腸リンパ管拡張症は吸収不良を引き起こす疾患である。
リンパ系の奇形は,先天性の場合と後天性の場合がある。先天性の症例は通常小児(典型的には3歳以前に診断)にみられ,まれに青年または若年成人に発生する。男性と女性の罹患率は同程度である。後天性の症例では,後腹膜線維症,収縮性心膜炎,膵炎,腫瘍,またはリンパ管閉塞につながる浸潤性疾患に続いて異常が生じる。
リンパ流出障害によって,圧上昇および腸管内腔へのリンパ液漏出が起こる。カイロミクロンおよびリポタンパクの吸収障害の結果として脂肪およびタンパクの吸収不良を来す。炭水化物はリンパ系を介して吸収されないため,取り込みは障害されない。