脊髄の病気は、麻痺または 尿失禁 成人の尿失禁 尿失禁とは、自分では意図せずに尿が漏れることです。 尿失禁は、男女とも年齢を問わず起きる可能性がありますが、女性と高齢者でより多くみられ、高齢女性の約30%、高齢男性の約15%が尿失禁を起こしています。尿失禁は高齢者でより多くみられるものの、加齢に伴う正常な変化の一部ではありません。尿失禁は、利尿効果のある薬を服用した場合のように突然で一... さらに読む や 便失禁 便失禁 便失禁とは、排便をコントロールできなくなることです。 便失禁は、 下痢発症時に一時的に起こる場合や、直腸に硬い便が滞留して( 宿便)起こる場合があります。先天異常、肛門や脊髄の損傷、 直腸脱(直腸粘膜が肛門から外に脱出)、 認知症、糖尿病による 神経の損傷、 肛門腫瘍、出産時の骨盤の損傷がある人は、持続的な便失禁を起こすことがあります。... さらに読む (膀胱や腸の制御障害)などの永久的な重度の問題を引き起こすことがあります。場合によっては、評価と治療を迅速に行うことで、これらの問題を回避するか最小限に抑えることができます。
脊髄の病気の原因には、外傷、感染症、血流の遮断、骨折または腫瘍による圧迫などがあります。
典型的には筋力の低下や麻痺、感覚の異常や消失が起こるほか、排尿や排便の制御が困難になることもあります。
診断は症状と身体診察および画像検査(MRI検査など)の結果に基づいて下されます。
可能であれば、脊髄の病気を引き起こしている病態に対して治療を行います。
できるだけ機能を回復させるために、しばしばリハビリテーションが必要になります。
解剖
脊髄 脊髄 脊髄は傷つきやすい長い管状の構造物で、脳幹の下端から脊椎の最下部付近まで続いています。脊髄は神経軸索の束で構成されていて、それらは 脳と他の部位との間でやりとりされるメッセージの伝達経路になっています。脊髄の中には、歩行や水泳などの協調運動や排尿を制御する神経細胞の回路が備わっています。脊髄はまた、膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)などの... さらに読む は、脳と体の各部を結ぶ主要な通信経路です。長く、太く、傷つきやすい構造物で、脳の底部から下方へ伸びています。脊髄は、背骨(椎骨)でできた脊椎(脊柱)に守られています。椎骨と椎骨の間には、椎間板という軟骨でできた板があり、クッションとして働いています。
脊椎は4つの領域に分けられ、各領域はアルファベット1文字で表されます。
頸椎(C):首
胸椎(T):胸
腰椎(L):腰
仙椎(S):骨盤と尾骨
脊椎の各部分の椎骨には、上から順に番号が付けられています。この標識(アルファベットと番号)は、脊髄の位置(レベル)を指し示すのに用いられます。医師は、患者の症状に基づいて脊髄の損傷部位(レベル)を特定できることがあります。例えば、脚、体幹、手が麻痺しているものの、肩と肘は正常に動かすことができる場合、レベル7~8(C7~C8)の頸髄が損傷しています。
脊髄の損傷領域とその影響
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脊髄の長軸方向に沿って31対の脊髄神経が椎骨の間の隙間から出ています。それぞれの脊髄神経は、脊椎の特定の椎骨から、対応する体の部位に伸びています。これに基づき、皮膚表面は、皮膚分節と呼ばれる領域に分けられています。皮膚分節とは、1つの脊髄神経根から出た複数の感覚神経のみによって支配される領域です。特定の皮膚分節の感覚が失われている場合は、脊髄のどこに損傷があるかを特定できます。
皮膚分節
皮膚の表面は皮膚分節と呼ばれる領域に分けられています。皮膚分節とは、1つの脊髄神経根から出た複数の感覚神経のみによって支配される領域です。感覚神経は、触感、痛み、温度、振動などの情報を皮膚から脊髄に伝えます。 脊髄神経根は対になっていて、各対の1つずつが体の右側と左側に対応します。全部で31対あります。
これらそれぞれの神経根に対応する皮膚分節があります。 ある皮膚分節から送られる感覚情報は、感覚神経線維によって対応する椎骨の脊髄神経根に伝えられます。例えば、太ももの後ろ側の帯状の領域から送られた皮膚の感覚情報は、感覚神経線維によって第2仙椎(S2)の神経根に伝えられます。 | |
1つの脊髄神経につき2つの神経根(運動神経根と感覚神経根)があります。唯一の例外は感覚神経根をもたない第1脊髄神経です。
運動神経根:前方に位置する運動神経根は前根とも呼ばれ、脊髄からの信号を筋肉に伝えて筋肉の運動(収縮)を引き起こす神経線維が含まれています。
感覚神経根:後方に位置する感覚神経根は後根とも呼ばれ、体表から伝わる触覚、姿勢、痛み、温度などの感覚情報を脊髄に伝える神経線維が含まれています。
脊髄は腰(L1かL2の辺り)で終わりますが、それより下の脊髄神経根は下に伸びて、ウマの尾に似た神経の束(馬尾 馬尾症候群 馬尾症候群は、脊髄の底部から伸びる神経の束が圧迫されたり損傷したりすることで発生します。 馬尾症候群の最も一般的な原因は椎間板ヘルニアです。 馬尾症候群は、腰の激しい痛み、排尿の問題(尿失禁など)のほか、殿部、陰部、膀胱、直腸の感覚消失を引き起こします。 医師は馬尾症候群の症状を直ちに評価し、MRIまたはCT検査によって診断を確定します。... さらに読む )を形成しています。
脊髄は高度に系統化されています。脊髄の中心部には、断面が蝶のような形をした灰白質があります。蝶の「羽」の部分は角と呼ばれています。
前角には、脳または脊髄からの信号を運動神経根を経由して筋肉に伝える神経細胞が含まれています。
後ろ側には後角があり、痛みや温度などの感覚情報の信号を、脊髄の外にある神経細胞から感覚神経根を経由して受け取る神経細胞が含まれています。
脊髄の外側は白質と呼ばれ、ここには、神経線維の経路があります。それぞれの経路は特定のタイプの神経信号を伝えていて、脳に信号を伝える経路(上行路)と、脳からの信号を伝える経路(下行路)とがあります。
脊髄伝導路
脊髄神経は、神経根を経由して、脊髄から出る信号と脊髄に入る信号を伝えています。神経根には次の2つがあります。
脊髄の中央には、蝶のような形をした灰白質があり、ここで脊髄神経から出る信号と、脊髄神経に入る信号が中継されています。蝶の「羽」の部分は角と呼ばれています。
信号は、脊髄を上行するもの(脳に行く信号)と、下行するもの(脳から来る信号)とがあり、それぞれ別の経路を通ります。様々な経路が、それぞれ異なるタイプの神経信号を伝えています。例えば、次のような経路があります。
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原因
脊髄の病気には、脊髄外部に由来するものもあれば、より頻度は下がりますが、脊髄内部に由来するものもあります。
脊髄の外部
脊髄の外部に由来する病気には以下のものがあります。
脊髄の圧迫は、骨(頸椎症 頸椎症 頸椎症は、首の骨(椎骨)とその間にある椎間板の変性により、頸部の脊髄が圧迫される病気です。 頸椎症の最も一般的な原因は変形性関節症です。 多くの場合は、最初の症状として、歩行がぎこちなく不安定になり、首に痛みが生じて首の柔軟性が失われます。 診断は、MRIまたはCT検査によって確定できます。... さらに読む 、脊柱管狭窄症、骨折などの場合)、血腫(血液の貯留)、腫瘍、膿瘍(膿がたまった空洞)、 椎間板破裂や椎間板ヘルニア 椎間板ヘルニア 椎間板ヘルニアは、脊椎の椎間板を覆う丈夫な外殻が裂けたり破裂したりすると発生します。椎間板の軟らかいゼリー状の内身が外殻から外へ飛び出す(ヘルニアになる)ことがあります。 加齢、けが、太りすぎは椎間板ヘルニアの原因になります。 椎間板ヘルニアが痛みを引き起こす場合、その痛みには、わずかな痛みから体を衰弱させるほどの痛みまであります。... さらに読む などによって起こります。
脊髄の内部
脊髄の内部に由来する病気には、髄腔に液がたまる 空洞症 脊髄または脳幹の空洞症 空洞症は、脊髄(脊髄空洞症)もしくは脳幹(延髄空洞症)、またはその両方に、液体で満たされた空洞ができる病気です。 空洞症は生まれつきあることも、外傷や腫瘍により後天的にできることもあります。 痛みと温度の感覚が鈍くなり、手と脚の筋力が低下することがあります。あるいは、回転性めまいや、眼の動き、味覚、発話の障害をきたすこともあります。... さらに読む 、 血液供給の遮断 脊髄への血流遮断 脊髄に血液を送る動脈が遮断されると、血液と酸素が脊髄に届かなくなります。すると、脊髄の組織が壊死します(梗塞)。 原因には、重度の動脈硬化、血管の炎症、血栓のほか、ときに腹部大動脈の処置などがあります。 背中に突然の痛みが生じて、痛みが病変部から他の部位に広がり(放散痛)、続いて筋力低下が起こり、病変部では熱さ、冷たさ、痛みが感じられなく... さらに読む 、炎症(急性横断性脊髄炎 急性横断性脊髄炎 急性横断性脊髄炎は、脊髄の幅全体に(横断性に)炎症が起こり、脊髄を行き来する神経信号が遮断される病気です。 急性横断性脊髄炎は、多発性硬化症、視神経脊髄炎、ライム病、全身性エリテマトーデスなどの特定の病気の人、または特定の薬剤を使用している人に起こります。 突然背中に痛みが生じ、患部を帯状に締めつけられるような感じがします。その後、ときに... さらに読む など)、腫瘍、膿瘍、出血、 ビタミンB12欠乏症 銅欠乏症 銅欠乏症は健康な人ではまれで、ほかの健康上の問題があるか遺伝子異常を受け継いだ乳児に最も多くみられます。 体内の銅のほとんどは肝臓、骨、筋肉に存在していますが、体のすべての組織に微量の銅が存在します。肝臓は、余分な銅を体内から取り除くために 胆汁中に排泄します。銅は様々な酵素の構成要素であり、そうした酵素には以下の作用に必要なものもありま... さらに読む 、 銅欠乏症 銅欠乏症 銅欠乏症は健康な人ではまれで、ほかの健康上の問題があるか遺伝子異常を受け継いだ乳児に最も多くみられます。 体内の銅のほとんどは肝臓、骨、筋肉に存在していますが、体のすべての組織に微量の銅が存在します。肝臓は、余分な銅を体内から取り除くために 胆汁中に排泄します。銅は様々な酵素の構成要素であり、そうした酵素には以下の作用に必要なものもありま... さらに読む 、 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む 、 多発性硬化症 多発性硬化症(MS) 多発性硬化症では、脳、視神経、脊髄の髄鞘(ずいしょう)(ほとんどの神経線維を覆っている組織)とその下の神経線維が、まだら状に損傷または破壊されます。 原因は解明されていませんが、免疫系が自分の体の組織を攻撃する現象(自己免疫反応)が関与していると考えられています。 多発性硬化症の患者のほとんどは、健康状態が比較的良好な期間と症状が悪化する... さらに読む 、 梅毒 梅毒 梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌によって引き起こされる性感染症です。 梅毒の症状は、見かけ上は健康な時期をはさんで、3段階で生じます。 まず患部に痛みのない潰瘍が現れ、第2期では、発疹、発熱、疲労感、頭痛、食欲減退がみられます。... さらに読む などがあります。
放射線療法が脊髄を損傷することもあります。
症状
脊髄は系統的に機能しているため、脊髄が損傷を受けると、損傷部位に応じて特有の症状のパターンが現れます。以下のような症状が、様々なパターンで生じます。
感覚の消失 感覚神経 神経の病気が疑われる場合、医師は身体診察を行って、すべての器官系の評価を行いますが、特に神経系に重点が置かれます。神経系の診察(神経学的診察)では、以下の要素が評価されます。 精神状態 脳神経 運動神経 感覚神経 さらに読む (軽い触覚、痛覚、温度覚、振動覚、または腕や脚の位置を知る感覚などがなくなる)
発汗の減少
麻痺
どの機能が失われたかを特定することにより、しばしば脊髄のどの部位(脊髄の前部、後部、側方、中央、または全体など)に損傷があるかを判断できます。症状のある部位(例えば、どの筋肉が麻痺しているか、または、体のどの部位の感覚が失われているか)を特定することにより、脊髄のどの高さで損傷が生じたか(損傷が起こったレベル)を判断できます。
損傷より下の領域の脊髄によって制御されている機能は完全にまたは部分的に失われます。損傷より上の領域の脊髄によって制御されている機能には影響が出ません。
筋力低下や麻痺が突然起きた場合は、筋肉の緊張(筋緊張)が失われて、だらりと(弛緩)します。筋肉が弛緩した後には、数日から数週間かけて筋緊張が強くなり、筋肉が不随意に収縮する傾向があります(この状態は「けい縮」あるいは「けい性」と呼ばれています)。
脊髄をゆっくり損傷する病気(頸椎症 頸椎症 頸椎症は、首の骨(椎骨)とその間にある椎間板の変性により、頸部の脊髄が圧迫される病気です。 頸椎症の最も一般的な原因は変形性関節症です。 多くの場合は、最初の症状として、歩行がぎこちなく不安定になり、首に痛みが生じて首の柔軟性が失われます。 診断は、MRIまたはCT検査によって確定できます。... さらに読む や 遺伝性けい性対麻痺 遺伝性けい性対麻痺 遺伝性(家族性)けい性対麻痺は、けい縮を伴う筋力低下(けい性麻痺)が脚に徐々に起こるまれな一群の遺伝性疾患です。 遺伝性けい性対麻痺の患者では、過剰な反射、けいれん、けい縮が起こり、歩行が困難になります。 医師は同じ病気をもつ家族がほかにいないか調べ、同様の症状がみられる他の病気の可能性を否定します。遺伝子検査を行うこともあります。... さらに読む など)がある場合は、筋緊張が亢進し、筋肉のけい縮を伴う麻痺(けい性麻痺)が起こることがあります。
けい縮が起こるのは、脳からの信号が損傷部位を通過できず、反射を制御できないためです。その結果、数日から数週間にわたって、反射がさらに顕著になります。すると、反射によって制御されている筋肉は緊張して硬くなり、ときに不随意に収縮することがあります。
診断
身体診察
MRI検査または脊髄造影CT検査
医師は通常、症状の特徴的なパターンから脊髄の病気を認識することができます。診断の手がかりを得るため、必ず身体診察が行われます。脊髄が損傷されていれば、身体診察は損傷の位置を判定する上でも役に立ちます。診断を確定し原因を突き止めるためには、画像検査が行われます。
脊髄の病気に対する最も正確な画像検査はMRI検査です。MRI検査では、脊髄のほか、脊髄の周囲の軟部組織の異常(膿瘍、血腫、腫瘍、椎間板の破裂など)と骨の中の異常(腫瘍、骨折、頸椎症など)も描き出されます。
MRI検査が行えない場合は、 脊髄造影 脊髄造影検査 病歴聴取と 神経学的診察によって推定された診断を確定するために、検査が必要になることがあります。 脳波検査は、脳の電気的な活動を波形として計測して、紙に印刷したりコンピュータに記録したりする検査法で、痛みを伴わずに容易に行えます。脳波検査は以下の特定に役立つ可能性があります。 けいれん性疾患... さらに読む CT検査を行います。脊髄造影CT検査では、造影剤(X線画像に写る物質)を脊髄の周囲に注入した後、CT撮影を行います。
脊椎に骨折や腫瘍などの問題がないか調べるためにX線撮影を行うこともありますが、骨に関してより多くの情報が得られることから、総じてCTの方が好まれます。
治療
可能であれば、原因の治療
合併症の予防
理学療法と作業療法
脊髄機能障害の症状(麻痺や感覚の消失など)が突然起こった場合は、直ちに救急医療機関を受診するべきです。すぐに受診することで、恒久的な脊髄損傷や麻痺が起こるのを防げる場合があります。可能であれば原因の治療または是正が行われます。しかし、このような処置が行えなかったり奏功しなかったりすることも少なくありません。
脊髄の病気により麻痺が生じた人や、寝たきり状態になった人は、次のような合併症を予防するために高度な介護を必要とします。
排尿障害:自力で動けずトイレが使えない場合は尿道カテーテルが必要です。尿路感染症のリスクを減らすために、カテーテルの挿入は無菌操作で行い、抗菌薬の軟膏または液剤を毎日塗布します。
肺炎:肺炎のリスクを減らすために、理学療法士や看護師から深呼吸の方法を習います。肺に蓄積する分泌物を排出しやすいように体の角度を調節したり(体位ドレナージ)、分泌物を吸い出したりするなどの介助も行われます。
血栓:ヘパリンや低分子ヘパリンなどの抗凝固薬を注射で投与します。抗凝固薬を使用できない場合(出血性疾患や胃潰瘍がある場合など)は、下大静脈(血液を腹部から心臓に運ぶ太い静脈)の中に血栓フィルター(傘 下大静脈フィルターによる肺塞栓症の予防 の骨組みのような形状をしたフィルター)を留置します。このフィルターは、脚の静脈から剥がれてきた血栓(血液のかたまり)を心臓にたどり着く前に捕まえます。
体の機能を広範囲に失うことは、痛烈な打撃となって、抑うつや自尊心の喪失をもたらすことがあります。このような場合、正式なカウンセリングは非常に有用です。何が起こったのか、そして近い将来および遠い将来に何が起こりうるかを正確に知ることは、機能の喪失と向き合いリハビリテーションに備える助けとなります。
リハビリテーション
リハビリテーションはできるだけ多くの機能を回復するのに役立ちます。最善の方法は、看護師、 理学療法士 理学療法(PT) 理学療法は、 リハビリテーションの一環であり、背中、上腕、脚に重点を置いた運動療法と整体を行います。関節や筋肉の機能を改善し、患者がより容易に立ち、バランスをとり、歩き、階段を昇れるようにします。理学療法では以下のような訓練が行われます。 関節可動域訓練 筋肉強化運動 協調・バランス運動訓練... さらに読む 、 作業療法士 作業療法(OT) 作業療法は、 リハビリテーションの一環であり、基本的なセルフケア活動、有用な動作や作業、余暇活動を行う能力を高めることを目標としています。こうした活動には、基本的な日常活動(食べる、服を着る、入浴する、身だしなみを整える、トイレに行く、移乗する[いすからトイレやベッドに移る]など)や、より複雑な日常活動(食事の準備をする、電話やコンピュー... さらに読む 、ソーシャルワーカー、栄養士、臨床心理士、カウンセラー、ときにリハビリテーションを専門とする医師(リハビリテーション医)、そして本人と家族で構成されるチームがケアにあたることです。例えば、膀胱と腸管の機能障害に対しては、カテーテルの挿入の仕方、下剤を使用するタイミング、指で排便を刺激する方法などを看護師から習うことができます。
理学療法では、筋力強化の運動やストレッチを行います。装具、歩行器、車いすなどの補助器具の使用方法や筋肉のけい縮への対処法を学ぶこともできます。
作業療法では、日常作業を再開するための方法を習うことができ、器用さと協調運動の改善にも役立ちます。患者は、失われた機能を補うための工夫や技術を習います。仕事、趣味、その他の活動を再開するのに必要な調整を臨床心理士やカウンセラーが手助けすることもあります。性機能障害への対処方法も教わります。多くの人は、感覚が失われていても性行為が可能です。
家族や親しい友人からの心理的な支えも重要です。