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肝肺症候群

執筆者:

Mark T. Gladwin

, MD, University of Maryland School of Medicine;


Andrea R. Levine

, MD, University of Maryland School of Medicine

レビュー/改訂 2022年 7月
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肝肺症候群とは、肝疾患の患者において、肺の細い動脈が広がる(拡張する)ことで、血液中の酸素レベルが低下する症候群です。

肝肺症候群では以下の3つの異常がみられ、血液中の酸素レベルが低下します。

  • 肺の微小な動脈や静脈に拡張がみられます。この拡張によって、肺内の血流量が増え、肺が血液の酸素化を十分に行える量を超えてしまいます。

  • 肺内を血液がより速く流れるため、血液が十分に酸素を受け取るための時間が短くなります。

  • 動脈(酸素を豊富に含んだ血液が流れる血管)と静脈(酸素が少ない血液が流れる血管)の間に異常な交通がみられます。この交通によって、動脈を介して身体に送られる血液が、酸素に富む血液と酸素が不十分な血液が混ざり合った状態になります。混ざり合った血液の酸素レベルは通常よりも低くなります。

症状の息切れは、上体を起こすと悪化し、横になると軽快することがよくあります。血液中の酸素レベルも、患者が上体を起こしたときに低下します。皮膚の赤い斑点(くも状血管腫 くも状血管腫 くも状血管腫は、皮膚に現れる鮮やかな赤色の小さな斑で、拡張した血管を取り囲むように分布する拡張した毛細血管(最も微細な血管)がクモの脚のように見えるため、この名があります。 ( 皮膚の良性腫瘍の概要と 脈管の増殖と奇形の概要も参照のこと。) くも状血管腫は、鮮やかな赤色の小さな斑点の周囲を微細な血管(毛細血管)が取り囲んだもので、その毛細血管がクモの脚のように見えます。健康な人にみられるくも状血管腫は、多くの場合正常です。妊娠中の女性、... さらに読む くも状血管腫 )など、慢性 肝疾患 肝硬変 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。肝硬変はかつては不可逆的と考えられていましたが、最近の科学的証拠から一部の症例では可逆的であることが示唆されています。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的な アルコール乱用、 慢性ウイルス性肝炎、... さらに読む 肝硬変 の症状もみられます。

肝肺症候群の診断

  • パルスオキシメトリー

  • しばしば心エコー検査または肺シンチグラフィー

肝疾患のある患者に息切れがみられれば、医師は肝肺症候群を疑います。肝肺症候群が疑われる場合、指にセンサーを取り付けて血液中の酸素レベルを測定します(パルスオキシメトリー)。患者が室内の空気を吸った後と、酸素を吸った後とにそれぞれ血液を採取し、血液中の酸素レベルを測定することもあります。

診断を確定するのに役立つ検査としては、特殊な溶液を静脈内に注射してから行う心エコー検査(造影心エコー検査)や、肺シンチグラフィーなどがあります。

肝肺症候群の治療

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