昏睡(coma)とは,覚醒させることができず,閉眼した状態が続く無反応状態である。意識障害(impaired consciousness)は,同様であるが比較的軽度の意識低下を指し,そのような意識低下は昏睡とはみなされない。昏睡または意識障害の機序には,両側大脳半球または網様体賦活系(上行性覚醒系とも呼ばれる)の機能障害が関わっている。原因は器質性のこともあれば,非器質性(例,中毒または代謝障害)のこともある。障害部位は局所性の場合とびまん性の場合がある。診断は臨床的に行い,原因の同定には臨床検査および脳画像検査が必要である。治療は,迅速な安定化と原因に応じた管理である。長期の昏睡には,補助的治療として,他動的関節可動域訓練,経腸栄養法,褥瘡予防などを行う。