腎臓では絶えず尿が作られており、尿は2本の管(尿管)を通って膀胱に流れ込み、そこで一時的に貯められます(図「 尿路の構造 尿路の構造 」を参照)。膀胱の一番下の頸部と呼ばれる部分は尿道括約筋という筋肉に囲まれていて、普段はこの筋肉が収縮した状態を維持することによって、尿が体外に排出される通路(尿道)が閉鎖されているため、膀胱が満杯になるまで尿を貯めることができます。
膀胱が満杯になると、その情報が膀胱から神経を通って脊髄に伝わります。その情報はさらに脳へと伝達され、それによって人は尿意を自覚します。排尿をコントロールできている人であれば、すぐに膀胱から尿を出すか、もう少し我慢するかを自分の意思で決めることができます。排尿することに決めると、括約筋が緩み、尿が尿道を通って流れ出ていくのと同時に、膀胱の壁の筋肉が収縮して尿を体外へと押し出します。さらに腹壁と骨盤底の筋肉を意識的に収縮させることで、膀胱にかかる圧力をさらに高めます。
排尿のコントロールを妨げることのある病気は数多くありますが、例えば以下のものが挙げられます。
尿失禁(成人 成人の尿失禁 尿失禁とは、自分では意図せずに尿が漏れることです。 尿失禁は、男女とも年齢を問わず起きる可能性がありますが、女性と高齢者でより多くみられ、高齢女性の約30%、高齢男性の約15%が尿失禁を起こしています。尿失禁は高齢者でより多くみられるものの、加齢に伴う正常な変化の一部ではありません。尿失禁は、利尿効果のある薬を服用した場合のように突然で一... さらに読む と 小児 小児における尿失禁 尿失禁の定義は、トイレトレーニングが終了した後に、意図しない排尿が1カ月に2回以上の頻度で起こることとされています。尿失禁は以下の状況で起こります。 日中(日中の尿失禁または昼間遺尿症) 夜間(夜間の尿失禁、遺尿症、または夜尿症) 両方(日中と夜間両方の尿失禁) トイレトレーニングの期間や、小児が尿禁制(排尿をコントロールできること)を獲... さらに読む )