憩室とは,管腔臓器から突出した袋状の粘膜構造である。
消化管の真性憩室は消化管壁の全層を備えている。 食道憩室 食道憩室 食道憩室は,粘膜が食道筋層を貫いて外に嚢状に突出したものである。無症状のこともあれば, 嚥下困難および逆流を引き起こすこともある。診断は食道造影により,外科的修復が必要になることはまれである。 ( 食道疾患および嚥下障害の概要も参照のこと。) この患者では,悪心と嘔吐の原因の評価中に上部食道の小さな憩室が偶然発見された。... さらに読む および メッケル憩室 メッケル憩室 メッケル憩室は,真性憩室であり,消化管の先天異常として最も頻度が高く,一般集団の約2%にみられる。卵黄腸管の閉鎖が不完全であることにより生じる異常であり,回腸の腸間膜対側に生じた先天性の袋状構造で構成される。通常は回盲弁から100cm以内にあり,しばしば異所性の胃組織,膵組織,またはその両方を有する。症状がみられることはまれであるが,出血... さらに読む は真性憩室である。
仮性憩室または偽憩室は,粘膜および粘膜下層が腸壁の筋層を越えて突出したものである。 大腸憩室 大腸憩室症 大腸憩室症とは,結腸に1つまたは複数の憩室が存在する状態である。大半の憩室は無症候性であるが,炎症または出血を引き起こすものもある。診断は大腸内視鏡検査,カプセル内視鏡検査,下部消化管造影,CT,またはMRIによる。無症候性の憩室症には治療は必要ない。症状が現れた場合の治療は,臨床像に応じて異なる。... さらに読む は仮性憩室である。
英語では,単一の憩室はdiverticulum,複数の憩室はdiverticulaと呼ばれる。これらの用語はときに誤用されることがある。
憩室症 大腸憩室症 大腸憩室症とは,結腸に1つまたは複数の憩室が存在する状態である。大半の憩室は無症候性であるが,炎症または出血を引き起こすものもある。診断は大腸内視鏡検査,カプセル内視鏡検査,下部消化管造影,CT,またはMRIによる。無症候性の憩室症には治療は必要ない。症状が現れた場合の治療は,臨床像に応じて異なる。... さらに読む は,1つまたは複数の憩室が存在する状態である。
憩室性疾患は,症状を伴う憩室症を特徴とする。
憩室炎 大腸憩室炎 憩室炎は,憩室に炎症が起きた状態であり,感染を伴うこともあれば伴わないこともあり,腸壁の蜂窩織炎, 腹膜炎, 穿孔,瘻孔,または 膿瘍を引き起こす可能性がある。主な症状は腹痛である。診断はCTによる。治療は腸管安静のほか,ときに抗菌薬,ときに手術による。 大腸憩室は,結腸の粘膜および粘膜下層が結腸の筋層を越えて突出した袋状の構造であり,腸... さらに読む は,憩室に炎症が起きた状態であり,感染を伴うこともあれば伴わないこともある。