく妊娠により増悪 黄疸は,産科以外の病態によって起こることもあれば,産科の病態によって起こることもある。 さらに読む ,HELLP症候群(溶血,肝機能検査値上昇,血小板数低値),ライ症候群 ライ症候群 ライ症候群は,ある種の急性ウイルス感染に続発する傾向のある(特にサリチル酸系薬剤が使用された場合に多い),急性脳症と肝臓の脂肪浸潤のまれな病型である。診断は臨床的に行う。治療は支持療法による。 ライ症候群の原因は不明であるが,症例の多くはA型もしくはB型インフルエンザまたは水痘の感染に続発するようである。これらの疾病治療中にサリチル酸系薬剤(一般的にアスピリン)を使用した場合,発生リスクが35倍に上昇する。この知見により,米国では198... さらに読む ウィルソン病 ウィルソン病 ウィルソン病では,結果として肝および他の臓器に銅が蓄積する。肝症状または神経症状が出現する。診断は,血清セルロプラスミン濃度の低値,銅の尿中排泄量の高値,およびときに肝生検の結果に基づく。治療は,低銅食およびペニシラミンまたはトリエンチンなどの薬物から成る。 ウィルソン病は,男女ともに罹患する銅代謝の障害であり,約30,000人中1人にみられる。罹患者は,13番染色体に位置する劣性遺伝子変異体がホモ接合型である。人口の約1... さらに読む ウィルソン病 などがある。その他の原因としては,自己免疫性肝炎 慢性肝炎の概要 慢性肝炎は肝炎が6カ月以上続く場合をいう。一般的な原因としては,B型およびC型肝炎ウイルス,自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎),脂肪肝炎(非アルコール性脂肪肝炎またはアルコール性肝炎)などがある。多くの患者では急性肝炎の病歴がなく,最初の徴候は無症候性のアミノトランスフェラーゼ高値である。受診時から肝硬変やその合併症(例,門脈圧亢進症)がみられる場合もある。確定診断とグレードおよび病期の判定のために,生検が必要となる。治療は合併症と基礎... さらに読む ,がんの肝転移,熱中症,敗血症などがある。原因を確定できない症例は20%に上る。

病態生理

急性肝不全では,多くの器官系が機能不全に陥るが,その原因や機序はしばしば不明である。障害される系統には以下のものがある:

症状と徴候

特徴的な臨床像は,精神状態の変化(通常は門脈大循環性脳症の一部),出血,紫斑,黄疸 黄疸 黄疸とは,高ビリルビン血症によって皮膚および粘膜が黄色化した状態である。ビリルビン値が約2~3mg/dL(34~51μmol/L)になると,肉眼的に黄疸が明らかとなる。 (肝臓の構造および機能と肝疾患を有する患者の評価も参照のこと。) ビリルビンの大半は,ヘモグロビンが非抱合型ビリルビン(と他の物質)に分解される際に生成される。非抱合型ビリルビンは,血中でアルブミンと結合して肝臓に輸送され,肝細胞に取り込まれ,グルクロン酸抱合を受けて水... さらに読む 黄疸 腹水 腹水 腹水とは,腹腔内に液体が貯留した状態のことである。最も一般的な原因は門脈圧亢進症である。症状は通常,腹部膨隆により生じる。診断は身体診察のほか,しばしば超音波検査またはCTに基づく。治療法としては,食塩制限,利尿薬,腹水穿刺などがある。腹水に感染が起こることもあり(特発性細菌性腹膜炎),しばしば疼痛と発熱を伴う。感染の診断には腹水の分析および培養が必要である。感染は抗菌薬で治療する。... さらに読む である。その他の症状は非特異的なもの(例,倦怠感,食欲不振)か,あるいは原因となった疾患の結果である。肝性口臭(かび臭い,または甘い口臭)と運動機能不全がよくみられる。頻脈,頻呼吸,低血圧がみられ,敗血症を伴うこともある。脳浮腫の徴候には,昏睡を含む意識障害,徐脈,高血圧などがある。感染症のある患者では,ときに局所症状(例,咳嗽,排尿困難)がみられることもあるが,無症状の場合もある。

診断

  • 高ビリルビン血症がある患者でのPT延長および/または脳症の臨床像と,アミノトランスフェラーゼ値の上昇

  • 原因を同定するため:薬物使用歴,毒性物質への曝露歴,肝炎ウイルスの血清学的検査,自己免疫マーカー,臨床的な疑いに基づくその他の検査

急性黄疸,原因不明の出血,または精神状態の変化(脳症の可能性を示唆する)がみられた場合,もしくは,すでに肝疾患の存在が判明している患者で急な増悪がみられた場合には,急性肝不全を疑うべきである。

肝不全の有無および重症度を確認すための臨床検査項目には,肝酵素,ビリルビン,PTがある。急性肝障害の臨床症状や臨床検査値異常がみられる患者において,感覚器官の異常,4秒を超えるPT延長,またはIND > 1.5の所見がみられた場合は,通常,急性肝不全が確認されたと判断する。肝硬変の所見は,肝不全が慢性であることを示唆する。

急性肝不全の患者には,合併症の検査を行うべきである。初期評価で通常実施される検査には,血算,血清電解質(カルシウム,リン,マグネシウム),腎機能検査,尿検査などがある。急性肝不全が確認された場合は,動脈血ガス,アミラーゼ,リパーゼの測定とタイプアンドスクリーンも行う。血漿アンモニア値は,ときに脳症の診断や重症度のモニタリングに推奨されることがある。循環亢進や頻呼吸がある場合は,培養(血液,尿,腹水)と胸部X線を施行して感染を除外するべきである。精神状態の異常や悪化がみられる場合,とりわけ凝固障害のある患者では,頭蓋内出血を除外するため,頭部CTを施行する。

急性肝不全の原因を同定するため,処方薬,OTC薬,ハーブ製品,栄養補助食品を含めた毒性物質について,詳細な摂取歴を調べるべきである。原因を同定するためにルーチンで施行される検査としては以下のものがある:

  • ウイルス性肝炎の血清学的検査(例,A型肝炎ウイルスに対するIgM抗体[IgM-HAV抗体],B型肝炎表面抗原[HBs抗原],B型肝炎抗原に対するIgM抗体[IgM-HBc抗体],C型肝炎ウイルスに対する抗体[HCV抗体])

  • 自己免疫マーカー(例,抗核抗体[ANA],抗平滑筋抗体,免疫グロブリン値)

所見と臨床的な疑いに基づいて施行されるその他の検査としては以下のものがある:

合併症(例,感染症と一致するバイタルサインの微妙な変化)が発生していないか,注意深く患者をモニタリングすべきであり,検査を必要と判定する閾値は低く設定すべきである。例えば,精神状態の悪化がみられても脳症によるものと推測すべきではない;このような場合は,頭部CTやベッドサイドでの頻回の血糖値検査を施行すべきである。ほとんどの症例で,ルーチンの臨床検査(例,PT,血清電解質,腎機能検査,血糖値,動脈血ガスなどを連日測定する)を頻回に繰り返すべきである。しかしながら,さらに頻回の検査が必要となる場合もある(例,重度の脳症がある患者では,2時間毎に血糖値を測定する)。

予後

予後予測は困難となることがある。重要な予測因子としては以下のものがある:

  • 脳症の程度:脳症が重度の場合は予後不良

  • 患者の年齢:10歳未満または40歳以上の場合は予後不良

  • PT:PTの延長がみられる場合は予後不良

  • 急性肝不全の原因:アセトアミノフェンの毒性,A型肝炎,またはB型肝炎の場合,特異体質性の薬物反応やウィルソン病と比較して予後良好

様々なスコア(例えば,King's College基準またはAcute Physiologic Assessment and Chronic Health Evaluation II [APACHE II]スコア)により集団レベルでの予後を予測することができるが,個々の患者レベルでの予測精度は高くない。

治療

  • 支持療法

  • アセトアミノフェンの毒性に対するN‐アセチルシステイン

  • ときに肝移植

(American Association for the Study of Liver Diseasesの診療ガイドライン,Management of Acute Liver Failure: Update 2011も参照のこと。)

可能な限り,肝移植 肝移植 肝移植は,実質臓器の移植の中で2番目に多い。(移植の概要も参照のこと。) 肝移植の適応としては以下のものがある: 肝硬変(米国では移植全体の70%;そのうち60~70%がC型肝炎によるもの) 劇症型の肝壊死(fulminant hepatic necrosis)(約8%) 肝細胞癌(約7%) さらに読む が可能な施設のICUで治療を行うべきである。状態の悪化は急速に進むことがあり,肝不全の進行とともに合併症(例,出血,誤嚥,進行性のショック)が起こりやすくなるため,患者の搬送を可能な限り早く行うべきである。

集中的な支持療法が治療の中心である。急性肝不全の症状(例,低血圧,鎮静)を悪化させる薬剤は,使用を控えるか,可能な限り低用量で使用すべきである。

低血圧および急性腎障害では,組織灌流を最大限に促進させることが治療の目標となる。治療には,輸液と通常は抗菌薬の経験的投与(敗血症が除外されるまで)が含まれる。低血圧が約20mL/kgの電解質輸液に反応しない場合は,輸液療法の参考にするため,肺毛細血管楔入圧の測定を考慮すべきである。充満圧が十分であるにもかかわらず低血圧が持続する場合は,昇圧薬(例,ドパミン,アドレナリン,ノルアドレナリン)の使用を考慮すべきである。

脳症では,ベッドの頭側を30°挙上して誤嚥のリスクを下げる;挿管を早期に考慮すべきである。薬剤とその用量を選択する際には,脳症の重症度をモニタリングできるように,鎮静を最小限に抑えるよう努めるべきである。頭蓋内圧亢進を予防し,作用の持続時間が短く,鎮静からの回復が迅速であることから,挿管のための誘導剤としては通常,プロポフォールが使用される。ラクツロースは脳症に役立つ可能性があるが,精神状態の変化がみられる患者には,挿管しない限り,経口または経鼻胃管で投与することはできない;1日2回以上の排便がみられる場合の用量は,1~2時間毎に50mLを経口投与するか,300mLを1Lの生理食塩水に希釈して直腸内に投与する。頭蓋内圧の亢進および脳灌流圧の低下を回避するための対策を講じる:

  • 頭蓋内圧の急激な上昇を回避する:バルサルバ効果を招く可能性のある刺激は避ける(例,咽頭反射を予防するため,気管内吸引の前にリドカインを投与する)。

  • 脳血流を一時的に減少させる:浸透圧利尿を誘導するためマンニトール(0.5~1g/kg,必要に応じて1または2回繰り返す)を投与し,おそらくは短時間の過換気を行うことができる(特にヘルニアが疑われる場合)。

  • 頭蓋内圧のモニタリング:頭蓋内圧のモニタリングに伴うリスク(例,感染,出血)が,脳浮腫の早期発見やICPを参考にした輸液および昇圧療法の開始というベネフィットを上回るかどうか,上回るとしてそれはどのような場合かは明らかにされておらず,脳症が重度の場合にのみモニタリングを推奨する専門家もいる。治療の目標は,頭蓋内圧20mmHg未満かつ脳灌流圧50mmHg以上にすることである。

痙攣発作はフェニトインで治療する;ベンゾジアゼピン系薬剤は鎮静作用があるため,使用を控えるか,低用量でのみ使用する。

感染症は抗菌薬および/または抗真菌薬で治療する;何らかの感染徴候(例,発熱,局所的徴候,血行動態,精神状態または腎機能の悪化)がみられたらすぐに治療を開始する。感染症の徴候は急性肝不全の徴候と重複するため,感染症治療は培養の結果が出るまで過剰治療となる可能性が高い。

電解質欠乏のため,ナトリウム,カリウム,リン,またはマグネシウムの補給が必要になる場合がある。

低血糖はブドウ糖の持続静注(例,10%ブドウ糖)で治療するが,脳症が低血糖症状をマスクする可能性があるため,血糖値を頻繁にモニタリングすべきである。

凝固障害については,出血が起きた場合,侵襲的な処置を予定している場合,また凝固障害が重度(例,INR > 7)の場合にも,新鮮凍結血漿で治療する。新鮮凍結血漿は体液量過剰を招き,脳浮腫を悪化させる可能性があるため,この状況以外では使用を控えるべきである。また新鮮凍結血漿を使用する場合には,PT(急性肝不全の重症度の重要な指標で,ときに肝移植の基準としても用いられる)の変化もモニタリングできなくなる。体液量過剰のある患者には,ときに遺伝子組換え第VII因子を新鮮凍結血漿の代わりに,または新鮮凍結血漿と併用して使用する。その役割については検討中である。消化管出血の予防にH2受容体拮抗薬が役立つことがある。

食事の取れない患者では,栄養サポートが必要となる。厳しいタンパク質制限は必要なく,1日当たり60gの摂取が推奨される。

肝移植 肝移植 肝移植は,実質臓器の移植の中で2番目に多い。(移植の概要も参照のこと。) 肝移植の適応としては以下のものがある: 肝硬変(米国では移植全体の70%;そのうち60~70%がC型肝炎によるもの) 劇症型の肝壊死(fulminant hepatic necrosis)(約8%) 肝細胞癌(約7%) さらに読む を行えば,平均で約80%の1年生存率が得られる。したがって,移植なしの方が予後が不良になる場合には,移植が推奨される。ただし,予測は困難であり,King's College基準やAPACHE II などのスコア判定も,肝移植の唯一の基準として用いるには感度・特異度とも十分ではない;したがって,これらは臨床判断(例,危険因子に基づく判断)の補足情報として用いられる。

要点

  • 急性肝不全の原因として最も頻度が高いものは,ウイルス性肝炎(発展途上国)と薬物および毒性物質(先進国)である。

  • 急性肝不全は,黄疸,凝固障害,および脳症を特徴とする。

  • 高ビリルビン血症とアミノトランスフェラーゼ高値を認める患者において,PTの延長または脳症の臨床像を確認することにより,本症の診断を確定する。

  • 薬物使用歴および毒性物質への曝露歴,肝炎ウイルスの血清学的検査,自己免疫マーカー,臨床的な疑いに基づくその他の検査で評価することにより,原因を同定する。

  • 通常はICUで,集中的に合併症の治療を行う。

  • アセトアミノフェンによる肝不全にはN‐アセチルシステインを,予後不良因子(例,年齢10歳未満または40歳以上,重度の脳症,重度のPT延長,特異体質性薬物反応,ウィルソン病)のある患者には肝移植を考慮する。

患者さん向けの 同じトピックページ はこちら
家庭版で同じトピック をみる
よく一緒に読まれているトピック
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS

おすすめコンテンツ

医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
TOP