Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

honeypot link

陰茎がん

執筆者:

Thenappan Chandrasekar

, MD, University of California, Davis

レビュー/改訂 2022年 2月
プロフェッショナル版を見る
やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

通常、陰茎のがんは皮膚がんです。皮膚がんは陰茎のどの部分でも発生する可能性がありますが、最も多いのは亀頭(円錐形をした陰茎の先端部分)で、特にその根元で多くみられます。米国では、陰茎に皮膚がんができることはまれで、割礼を受けた人ではめったにみられません。

陰茎がんの原因

陰茎がんの原因としては、長年にわたる刺激が考えられ、通常は包皮の下の刺激です。その他の危険因子としては、 性感染症 性感染症(STI)の概要 性感染症(性病)とは、例外はあるものの、一般的には性的接触によって人から人に感染する病気のことです。 性感染症を引き起こす病原体の種類としては、細菌、ウイルス、原虫などがあります。 キスや濃厚な体の接触を介して広がる感染症もあります。 感染が体の他の部分に広がり、ときには深刻な結果に至る場合もあります。... さらに読む 性感染症(STI)の概要 (特に ヒトパピローマウイルス ヒトパピローマウイルス感染症(HPV感染症) ヒトパピローマウイルス(HPV)は、いぼの原因になります。HPVの中には皮膚にいぼを作り出すものもあれば、性器のいぼ(腟、陰茎、または直腸の内部や周囲に生じるできもので、尖圭コンジローマと呼ばれます)の原因になるものもあります。一部の種類のHPVに感染すると、がんになることもあります。HPVは性感染症です。 ヒトパピローマウイルス(HPV)の種類が違えば、引き起こされる感染症も異なります。例えば、性器にできる、目で見て確認しやすいいぼも... さらに読む ヒトパピローマウイルス感染症(HPV感染症) HIV/エイズ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 )、 亀頭炎 陰茎の炎症 陰茎(ペニス)の包皮と亀頭(円錐形をした陰茎の先端部分)に炎症が起こることがあります。 亀頭炎は亀頭の炎症です。 包皮炎は包皮の炎症です。 亀頭包皮炎は亀頭と包皮の炎症です。 亀頭包皮炎にかかると、後に 包茎または嵌頓(かんとん)包茎(包皮に関連する障害)や 陰茎がんになる可能性が高まります。 さらに読む 、割礼を受けていないこと、不衛生、喫煙などがあります。最も多いのは 扁平上皮がん 有棘細胞がん 有棘細胞がんとは、皮膚の扁平上皮細胞に由来するがんのことです。 皮膚にかさつく厚い増殖性病変が出現し、それが治りません。 このがんの診断を下すには、生検を行います。 がんが広がっていなければ、手術や化学療法薬の外用、ときには放射線療法を用いた治療により、通常は根治させることが可能です。 がんが広がっている場合は、PD-1阻害薬と呼ばれる薬剤を使用することがあります。 さらに読む 有棘細胞がん です。また、頻度は少ないものの、 ボーエン病 ボーエン病 ボーエン病は、早期の 有棘細胞がんであり、腫瘍が皮膚の外層(表皮)にとどまっていて、皮膚のより深い層には広がっていない場合です。 多くの場合、日光のあたる部分の皮膚にできますが、どこにでも発生する可能性があります。 多くのがんが発生する場合もあれば、少数しか発生しない場合もあります。患部の皮膚は赤褐色で、表面に鱗屑(うろこ状のくず)とかさぶたができ、平坦で、 乾癬や 皮膚炎、一部の真菌感染症(... さらに読む ボーエン病 乳房外パジェット病 乳頭パジェット病 乳頭パジェット病は 乳がんの一種で、乳頭の下の乳腺から発生し、最初に皮膚に現れます。 パジェット病という用語は、乳頭パジェット病とは関係のない代謝性の骨疾患に対しても使われます( 骨パジェット病)。これらはまったく別の病気であり、混同しないように注意する必要があります。 乳頭パジェット病は、主に乳頭に発生しますが、その病変は乳管のがんが乳頭の皮膚まで広がって生じたものです。男性にも女性にもみられます。皮膚の下にあるがんにつ... さらに読む 乳頭パジェット病 、ケーラー紅色肥厚症といった前がん病変も起こります。

陰茎がんの症状

がんは通常、赤くなった痛みのない領域として現れ、しばしばただれを伴いますが、硬化した領域やいぼのように見えることもあります。がんは他の多くの増殖とは異なり、数週間では治りません。ケーラー紅色肥厚症では、通常は亀頭の先端や包皮の内側に、赤みを帯びた、滑らかなまたはかさぶた化した病変が限局的に生じます。ボーエン病も外見は同様ですが、陰茎体上で発生します。ボーエン様丘疹症では、多くの場合、陰茎体により小さな隆起が出現します。鼠径部のリンパ節は、がんが転移したりリンパ節が感染や炎症を起こしたりすると、腫れることがあります。

陰茎がんの診断

  • 生検

  • ときにCTまたはMRI検査

陰茎がんの診断を下すには、採取した組織サンプルを顕微鏡で調べます(生検)。ときに CT検査 CT検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。 超音波検査は以下の点で有用な画像検査です。 電離放射線や造影剤の静脈内投与(ときに腎臓の損傷につながります)が不要である... さらに読む または MRI検査 MRI検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。 超音波検査は以下の点で有用な画像検査です。 電離放射線や造影剤の静脈内投与(ときに腎臓の損傷につながります)が不要である... さらに読む を行い、がんが周辺の組織や陰茎外の他の組織に広がっているかどうかを調べます。リンパ節が大きくなって炎症を起こしている場合は、生検を行うことがあります。

陰茎がんの予防

陰茎がんの治療

  • ときにフルオロウラシルまたはイミキモドのクリーム剤の外用

  • 手術

  • 放射線

早期のがんや小さながんの治療では、フルオロウラシルまたはイミキモドを含有するクリーム剤を処方する場合や、手術でレーザーを使ってがんとその周囲の正常な組織を切除する場合があります。一部のがんに対しては、放射線療法を考慮することができ、その場合は、放射線を出す機器(小線源)を体内に挿入する方法と体外から放射線を照射する方法のどちらかを選択します。その他のがんは手術で切除しますが、陰茎はできる限り温存します。通常、この手術を受けた男性は、残った陰茎組織で排尿と性行為を行うことができます。がんが広範囲に広がっている場合は、さらに包括的な陰茎の手術が必要です。

陰茎がんはときに鼠径部(そけいぶ)(脚の付け根)のリンパ節に転移しますので、それらのリンパ節の切除が必要になる場合があります。がんが疑われるリンパ節が多数または両側にある、もしくは巨大な鼠径リンパ節がある男性には、術前化学療法を行います(手術で取り除く前に腫瘍を小さくするため)。腫瘍を完全に切除(手術で取り除くこと)できない場合は、放射線療法が検討されることもあります。

ほとんどの男性でがんは小さく、転移はみられません。こうしたケースでは、治療後も患者は長期にわたって生存します。一方、がんが鼠径部リンパ節を越えて転移している患者の大半は、5年以内に死亡します。

プロフェッショナル版を見る
プロフェッショナル版を見る
quiz link

医学知識 クイズにチャレンジ

Take a Quiz! 
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
TOP