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消化管疾患の患者の評価

執筆者:

Stephanie M. Moleski

, MD,

  • Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2017年 2月

消化管の症状および疾患は,かなり高い頻度でみられる。軽微な愁訴しかない患者であれば,病歴聴取と身体診察だけで十分に対応を判断できる場合も多いが,それ以外の状況では検査が必要になる。

病歴

自由回答式の面接スタイルの問診により,症状の部位および性質,ならびに増悪および軽快因子を同定する。

腹痛は消化管疾患でよくみられる愁訴である(急性腹痛慢性および反復性腹痛を参照のこと)。痛みの部位の同定が診断の助けになる場合がある。例えば,心窩部の痛みは膵臓,胃,または小腸の問題を反映している可能性がある。右上腹部の痛みは,胆嚢炎肝炎といった肝臓,胆嚢,および胆管の問題を反映している可能性がある。右下腹部の痛みは,虫垂,回腸末端,または盲腸の炎症を示している可能性があり,虫垂炎,回腸炎,またはクローン病が示唆される。左下腹部の痛みは,憩室炎または便秘を示している可能性がある。左または右下腹部の痛みは,大腸炎,回腸炎,または卵巣(女性の場合)の病態を示している可能性がある。

痛みの放散に関する問診が診断を明確にするのに役立つ場合がある。例えば,胆嚢の刺激感が横隔膜に波及することがあるため,肩に放散する痛みは胆嚢炎を反映している可能性がある。背部に放散する痛みは膵炎を反映している可能性がある。痛みの性質(すなわち,鋭く持続的,鈍痛の波)および発生様式(内臓穿孔または異所性妊娠の破裂などに起因するような突然の痛み)を患者に報告してもらうことが原因の鑑別に役立つ。

問診では食事摂取や排便の変化について尋ねるべきである。食事摂取に関しては,嚥下困難(嚥下障害),食欲不振のほか,悪心・嘔吐の有無について尋ねるべきである。嘔吐がある場合は,その頻度および持続期間のほか,消化管出血を示唆する血液やコーヒー残渣様吐物に気づかなかったかを尋ねるべきである。また,患者が飲もうとした液体があれば,その種類および量と,それを胃にとどめておくことができたかを尋ねるべきである。

排便については,最後に排便したのはいつか,どれくらいの頻度で排便があるか,普段の排便回数から変化があるかを尋ねるべきである。便秘や下痢などの用語は人によって使い方がかなり異なるため,便秘または下痢があるかどうかを単純に質問するよりも,排便に関する情報を具体的かつ定量的に質問する方がより参考になる。便が黒色または血便であるか(消化管出血を示唆),あるいは膿や粘液性を含むかどうかなど,便の色と硬さについても尋ねるべきである。血便に気づいた患者には,血液が便を覆っていたのか,便と混ざっていたのか,または血液が便を伴わずに出たのかについて尋ねるべきである。

婦人科および産科疾患が消化管症状を呈することがあるため,女性では婦人科歴が重要である。

発熱や体重減少といった随伴する非特異的な症状も評価しなければならない。体重減少は,癌などのより重大な問題を示唆している可能性がある随伴症状であり,より詳細な評価を迅速に行うべきである。

患者による症状の報告は,患者のパーソナリティ,疾患が生活に及ぼしている影響,および社会文化的影響によって異なってくる。例えば,悪心および嘔吐は,重度のうつ病患者では過小評価されたり遠回しに報告されたりすることがあるが,大袈裟な患者では緊急事態として劇的に報告されることがある。

既往歴の重要な要素には,以前に診断された消化管疾患,以前に受けた腹部手術,消化管症状を引き起こす可能性のある薬物および物質(例,NSAID,アルコール)の使用の有無などがある。

身体診察

身体診察は,脱水,潰瘍,または炎症について評価するために中咽頭の視診から始めることがある。

仰臥位での腹部視診では,腸閉塞,腹水,または大きな腫瘤(まれ)がある場合,凸状の隆起を認めることがある。続いて聴診を行い,腸音を評価し,血管雑音の有無を確認すべきである。打診では,腸閉塞がある場合に過共鳴音(鼓音),腹水がある場合に濁音を認め,肝濁音界を確認できる。触診は体系的に行い,はじめに愛護的な触診で圧痛部位を同定し,患者が痛みに耐えられる場合は,深い触診で腫瘤または臓器腫大を探る。

腹部に圧痛がある場合,筋性防御や反跳痛などの腹膜刺激徴候について評価すべきである。筋性防御は腹筋の不随意収縮で,神経過敏または不安な患者でみられる急速な随意収縮と比較してわずかに遅く持続的である。反跳痛は,検者が手を急激に離した際に生じる明確な収縮である。

鼠径部および全ての手術瘢痕を触診して,ヘルニアがないか確認すべきである。

直腸指診と便潜血検査および内診(女性の場合)により,腹部の評価は全て終了する。

検査

非特異的な急性症状(例,消化不良,悪心)がみられるものの,身体診察で著明な所見が認められない患者では,検査が必要であることはまれである。重大な疾患を示唆する以下の所見(警告症状)がみられる場合は,さらなる評価を速やかに行うべきである:

  • 食欲不振

  • 貧血

  • 血便(肉眼的出血または潜血)

  • 嚥下困難

  • 発熱

  • 肝腫大

  • 覚醒に至るほどの疼痛

  • 持続する悪心および嘔吐

  • 体重減少

慢性または反復性の症状には,たとえ身体診察で著明な所見が認められなくとも,評価が必要である。具体的な消化管検査については 消化管の診断と治療に関する手技を参照のこと。

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