下垂体の腫大の原因が、過形成(細胞数の増加)である場合がありますが、これは他の腺で生産されるホルモンの量が少ないことに対する反応として起こる可能性があります(例えば、甲状腺からの甲状腺ホルモンの量が少なければ、甲状腺刺激ホルモンの生産量を増やすために下垂体が腫大します)。また、下垂体は通常、妊娠中にも過形成により腫大します。このような腫大が症状を引き起こすことはまれです。
腫大した下垂体によって、頭痛などの症状が引き起こされる場合もあります。また、大きくなった下垂体がその上にある視神経を圧迫すると、視力障害にもつながります。視力障害は、しばしば最初に両目の視野の上部外側だけに発生します。
下垂体のホルモン生産が不足したり過剰になることもあります。
診断は CT検査 CT検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとは... さらに読む または MRI検査 MRI検査 MRI検査は、強い磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強い磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置の中で発生するような強い磁場の中に... さらに読む によって下されます。血液中のホルモン量を測定することで下垂体の機能を調べます。
治療法は腫大の原因によって異なります。例えば、腫大の原因が腫瘍である場合、腫瘍の種類、大きさ、および腫瘍による症状に応じて、手術、放射線療法、または薬物療法で治療することがあります。
(甲状腺の概要 下垂体の概要 下垂体はエンドウマメ大の腺で、脳基底部の骨でできた構造(トルコ鞍[あん])の内部に収まっています。トルコ鞍は下垂体を保護していて、下垂体が大きくなる余地はほとんどありません。 下垂体は他の多くの内分泌腺の働きを制御しているため、内分泌中枢とも呼ばれます。また、下垂体は脳内でそのすぐ上に位置している視床下部に大部分を制御されています。視床下... さらに読む も参照のこと。)