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肺動脈カテーテル検査

執筆者:

Thomas Cascino

, MD, MSc, Michigan Medicine, University of Michigan;


Michael J. Shea

, MD, Michigan Medicine at the University of Michigan

レビュー/改訂 2021年 7月
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肺動脈は、心臓の右側部分から肺に血液を送る動脈です。肺動脈カテーテル検査では、右心房と右心室を介して肺動脈にカテーテルを挿入します。これは、重篤な状態の患者で心臓の全体的な機能を測定する際に有用となる検査で、特に輸液を行っている場合に役立ちます。そのような人としては、重度の心疾患や肺疾患(心不全 心不全 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む 心不全 心臓発作 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞する)ことによって起こります。この閉塞により、その位置と程度に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。心臓発作とは、血液供給がなくなることにより心臓の組織が壊死する病気です。 急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。 急性冠症候群が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、アスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。... さらに読む 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 不整脈 不整脈の概要 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む 不整脈の概要 肺塞栓症 肺塞栓症 肺塞栓症は、血液のかたまり(血栓)や、まれに他の固形物が血液の流れに乗って肺の動脈(肺動脈)に運ばれ、そこをふさいでしまう(塞栓)病気です。 肺塞栓症は、一般に血栓によって発生しますが、別の物質が塞栓を形成して動脈をふさぐこともあります。 肺塞栓症の症状は様々ですが、一般に息切れなどがみられます。... さらに読む などで合併症がある場合)の患者や、心臓の手術を受けた直後の人、 ショック ショック ショックとは、臓器に向かう血流が減少することで、酸素の供給量が低下し、それにより臓器不全やときに死にもつながる、生命を脅かす状態です。通常、血圧は低下しています。 ( 低血圧も参照のこと。) ショックの原因には血液量の減少、心臓のポンプ機能の障害、血管の過度の拡張などがあります。 血液量の減少または心臓のポンプ機能の障害によってショックが起きると、脱力感、眠気、錯乱が生じ、皮膚が冷たく湿っぽくなり、皮膚の色が青白くなります。... さらに読む に陥っている人、重度の熱傷(やけど)を負った人などが挙げられます。

肺動脈カテーテル検査は、右心房と右心室の血圧を測定するため、左心房と左心室の血圧や、心拍出量(心臓が1分間に送り出す血液の量)、末梢血管抵抗(心臓から送り出される血液に動脈内でかかる抵抗)、血液の量を推定するためにも行われます。この検査では、血圧が低下している理由(心タンポナーデ 心タンポナーデ 心タンポナーデとは、心臓を包んでいる2層の膜(心膜)の間に体液などの血液が貯留し、心臓が圧迫されることです。その結果、血液を送り出す心臓のポンプ機能が阻害されます。 典型的にはふらつきや息切れを感じ、失神することもあります。 症状や診察結果のほか、救急外来で行われる心臓超音波検査(心エコー検査)に基づいて診断されます。 針を使ったり、ときに手術を行ったりして、心臓の周りにたまった血液を除去します。... さらに読む など)または、呼吸困難がみられる理由(心不全や 肺高血圧 肺高血圧症 肺高血圧症とは、心臓から肺につながる動脈(肺動脈)の血圧が異常に高くなる病気です。 多くの病気が肺高血圧症を引き起こす可能性があります。 通常は、体力低下のほか軽い運動であっても息切れが現れ、場合によっては軽い運動でもふらつきや疲労感がみられることもあります。 胸部X線検査、心電図検査、心エコー検査により、診断の手がかりが得られるものの、... さらに読む など)を知る上で有用な情報が得られます。

肺動脈カテーテル検査の方法

肺動脈カテーテル検査では、右 心カテーテル検査 心臓カテーテル検査 心臓カテーテル検査と冠 動脈造影検査は、手術を行わずに心臓とそこに血液を供給する血管(冠動脈)を調べることができる低侵襲検査です。通常、これらの検査は、 非侵襲的な検査では十分な情報が得られない場合や、非侵襲的な検査では心臓や血管の問題が示唆されない場合、患者の症状から心臓や冠動脈の問題が強く疑われる場合に行われます。これらの検査の利点の1つとしては、検査中に 冠動脈疾患など様々な病気の治療も行えることがあります。... さらに読む 心臓カテーテル検査 と同様に、先端にバルーンの付いたカテーテルを首、鎖骨の下、鼠径部、腕の静脈に挿入し、心臓に向かって進めます。カテーテルの先端を、上大静脈または下大静脈(それぞれ体の上部と下部からの血液を心臓へ戻す大静脈)から右心房、右心室を通って肺動脈へと進めます。カテーテルの先端のバルーンが肺動脈内に入るようにします。胸部X線検査かX線透視検査(連続的なX線検査)を用いて、カテーテル先端の位置が正しいかどうか確認することもあります。

バルーンを膨らませると、肺動脈が一時的に閉塞して、肺の毛細血管内の血圧(肺毛細血管楔入圧[せつにゅうあつ])を測定できるようになります。その測定値から、左心房内の血圧を間接的に評価することができます。カテーテルを通して血液サンプルを採取できるため、血液中の酸素と二酸化炭素のレベルを測定できます。

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