原因 | 一般的な特徴* | 診断のアプローチ† |
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不明 | ||
― | 片耳だけの難聴 このほかに症状はない | 造影剤(ガドリニウム)を用いたMRI検査 |
明らかな原因 | ||
急性感染症( 細菌性髄膜炎 急性細菌性髄膜炎 急性細菌性髄膜炎とは、急速に進行する髄膜(脳と脊髄を覆う組織層)とくも膜下腔(髄膜と髄膜の間の空間)の炎症のうち、細菌が原因であるものをいいます。 年長の小児や成人では、あごを胸につけるのが難しくなる症状(項部硬直といいます)が現れ、また通常は発熱や頭痛もみられます。 乳児では、項部硬直がみられないことがあり、体調が悪そうに見えたり、体温... さらに読む 、 ライム病 ライム病 ライム病は、ボレリア属(Borrelia)の細菌によって引き起こされ、マダニが媒介する感染症(ダニ媒介性感染症)で、米国でみられるボレリア属細菌は主にライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)、ときにボレリア・マヨニイ(Borrelia... さらに読む 、 流行性耳下腺炎 ムンプス(おたふくかぜ) ムンプスとは、唾液腺が痛んで腫れる、感染力の強い ウイルス感染症です。精巣、脳、膵臓を侵すこともあり、特に成人ではその傾向があります。 ムンプスの原因はウイルスです。 症状としては、悪寒、頭痛、食欲減退、発熱、けん怠感などがあり、その後唾液腺が腫れます。 診断は典型的な症状に基づいて下されます。... さらに読む 、 単純ヘルペス 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症では、皮膚、口、唇(口唇ヘルペス)、眼、または性器に、液体で満たされた、痛みのある小さな水疱が繰り返し発生します。 この病気は非常に感染性の高い ウイルス感染症であり、潰瘍に直接触れることで感染するほか、ときには潰瘍のない患部に触れることでも感染します。... さらに読む など) | 片耳または両耳の難聴 深刻な急性期の病状がある患者にみられる しばしば頭痛および錯乱 ライム病で、典型的な発疹とインフルエンザのような症状が難聴の前に現れる 流行性耳下腺炎で、ものを飲み込んだときの頬の痛み | まだの場合は血液検査と腰椎穿刺 |
通常は片耳だけの難聴 ときに難聴のある耳から液体(血が多少混じっているか、または透明)が出る | CTまたはMRI検査 | |
片耳または両耳の難聴 原因となる活動(例えば、スキューバダイビング、飛行機の急降下)をしている最中や、耳に打撃を受けた後に突然発症する ときに痛み、破裂音、めまい、または耳鳴りを伴う | ティンパノメトリー検査(耳に器具を挿入して、音がどのくらいよく耳を通るかを測定する) 電気眼振検査(眼振という病態による、意図しない眼の動きを記録する検査)での平衡感覚の検査 CTまたはMRI検査 | |
耳に損傷を与える可能性がある薬(聴器毒性のある薬剤)、以下に挙げるものなど
| 両耳の難聴 ときにめまいおよび平衡感覚の喪失 聴器毒性のある薬剤を最近飲み始めた、または最近服用していた人にみられる | 医師の診察 ときに血中薬物濃度 |
基礎疾患‡ | ||
片耳だけの難聴 しばしばめまいまたは回転したり動いたりしているような感覚(回転性めまい)および平衡感覚の喪失 ときに顔面筋の垂れ下がりまたは顔面のしびれと味覚異常 | 造影剤(ガドリニウム)を用いたMRI検査 | |
自己免疫疾患(一部の血液疾患、 血管炎 血管炎の概要 血管炎疾患は、血管の炎症(血管炎)を原因とする病気です。 血管炎は、特定の感染症や薬によって引き起こされる場合もあれば、原因不明の場合もあります。 発熱や疲労などの全身症状がみられることがあり、その後、侵された臓器に応じて他の症状がみられます。 診断を確定するために、患部の臓器の組織から採取したサンプルの生検を行い、血管の炎症を確認します... さらに読む を引き起こす病気、 コーガン症候群 コーガン症候群 コーガン症候群は、まれな自己免疫疾患で、角膜に影響を与えることがあります。 眼の痛み、視力低下、明るい光への過敏、眼の発赤が一般的な症状です。 診断は、医師の評価と他の病気を除外するための血液検査によって下されます。 治療にはコルチコステロイドの点眼薬とコルチコステロイドの錠剤が使用されます。... さらに読む など) | 片耳または両耳の難聴 ときに関節痛または発疹 | 血液検査 |
約4分の3の患者で片耳だけの難聴 ときにめまいまたは耳鳴り | 造影剤(ガドリニウム)を用いたMRI検査 | |
片耳だけの難聴 筋力低下やしびれが、体の様々な部位に現れたり消えたりする | 造影剤(ガドリニウム)を用いたMRI検査 ときに腰椎穿刺 | |
片耳だけの難聴 ときにバランスをとることまたは協調運動が難しい | 造影剤(ガドリニウム)を用いたMRI検査 | |
片耳または両耳の難聴 ときに性感染症の危険因子(無防備な性行為、複数のパートナーなど) | 血液検査 ときに腰椎穿刺 | |
*特徴としては症状や診察結果を示しています。示されている特徴は典型的なものですが、常に認められるわけではありません。特徴には原因間で重複がみられます。 | ||
‡医師の診察と聴力検査が必ず行われますが、この列に記載されているのは、追加の検査をしなくても医師の診察と聴力検査だけで診断できることがある場合のみです。つまり、追加の検査が必要ないことがあります。 | ||
‡まれに、突発性難聴が、通常は別の症状が最初に現れる病気の最初の症状になることがあります。これらの病気で典型的にみられる症状がまったくない場合もあります。しかし、患者が軽い症状を軽視しているだけで、医師が念入りに質問し身体診察をすればそういった症状がみつかることもあります。 | ||
CT = コンピュータ断層撮影、MRI = 磁気共鳴画像。 |