消化管の病気の中には生命を脅かすものがあり、緊急の治療を要することがあります。多くの場合、緊急治療では手術が行われます。
腹痛 急性腹痛 腹痛はよく起こりますが、多くの場合軽度です。しかし、強い腹痛が急に起きた場合は、ほとんどが重大な問題であることを示しています。このような腹痛は、手術が必要であることを示す唯一の徴候であるかもしれず、速やかに診察を受ける必要があります。高齢者やHIV感染者、免疫抑制薬(コルチコステロイドなど)を使用している人では、同じ病気の若い成人や健康な... さらに読む は通常は消化管の緊急事態に伴って発生し、しばしばひどい痛みがあります。腹痛がある場合、医師は原因を突き止めて治療を行うための手術が直ちに必要か、それとも診断のための検査結果が出るまで手術を待ってもよいかを判断する必要があります。腹痛の原因が以下のものであると考えられる場合は、腹部の緊急手術がしばしば行われます。
血流の遮断(急性腸間膜虚血症 急性腸間膜虚血症 急性腸間膜虚血症は腸の一部への血流が突然阻害される状態で、壊疽(えそ)や穿孔(せんこう)に至ることがあります。 突然激しい腹痛が生じます。 血管造影検査が行われることがあります。 血管造影検査や手術による迅速な治療が必要です。 ( 消化管救急疾患の概要も参照のこと。) さらに読む および 虚血性大腸炎 虚血性大腸炎 虚血性大腸炎は、血流が絶たれたために起こる大腸の損傷です。 腹痛と血便がよくみられます。 通常はCT検査が行われ、ときに大腸内視鏡検査が行われます。 大半の人は、静脈から水分を補給(輸液)しながら、絶食することで回復しますが、手術が必要な人もわずかにいます。 ( 消化管救急疾患の概要も参照のこと。) さらに読む を参照)
消化管の病気は、すべてが手術により治療されるわけではありません(イレウス イレウス イレウスとは、腸が一時的に正常な筋収縮をしなくなった状態です。 一般的な原因として、腹部の手術や腸の運動を阻害する薬があります。 腹部膨満、嘔吐、便秘、けいれん性の腹痛、食欲不振が生じます。 診断はX線検査によって下されます。 飲食物の経口摂取が中止され、ときには鼻から胃に細い吸引チューブが挿入されることがあります。 さらに読む を参照)。
消化管出血 消化管出血 消化管からの出血は、口から肛門までのどの部分でも起こる可能性があります。出血は肉眼で容易に見える場合(顕性の出血)もあれば、量が少なすぎて見えない場合(潜血)もあります。潜血は、 特別な化学物質を用いて便のサンプルを検査することでしか検出できません。 吐血は、嘔吐物の中に目に見える量の血液が含まれている場合で、上部消化管(通常は食道、胃、... さらに読む は、典型的には痛みを伴わず、これも生命を脅かすことがあります。通常は、出血の位置を特定し治療を行うために、 内視鏡検査 内視鏡検査 内視鏡検査とは、柔軟な管状の機器(内視鏡)を用いて体内の構造物を観察する検査です。チューブを介して器具を通すことができるため、内視鏡は多くの病気の治療にも使うことができます。 口から挿入する内視鏡検査では、食道(食道鏡検査)、胃(胃鏡検査)、小腸の一部(上部消化管内視鏡検査)が観察できます。... さらに読む (観察用の柔軟な管状の機器を用いて体内の構造物を調べる検査)が行われます。出血の位置が特定できず、治療できない場合は、ときに手術が必要になります。
消化器系
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