胎児ジストレスは分娩中の合併症の1つで、あまり多くありません。一般的に胎児が十分な酸素を受け取っていない場合に起こります。
以下の場合に、胎児ジストレスとなることがあります。
妊娠中や分娩中に合併症が起こった場合(難産や急速な分娩など)
通常、医師は胎児の心拍パターンの異常に基づいて胎児ジストレスと判断します。分娩中は胎児の心拍数を常時モニタリングします。通常は 分娩監視装置 胎児モニタリング 陣痛とは、胎児を子宮の下部(子宮頸部)から産道(腟)を経て徐々に外側に押し出すために発生する、規則的で次第に強まっていく一連の子宮の収縮のことです。 ( 陣痛と分娩の概要も参照のこと。) 分娩は大きく3つの段階に分けられます。 分娩第1期:陣痛が生じます(第1期には潜伏期と活動期があります)。子宮の収縮によって子宮口(子宮頸部)が徐々に開いて(開大)薄く引っ張られ(展退)、子宮の残りの部分と一体化します。このような変化によって、胎児が腟... さらに読む を使用して心拍数は継続的にモニタリングします。あるいは手持ち式のドプラ超音波装置を用いて、分娩の始めは15分おきに、分娩の後半は陣痛後に毎回、胎児の心拍を確認する場合もあります。
胎児の心拍数に顕著な異常が認められた場合には、通常、以下を行って回復を試みます。
母体への酸素投与
母体への輸液の増量
母体を横向きに寝かせる
陣痛による収縮が強すぎたり、陣痛の間隔が短すぎたりすると、胎児ジストレスが起こることがあります。 オキシトシン 陣痛誘発 で陣痛を促進している場合は、直ちに投与を中止します。産婦の姿勢を変えたり、鎮痛薬を投与したりすることもあります。陣痛促進のために薬剤が使用されていない場合、子宮の収縮を止めたり抑制したりするため、陣痛を抑制する作用のある薬(テルブタリンの注射など)を投与します。
胎児の心拍数の回復や陣痛のコントロールのための対策を行っても効果がない場合は、 吸引器 吸引・鉗子分娩 吸引器または鉗子を使用して行う分娩を、吸引・鉗子分娩といいます。 吸引器は、ゴムのような素材でできた小さなカップが吸引器につながった構造になっています。このカップを腟に挿入し、胎児の頭皮に吸着させます。吸引分娩を試みてうまくいかない場合は、 帝王切開が行われます。まれに、吸引器によって胎児の頭皮に挫傷ができたり、胎児の両眼に出血を起こしたり(網膜出血)することがあります。吸引分娩はまた、... さらに読む 、 鉗子 吸引・鉗子分娩 吸引器または鉗子を使用して行う分娩を、吸引・鉗子分娩といいます。 吸引器は、ゴムのような素材でできた小さなカップが吸引器につながった構造になっています。このカップを腟に挿入し、胎児の頭皮に吸着させます。吸引分娩を試みてうまくいかない場合は、 帝王切開が行われます。まれに、吸引器によって胎児の頭皮に挫傷ができたり、胎児の両眼に出血を起こしたり(網膜出血)することがあります。吸引分娩はまた、... さらに読む 、または 帝王切開 帝王切開 帝王切開では、母親の腹部と子宮を切開して胎児を外科手術により取り出します。 米国では分娩の最大30%が帝王切開で行われています。 以下のような場合には帝王切開が母体や胎児、あるいはその両方にとって経腟分娩よりも安全であると考えられるため、帝王切開を行います。 遷延分娩(分娩の進行が長引く) 胎児の 姿勢が異常な場合(骨盤位など) さらに読む によって、できるだけ早く胎児を分娩します。