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C型肝炎,慢性

執筆者:

Anna E. Rutherford

, MD, MPH, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2019年 1月
本ページのリソース

C型肝炎は,慢性肝炎の一般的な原因の1つである。慢性肝疾患の症状が現れるまで無症状に経過する場合が多い。治療は直接作用型抗ウイルス薬とゲノタイプに応じた他の薬剤の投与による;検出限界未満までのウイルスRNAの永続的な排除が可能である。

肝炎の原因 肝炎の原因 肝炎とは,びまん性または斑状の壊死を特徴とする肝臓の炎症である。 肝炎には急性の場合と慢性(通常は6カ月以上続く場合と定義される)の場合がある。急性ウイルス性肝炎は,ほとんどの症例で自然に消失するが,慢性肝炎に進行する場合もある。 肝炎の一般的な原因としては以下のものがある: 特定の肝炎ウイルス... さらに読む 慢性肝炎の概要 慢性肝炎の概要 慢性肝炎は肝炎が6カ月以上続く場合をいう。一般的な原因としては,B型およびC型肝炎ウイルス,自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎),脂肪肝炎(非アルコール性脂肪肝炎またはアルコール性肝炎)などがある。多くの患者では急性肝炎の病歴がなく,最初の徴候は無症候性のアミノトランスフェラーゼ高値である。受診時から肝硬変やその合併症(例,門脈圧亢進症)がみられる場合もある。確定診断とグレードおよび病期の判定のために,生検が必要となる。治療は合併症と基礎... さらに読む ,およびC型急性肝炎 C型肝炎,急性 C型肝炎は,しばしば血液感染するRNAウイルスによって引き起こされる。ときに食欲不振や倦怠感,黄疸などのウイルス性肝炎の典型症状を引き起こすが,無症状のこともある。まれに劇症肝炎や死に至る。約75%で慢性肝炎となり,肝硬変やまれに肝細胞癌に至ることもある。診断は血清学的検査による。治療は支持療法である。利用可能なワクチンはない。 (肝炎の原因,急性ウイルス性肝炎の概要,およびC型慢性肝炎も参照のこと。)... さらに読む も参照のこと。)

一般に6カ月以上持続する肝炎が慢性肝炎と定義されるが,この期間は恣意的である。

C型肝炎ウイルスには6つの主なゲノタイプがあり,治療に対する反応がそれぞれ異なる。ゲノタイプ1型は2型,3型,4型,5型,6型よりも頻度が高く,米国ではC型慢性肝炎の70~80%を占めている。

C型慢性肝炎は,20~30%の患者では肝硬変 肝硬変 肝硬変は,正常な肝構築が広範に失われた肝線維化の後期の病像である。肝硬変は,密な線維化組織に囲まれた再生結節を特徴とする。症状は何年も現れないことがあり,しばしば非特異的である(例,食欲不振,疲労,体重減少)。後期の臨床像には,門脈圧亢進症,腹水,代償不全に至った場合の肝不全などがある。診断にはしばしば肝生検が必要となる。肝硬変は通常,不可逆的と考えられている。治療は支持療法である。... さらに読む に進行するが,肝硬変の出現までにはしばしば数十年を要する。HCVによる肝硬変の結果として肝細胞癌 肝細胞癌 肝細胞癌は通常,肝硬変患者に発生し,B型およびC型肝炎ウイルス感染症の有病率が高い地域ではよくみられる。症状と徴候は通常,非特異的である。診断はα-フェトプロテイン(AFP)値と画像検査のほか,ときに肝生検に基づく。高リスク患者には,定期的なAFPの測定および超音波検査によるスクリーニングがときに推奨される。癌が進行した場合の予後は不良であるが,肝臓に限局した小さな腫瘍であれば,アブレーション治療で症状を緩和でき,外科的切除または肝移植... さらに読む が生じうるが,肝硬変のない慢性感染による肝細胞癌の発生はまれである(HBV感染症とは異なる)。

総論の参考文献

症状と徴候

多くの患者は無症状に経過し,黄疸も生じないが,一部では倦怠感,食欲不振,疲労と非特異的な上腹部の不快感がみられる。しばしば,慢性肝疾患の徴候(例,脾腫,くも状血管腫,手掌紅斑)または肝硬変 肝硬変 肝硬変は,正常な肝構築が広範に失われた肝線維化の後期の病像である。肝硬変は,密な線維化組織に囲まれた再生結節を特徴とする。症状は何年も現れないことがあり,しばしば非特異的である(例,食欲不振,疲労,体重減少)。後期の臨床像には,門脈圧亢進症,腹水,代償不全に至った場合の肝不全などがある。診断にはしばしば肝生検が必要となる。肝硬変は通常,不可逆的と考えられている。治療は支持療法である。... さらに読む の合併症(例,門脈圧亢進症 門脈圧亢進症 門脈圧亢進症とは,門脈内の圧力が上昇した状態である。原因として最も頻度が高いものは,肝硬変(先進国),住血吸虫症(流行地域),および肝血管異常である。続発症として,食道静脈瘤や門脈大循環性脳症などが生じる。診断は臨床基準に基づいて行い,しばしば画像検査や内視鏡検査を併用する。治療としては,内視鏡検査,薬剤,またはその両方による消化管出血の予防のほか,ときに門脈下大静脈吻合術または肝移植を行う。... さらに読む 腹水 腹水 腹水とは,腹腔内に液体が貯留した状態のことである。最も一般的な原因は門脈圧亢進症である。症状は通常,腹部膨隆により生じる。診断は身体診察のほか,しばしば超音波検査またはCTに基づく。治療法としては,食塩制限,利尿薬,腹水穿刺などがある。腹水に感染が起こることもあり(特発性細菌性腹膜炎),しばしば疼痛と発熱を伴う。感染の診断には腹水の分析および培養が必要である。感染は抗菌薬で治療する。... さらに読む 脳症 門脈大循環性脳症 門脈大循環性脳症は精神神経症状を生じる症候群である。ほとんどの場合,門脈大循環シャントが形成された患者において,腸管内タンパク質の増加または急性の代謝ストレス(例,消化管出血,感染,電解質異常)の結果として発生する。主に精神神経症状がみられる(例,錯乱,羽ばたき振戦,昏睡)。診断は臨床所見に基づく。治療は通常,原因となっている急性の病態の是正,植物性タンパク質を主要なタンパク質源とする食事,ラクツロースの経口投与,ならびにリファキシミン... さらに読む )が最初の所見となる。

C型慢性肝炎は,ときに扁平苔癬,皮膚粘膜血管炎,糸球体腎炎 膜性増殖性糸球体腎炎 膜性増殖性糸球体腎炎は,腎炎とネフローゼが混合した特徴と顕微鏡的所見を共有する非均一的な疾患群である。ほとんどが小児で発生する。原因は免疫複合体の沈着で,特発性または全身性疾患への続発性である。診断は腎生検による。予後は一般的に不良である。治療は,適応の場合はコルチコステロイドおよび抗血小板薬による。 (ネフローゼ症候群の概要も参照のこと。) 膜性増殖性糸球体腎炎は,光学顕微鏡検査での糸球体基底膜(GBM)の肥厚および増殖性変化を組織学... さらに読む 膜性増殖性糸球体腎炎 晩発性皮膚ポルフィリン症 晩発性皮膚ポルフィリン症 晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)は比較的頻度の高い肝性ポルフィリン症であり,主に皮膚が侵される。肝疾患も一般的である。PCTは,ヘム生合成経路の酵素である肝臓のウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素の活性の後天性または遺伝性の低下に起因する(ヘム生合成経路の基質および酵素の表を参照)。ポルフィリンが蓄積するのは,特に,肝細胞に酸化ストレスの亢進が存在する場合であり,この亢進は通常,肝臓の鉄増加に起因するが,アルコール,喫煙,エストロゲン,ま... さらに読む 晩発性皮膚ポルフィリン症 混合型クリオグロブリン血症 クリオグロブリン血症 典型的には免疫グロブリンの形で血中に含まれるタンパク質が異常に増加する病態であり,それにより血管が脆弱化し,紫斑が形成されやすくなる。 (血管性の出血性疾患の概要も参照のこと。) 紫斑とは,出血によって紫調に変色した皮膚または粘膜病変のことである。小さな病変(2mm未満)は点状出血と呼ばれ,大きな病変は斑状出血または皮下出血と呼ばれる。 アミロイドーシスでは,皮膚および皮下組織の血管内にアミロイドが沈着し,それにより血管が脆弱化して紫斑... さらに読む クリオグロブリン血症 ,そしておそらくはB細胞性の非ホジキンリンパ腫を合併する。クリオグロブリン血症の症状としては,疲労,筋肉痛,関節痛,神経障害,糸球体腎炎,発疹(蕁麻疹,紫斑,白血球破砕性血管炎)などであるが,クリオグロブリン血症は無症状である場合の方が多い。

スクリーニング

  • 出生国にかかわらず1945年から1965年までに出生した

  • 違法薬物を現在使用しているか,注射で使用したことがある(1回のみでも,遠い過去でも)

  • 違法薬物を鼻腔内投与で使用したことがある

  • 1987年以前に製造された凝固因子濃縮製剤の投与を受けた

  • 1992年7月以前に輸血または臓器移植を受けた

  • 長期の血液透析による治療を現在受けているか,これまでに受けたことがある

  • ALTの異常値または原因不明の慢性肝疾患がある

  • 医療または公衆安全の職業に従事しており,針刺しや,鋭利な物体によるその他の外傷,または粘膜接触を介してHCV陽性の血液に曝露した

  • HIVに感染している

  • 収監されたことがある

  • HCV感染者の女性から生まれた

C型肝炎は肝臓を広範に障害するまでは,最初の感染から何年経過しても症状が現れない場合があることから,このような検査は重要である。

スクリーニングに関する参考文献

診断

  • 血清学的検査

(American Association for the Study of Liver Diseaseの診療ガイドライン, Diagnosis, Management, and Treatment of Hepatitis CとU.S. Preventive Services Task Forceの臨床ガイドライン, Screening for Hepatitis C in Adultsも参照のこと。)

  • 本疾患を示唆する症状および徴候

  • 偶然指摘されたアミノトランスフェラーゼ値の上昇

  • 過去に診断された急性肝炎

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肝生検は以下の1つまたは複数に対して有用である:

  • 炎症作用の分類

  • 線維化または疾患の進行に基づく病期分類(ときにどの患者をいつ治療するかの判断に役立つ)

  • 肝疾患を引き起こす他の原因の除外

しかしながら,C型肝炎における肝生検の役割は変化してきており,生検は非侵襲的な画像検査(例,超音波エラストグラフィー,磁気共鳴エラストグラフィー)と線維化の血清マーカー検査や,血清学的マーカーに基づく線維化のスコア分類に取って代わられている。

治療の経過,期間,成否に影響する因子であるため,HCVのゲノタイプを治療前に判定しておく。

HCV-RNAの検出と定量が,C型肝炎の診断の参考とし,治療中および治療後の反応を評価するために用いられている。現在利用可能なHCV-RNAの定量分析の大半は検出下限が50IU/mL以上となっている。定量分析でこの水準の感度がない場合には,定性分析を用いることが可能である。定性分析では,しばしば10IU/mL未満という極めて少量のHCV-RNAも検出でき,陽性か陰性かの結果が得られる。定性検査は,C型肝炎の診断またはウイルス学的著効(sustained virologic response:SVR)(使用した薬剤レジメンに応じて,治療完了後12週および24週時点でHCV-RNAが検出不能になる場合と定義される)を確認する目的で利用できる。

その他の検査

以前に施行されていなければ,血清ALT,AST,アルカリホスファターゼ,ビリルビンなどの肝機能検査が必要である。

疾患の重症度を評価するためには,血清アルブミン,血小板数,PT/INRなどの他の検査を施行すべきである。

C型慢性肝炎患者においてクリオグロブリン血症の症状または徴候がみられた場合は,クリオグロブリン値とリウマトイド因子を測定すべきであり,リウマトイド因子が高値で補体が低値であれば,クリオグロブリン血症が示唆される。

合併症のスクリーニング

予後

予後はSVR(すなわち,使用した薬剤レジメンに応じて,治療完了後12週および24週時点でHCV-RNAが検出不能になること)が得られたか否かに依存する。

SVRが得られた患者では,HCV-RNA陰性の状態が持続する確率が99%を上回り,一般的に治癒とみなされる。SVRが得られた患者の95%近くは,線維化や組織学的活動性などの組織学的所見が改善し,さらに肝硬変への進行,肝不全,および肝臓関連死に至るリスクが低下する。インターフェロンベースのレジメンで治療を受けた肝硬変および門脈圧亢進症のある患者では,SVRによって門脈圧の低下のほか,肝臓の代償不全,肝臓関連死,全死亡,および肝細胞癌について有意なリスク低下が得られることが示されている(1 予後に関する参考文献 C型肝炎は,慢性肝炎の一般的な原因の1つである。慢性肝疾患の症状が現れるまで無症状に経過する場合が多い。治療は直接作用型抗ウイルス薬とゲノタイプに応じた他の薬剤の投与による;検出限界未満までのウイルスRNAの永続的な排除が可能である。 (肝炎の原因,慢性肝炎の概要,およびC型急性肝炎も参照のこと。) 一般に6カ月以上持続する肝炎が慢性肝炎と定義されるが,この期間は恣意的である。... さらに読む )。

以下のいずれかに該当する場合,インターフェロンベースの治療でSVRが得られる可能性が高くなる:

  • ゲノタイプが1型以外

  • 治療前のウイルス量が低い

  • 年齢が40歳未満

  • 体重が75kg未満

  • 架橋線維化および肝硬変がみられない

  • 民族がアフリカ系アメリカ人以外

  • 脂肪肝およびインスリン抵抗性がみられない

インターフェロンを含まない新たなレジメンでSVRが得られる可能性は,主に以下の因子に依存する:

  • 治療前のウイルス量

  • 肝線維化の程度

  • 前治療に対する反応

予後に関する参考文献

  • 1. van der Meer AJ, Veldt BJ, Feld JJ, et al: Association between sustained virological response and all-cause mortality among patients with chronic hepatitis C and advanced hepatic fibrosis.JAMA 308 (24):2584–2593, 2012.

治療

  • 直接作用型抗ウイルス薬

HCV治療の概要

(American Association for the Study of Liver Disease[AASLD]の診療ガイドライン, Recommendations for testing, managing, and treating Hepatitis CおよびAASLD/Infectious Disease Society of Americaのガイドライン, When and in Whom to Initiate HCV Therapyも参照のこと。)

C型慢性肝炎については,以下の両方に該当する場合に治療の適応となる:

  • アミノトランスフェラーゼ値が上昇している。

  • 生検で進行性の線維化を伴う活動性の炎症性疾患が認められる。

治療の目標は永続的なHCV-RNAの排除(すなわちSVR)であり,これにはアミノトランスフェラーゼ値の永続的な正常化と組織学的進行の停止を伴う。治療結果は,線維化が中等度でウイルス量が60万~80万IU/mL未満の患者の方が,肝硬変のあるウイルス量80万IU/mL以上の患者よりも良好となる。

2013年の後半までは,全ての遺伝子型の患者がペグIFN-αとリバビリンによる治療を受けていた。現在では,全ての患者がプロテアーゼやポリメラーゼなどHCVの特定の標的に作用する抗ウイルス薬(直接作用型抗ウイルス薬[DAA])による治療を受けている(HCVゲノタイプ1型 HCVゲノタイプ1型 C型肝炎は,慢性肝炎の一般的な原因の1つである。慢性肝疾患の症状が現れるまで無症状に経過する場合が多い。治療は直接作用型抗ウイルス薬とゲノタイプに応じた他の薬剤の投与による;検出限界未満までのウイルスRNAの永続的な排除が可能である。 (肝炎の原因,慢性肝炎の概要,およびC型急性肝炎も参照のこと。) 一般に6カ月以上持続する肝炎が慢性肝炎と定義されるが,この期間は恣意的である。... さらに読む およびHCVゲノタイプ2型,3型,4型,5型,6型 HCVゲノタイプ2型,3型,4型,5型,6型 C型肝炎は,慢性肝炎の一般的な原因の1つである。慢性肝疾患の症状が現れるまで無症状に経過する場合が多い。治療は直接作用型抗ウイルス薬とゲノタイプに応じた他の薬剤の投与による;検出限界未満までのウイルスRNAの永続的な排除が可能である。 (肝炎の原因,慢性肝炎の概要,およびC型急性肝炎も参照のこと。) 一般に6カ月以上持続する肝炎が慢性肝炎と定義されるが,この期間は恣意的である。... さらに読む も参照)。

HCVの治療に用いるDAAとしては,以下のものがある:

  • テラプレビルおよびボセプレビル(boceprevir):HVCゲノタイプ1型に有効な第1世代プロテアーゼ阻害薬

  • シメプレビル:ゲノタイプ1型に特異的な第2世代プロテアーゼ阻害薬

  • ソホスブビル:HCVゲノタイプ1~6型に対して有効なポリメラーゼ阻害薬

  • パリタプレビル:プロテアーゼ阻害薬

  • レジパスビル:プロテアーゼ阻害薬

  • ダサブビル(dasabuvir):ポリメラーゼ阻害薬

  • オムビタスビル:ウイルス性非構造タンパク質5Aの阻害薬(NS5A阻害薬)

  • ダクラタスビル:NS5A阻害薬

  • エルバスビル:NS5A阻害薬

  • グラゾプレビル:プロテアーゼ阻害薬

  • ベルパタスビル:全てのHCVゲノタイプの治療に用いられるNS5A阻害薬

  • グレカプレビル:全てのHCVゲノタイプの治療に用いられるプロテアーゼ阻害薬

  • ピブレンタスビル:全てのHCVゲノタイプの治療に用いられるNS5A阻害薬

  • ボキシラプレビル(voxilaprevir):NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬

従来はテラプレビル,ボセプレビル(boceprevir),およびシメプレビルがペグIFNおよびリバビリンとともに投与されたが,インターフェロンベースの治療レジメンはもはや標準治療とはみなされていない。

ソホスブビルはインターフェロンなしで使用可能であり,全ての経口レジメンでリバビリン(ゲノタイプ1~6型向け),シメプレビル(ゲノタイプ1型向け),ダクラタスビル(ゲノタイプ1~3型向け)とともに投与できる。レジパスビルとソホスブビルは,ゲノタイプ1型,4型,6型のHCVに対する治療に配合錠として使用できる。

エルバスビル/グラゾプレビルはゲノタイプ1型および4型のHCVに対する治療に配合錠として使用される。

ベルパタスビルとソホスブビルは,ゲノタイプ1~6型のHCVに対する治療に配合錠として使用できる。

グレカプレビルとピブレンタスビルは,ゲノタイプ1~6型のHCVに対する治療に配合錠として使用できる。

以下の5つの薬剤レジメンはゲノタイプ1型および4型に有効である:

  • パリタプレビル/リトナビル/オムビタスビル(単一錠剤で),1日1回投与

  • ダサブビル(dasabuvir),1日2回投与

  • リバビリン,1日2回投与

パリタプレビル/リトナビル/オムビタスビル + ダサブビル(dasabuvir)は単一包で使用可能である。

リトナビルはパリタプレビルの濃度を高めるが,直接の抗ウイルス作用はない。リバビリンはしばしばDAAと併用される。

ゲノタイプ1型,2型,3型,4型,5型,または6型でNS5A阻害薬を含むレジメンによる治療歴を有する成人患者,またはゲノタイプ1a型または3型でNS5A阻害薬を併用せずソホスブビルを含むレジメンによる治療歴を有する成人患者では,ソホスブビル400mg,ベルパタスビル100mg,ボキシラプレビル(voxilaprevir)100mgの配合錠1錠が慢性C型肝炎の再治療に使用されている(1 治療に関する参考文献 C型肝炎は,慢性肝炎の一般的な原因の1つである。慢性肝疾患の症状が現れるまで無症状に経過する場合が多い。治療は直接作用型抗ウイルス薬とゲノタイプに応じた他の薬剤の投与による;検出限界未満までのウイルスRNAの永続的な排除が可能である。 (肝炎の原因,慢性肝炎の概要,およびC型急性肝炎も参照のこと。) 一般に6カ月以上持続する肝炎が慢性肝炎と定義されるが,この期間は恣意的である。... さらに読む )。

DAAの開発がますます進んでいるため,HCVの治療に関する最新の推奨は急速に進化している。American Association for the Study of Liver Disease(AASLD)とInfectious Diseases Society of America(IDSA)の Recommendations for Testing, Managing, and Treating Hepatitis Cは,ウェブ上で入手可能であり,頻繁に更新されている。

米国では,C型肝炎による非代償性肝硬変が肝移植 肝移植 肝移植は,実質臓器の移植の中で2番目に多い。(移植の概要も参照のこと。) 肝移植の適応としては以下のものがある: 肝硬変(米国では移植全体の70%;そのうち60~70%がC型肝炎によるもの) 劇症型の肝壊死(fulminant hepatic necrosis)(約8%) 肝細胞癌(約7%) さらに読む の適応として最も多い。HCVは,ほぼ例外なく移植片内で再発する。DAAの使用前は,他の適応での移植時と比較して,患者の生存率と移植片の生着率ともに不良であった。しかしながら,DAAを使用する場合,肝移植を受けた患者のSVR率は肝硬変の有無にかかわらず95%を超えている。SVR率が非常に高いため,C型肝炎陽性臓器の移植が行われることが増えてきており(特にレシピエントもC型肝炎陽性である場合),潜在的なドナープールが拡大している。レシピエントとドナーがC型肝炎陽性である場合は,移植後まで治療を延期できる。その結果として,移植前の不要な治療コースを回避できる。

エルバスビル/グラゾプレビルまたはグレカプレビル/ピブレンタスビルのレジメンは現在,透析患者を含む末期腎臓病患者に対して,安全性プロファイルが良好で,かつ効果的であると考えられている。非代償性肝硬変を来した患者におけるC型肝炎の治療は,肝臓専門医にコンサルテーションした上で,理想的には肝移植センターで行うべきである。肝機能障害のある患者ではプロテアーゼ阻害薬の血中濃度が高まるため,プロテアーゼ阻害薬を含むHCVの治療レジメンは,非代償性肝硬変を来した患者に使用してはならない。

DAAによる治療を受けているC型肝炎患者では,全例でB型慢性肝炎またはB型肝炎の既往を示す所見がないか確認すべきであり,検査には以下の全てを含めるべきである:

  • B型肝炎表面抗原(HBs抗原)

  • B型肝炎表面抗体(HBs抗体)

  • B型肝炎ウイルスコアに対するIgG抗体(IgG-HBc抗体)

DAAによるHCVに対する治療の施行中または終了後にB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されており,そのため,B型慢性肝炎またはB型肝炎の既往を示す所見がみられる患者は,HCVに対する治療の施行中および施行後にモニタリングすべきである。

HCVゲノタイプ1型

ゲノタイプ1型は,他のゲノタイプと比較して,従来のペグIFN-α + リバビリンの2剤併用療法に対する抵抗性が高い。しかし現在では,IFNを含まない直接作用型抗ウイルス薬(DAA)のレジメンを用いることで,SVR率が50%未満から最大95%にまで上昇している。第1選択のレジメンとしては以下のものがある:

  • レジパスビル/ソホスブビル

  • エルバスビル/グラゾプレビル

  • ベルパタスビル/ソホスブビル

  • グレカプレビル/ピブレンタスビル

代替レジメンとしては以下のものがある:

  • パリタプレビル/リトナビル/オムビタスビル,ダサブビル(dasabuvir),およびリバビリンの5剤併用レジメン

  • シメプレビルまたはダクラタスビル + ソホスブビル

ペグIFN-α2b 1.5μg/kgの週1回皮下投与とペグIFN-α2a 180μgの週1回皮下投与では,それぞれ同等の結果が得られる。ペグIFN-αの有害作用はIFN‐αと同様であるが,より軽度であり,禁忌もまた同様である(上記を参照)。インターフェロンは,もはやC型肝炎の第1選択の治療としては推奨されていない。

リバビリンの用量は500~600mg,経口,1日2回である。リバビリンの忍容性は通常良好であるが,溶血による貧血をよく引き起こすため,ヘモグロビン値が10g/dL未満まで低下した場合は減量すべきである。リバビリンは男女問わず催奇形性を示すため,治療期間中および治療完了後6カ月間は避妊が必要になる。リバビリンに耐えられない患者でもペグIFN-αを投与するべきであり,リバビリンを使用しない場合には,治療成功の可能性が低下する。リバビリンの単剤療法は無効である。

HCVゲノタイプ1型に対する第1選択の治療法としては,以下のものがある:

  • レジパスビル90mg/ソホスブビル400mgの固定用量配合剤,経口,1日1回を,前治療歴,治療前のウイルス量,および肝線維化の程度に応じて8~12週間投与する

  • エルバスビル50mg/グラゾプレビル100mgの固定用量配合剤を経口,1日1回で,リバビリン500~600mg,経口,1日2回との併用または単独で,前治療歴および肝線維化の程度に応じて,あるいはゲノタイプ1a型の患者ではエルバスビルについてベースラインのNS5A抵抗性に伴う異型の有無に応じて12~16週間投与する

  • ベルパタスビル100mg/ソホスブビル400mgの固定用量配合剤,1日1回を12週間投与する

  • グレカプレビル300mg/ピブレンタスビル120mgの固定用量配合剤,1日1回を8~16週間投与する

HCVゲノタイプ1型に対する代替レジメンとしては,以下のものがある:

  • パリタプレビル150mg/リトナビル100mg/オムビタスビル25mgの固定用量配合剤,1日1回 + ダサブビル(dasabuvir)250mg,経口,1日2回およびリバビリン500~600mg,経口,1日2回を,肝線維化の程度に応じて12~24週間投与する

  • ソホスブビル400mg,経口,1日1回 + シメプレビル150mg,経口,1日1回を,リバビリン500~600mg,経口,1日2回との併用または単独で,肝線維化の程度に応じて12~24週間投与する

  • ソホスブビル400mg,経口,1日1回 + ダクラタスビル60mg,1日1回を,リバビリン500~600mg,経口,1日2回との併用または単独で,肝線維化の程度および前治療歴に応じて12~24週間投与する

シメプレビルは浮腫と光線過敏症を引き起こす可能性がある。プロテアーゼ阻害薬はいずれも薬物間相互作用がある。

HCVゲノタイプ2型,3型,4型,5型,6型

ゲノタイプ2型に対しては,以下の組合せのいずれかが推奨される:

  • ソホスブビル400mg/ベルパタスビル100mgの固定用量配合剤,1日1回を12週間投与する

  • グレカプレビル300mg/ピブレンタスビル120mgの固定用量配合剤,1日1回を8~12週間投与する

ゲノタイプ2型に対する代替レジメンは以下の通りである:

  • ソホスブビル400mg,経口,1日1回 + ダクラタスビル60mg,経口,1日1回を,肝線維化の程度に応じて12~24週間投与する

ゲノタイプ3型に対する第1選択の治療法としては,以下のものがある:

  • ソホスブビル400mg/ベルパタスビル100mgの固定用量配合剤,1日1回を12週間投与する

  • グレカプレビル300mg/ピブレンタスビル120mgの固定用量配合剤,1日1回を8~16週間投与する

ゲノタイプ3型に対する代替レジメンは以下の通りである:

  • ソホスブビル400mg,経口,1日1回 + ダクラタスビル60mg,経口,1日1回を,リバビリン500~600mg,経口,1日2回との併用または単独で,肝線維化の程度に応じて12~24週間投与する

ゲノタイプ4型に対する第1選択の治療法としては,以下のものがある:

  • レジパスビル90mg/ソホスブビル400mg,経口,1日1回を12週間投与する

  • エルバスビル50mg/グラゾプレビル100mg,経口,1日1回を12週間投与する

  • ベルパタスビル100mg/ソホスブビル400mg,1日1回を12週間投与する

  • グレカプレビル300mg/ピブレンタスビル120mgの固定用量配合剤,1日1回を8~12週間投与する

ゲノタイプ4型に対する代替レジメンは以下の通りである:

  • パリタプレビル150mg/リトナビル100mg/オムビタスビル25mg,経口,1日1回 + リバビリン500~600mg,経口,1日2回を12~16週間投与する

ゲノタイプ5型および6型に対する第1選択の治療法としては,以下のものがある:

  • レジパスビル90mg/ソホスブビル400mg,経口,1日1回を12週間投与する

  • ベルパタスビル100mg/ソホスブビル400mg,経口,1日1回を12週間投与する

  • グレカプレビル300mg/ピブレンタスビル120mgの固定用量配合剤,1日1回を8~12週間投与する

治療に関する参考文献

要点

  • C型急性肝炎患者の75%が慢性感染に移行し,20~30%が肝硬変に至る;一部の肝硬変患者は肝細胞癌を発症する。

  • HCV抗体陽性かつHCV-RNA陽性の所見により診断を確定し,その後に生検を施行し,ゲノタイプを判定する。

  • 治療はゲノタイプ毎に異なるが,1つまたは複数の直接作用型抗ウイルス薬を使用するほか,ときにリバビリンを使用する。

  • ペグIFNはもはやC型慢性肝炎の治療には推奨されない。

  • 新しい治療法は,95%を超える患者においてHCV-RNAを恒久的に排除できる。

  • 非代償性肝硬変を来した患者では,肝臓専門医が治療を行うべきであり,プロテアーゼ阻害薬を含むレジメンを用いてはならない。

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