クランベリー

執筆者:Laura Shane-McWhorter, PharmD, University of Utah College of Pharmacy
レビュー/改訂 2020年 7月
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クランベリーは果物で,そのまま食べるか,ゼリーやジュースなどの食品に加工して摂取できる。

栄養補助食品の概要も参照のこと。)

効能

クランベリーは多くの場合,尿路感染症の予防と症状緩和に役立てるために摂取される。尿路感染症予防に対するクランベリーの有効性は実証されていない。加工されていない生のクランベリージュースにはアントシアニジン(例,プロアントシアニジン)が含まれており,大腸菌(Escherichia coli)が尿路壁に付着するのを防ぐ。

発熱や特定の悪性腫瘍の治療を目的としてクランベリージュースを摂取する場合もあるが,こうした使用が効果的であると示す科学的証拠はない。

エビデンス

1966年に行われた最初の非対照臨床試験では,クランベリージュースが尿路感染症の予防に有効性があるとの評価が発表された(1)。その後,対象集団,疾患の重症度,用量,投与タイミング,サプリメントの形態(ジュースあるいはエキスのカプセル/錠剤)の異なる数多くの試験が行われてきた。

大多数のエビデンスは,クランベリージュースまたはエキスには,12カ月間にわたり尿路感染症の再発防止にわずかながらも有意な効果があるが,尿路感染症の治療はできないことを示唆している(2)。しかしながら,24の研究(4473例)をまとめた2012年のコクラン・レビュー(Cochrane Review)では,サプリメントの使用による尿路感染症のわずかな減少傾向が認められたものの,統計学的には有意でなかったとして,このサプリメントの有効性に疑問が投げかけられた(3)。28の研究(4947例)を対象とした2017年のメタアナリシスには,より最近の試験が含まれており,尿路感染症が33%有意に減少したことが示された(4)。尿路感染症のリスクを有する女性を対象としたランダム化比較試験の別のメタアナリシスでも,クランベリーが尿路感染症のリスクを26%低下させたことが明らかにされた(5)。クランベリー製品の規格化を行い,プロアントシアニジン(PAC)の含有量を規定すれば,結果の解明と不一致の解消につながる可能性がある。研究対象の各女性における尿路の生理学的差異や衛生観念の違いも,結果のばらつきにつながった可能性がある。抗菌薬耐性が懸念されるため,再発性尿路感染症の女性を対象とした米国泌尿器科学会議(American Urological Association)の2019年版ガイドラインでは,医師はクランベリーの予防的使用を勧めてもよいと記載されているが,これはエビデンスレベルの推奨度でグレードCとされている(6)

有害作用

有害作用は知られていない。しかし,ほとんどのクランベリージュースは酸味を和らげるために非常に甘くしてあるため,糖尿病の場合は人工的な甘味料で甘くしてあるもの以外は摂取すべきでない。クランベリーは尿の酸性度を上昇させるため,尿酸の腎結石がある患者では結石形成が促進されることがある。

薬物相互作用

クランベリー製品はワルファリンの作用を増大させることがある。

クランベリーに関する参考文献

  1. Papas PN, Brusch CA, Ceresia GC: Cranberry juice in the treatment of urinary tract infections.Southwest Med 47(1):17-20, 1966.

  2. Jepson RG, Craig JC: A systematic review of the evidence for cranberries and blueberries in urinary tract infection prevention.Mol Nutr Food Res 51(6): 738-745, 2007. doi: 10.1002/mnfr.200600275.

  3. Jepson RG, Williams G, Craig JC: Cranberries for preventing urinary tract infections.Cochrane Database Syst Rev 10:CD001321, 2012. doi: 10.1002/14651858.CD001321.pub5.

  4. Luís Â, Domingues F, Pereira L: Can cranberries contribute to reduce the incidence of urinary tract infections?A systematic review with meta-analysis and trial sequential analysis of clinical trials.J Urol 198(3):614-621, 2017.doi: 10.1016/j.juro.2017.03.078.

  5. Fu Z, Liska D, Talan D, et al: Cranberry reduces the risk of urinary tract infection recurrence in otherwise healthy women: a systematic review and meta-analysis.J Nutr 147(12):2282-2288, 2017.doi: 10.3945/jn.117.254961. 

  6. Anger J, Lee U, Ackerman AL, et al: Recurrent uncomplicated urinary tract infections in women; AUA/CUA/SUFU guideline..J Urol 202(2):282-289, 2019.doi: 10.1097/JU.0000000000000296. 

より詳細な情報

以下の英語の資料が有用であろう。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. National Institutes of Health (NIH), National Center for Complementary and Integrative Health: General information on the use of cranberry as a dietary supplement

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