胃炎の概要

執筆者:Nimish Vakil, MD, University of Wisconsin School of Medicine and Public Health
レビュー/改訂 2020年 1月
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    胃炎とは胃粘膜の炎症で,感染(Helicobacter pylori),薬物(非ステロイド系抗炎症薬[NSAID],アルコール),ストレス,自己免疫疾患(萎縮性胃炎)など,いくつかの病態によって引き起こされる。多くの症例は無症状であるが,ときに消化不良消化管出血が起こる。診断は内視鏡検査による。治療は原因に対して行うが,しばしば胃酸分泌抑制薬とHelicobacter pylori感染症に対する抗菌薬を投与する。

    胃炎は粘膜損傷の重症度に基づいて,びらん性胃炎非びらん性胃炎に分類される。胃炎はまた病変部位(すなわち,噴門,胃体部,前庭部)に基づいて分類される。胃炎はさらに炎症細胞の種類に基づいて組織学的に急性または慢性に分類できる。しかしながら,病態生理に完全に一致する分類体系はなく,かなりの重複がある。一部の胃炎には,酸による消化性疾患とH. pylori感染症胃酸分泌の概要も参照)が関係している。さらに,この用語(胃炎)はしばしば非特異的な(およびしばしば診断未確定の)腹部不快感ならびに胃腸炎に対して漠然と用いられる。

    急性胃炎は,前庭部および胃体部の粘膜への好中球浸潤を特徴とする。

    慢性胃炎は,ある程度の萎縮(粘膜の機能喪失を伴う)または化生を意味する。主に前庭部または胃体部が罹患し,前庭部ではそれに続くG細胞喪失およびガストリン分泌減少を伴い,胃体部では胃底腺消失による胃酸,ペプシン,内因子の分泌減少を伴う。

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