治療器具および補助器具

執筆者:Alex Moroz, MD, New York University School of Medicine
レビュー/改訂 2017年 6月 | 修正済み 2017年 7月
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    矯正装具は,損傷した関節,靱帯,腱,筋肉,骨を支持する機能をもつ。ほとんどの器具は患者のニーズと解剖学的形態に合わせてカスタマイズされる。靴の中に入れるよう設計された矯正装具は,支持機能を有するだけでなく,患者の体重を足の別の部位に移動させることで,失われた機能を補ったり,変形や損傷を予防したり,体重の支持を補助したり,疼痛を緩和したりする。矯正装具はしばしば非常に高価で,保険が適用されないことが多い。

    歩行補助具には歩行器,松葉杖や,杖などがある( see figure 正しい杖の高さ)。これらの器具は体重支持,バランス保持,またはその両方を補助する。それぞれの器具には長所と短所があり,またいずれも多くのモデルが用意されている。評価の後,療法士は患者にとって最大の安定性と自由度を兼ね備えたものを選択する( see table 歩行補助具)。医師は,松葉杖のサイズの合わせ方について知っておくべきである( see figure 松葉杖の調整)。補助器具を処方する際は,できる限り具体的に書くべきである。

    正しい杖の高さ

    最大の力が加わったときに,患者の肘が45°弱の角度で曲がるようにすべきである。

    松葉杖の調整

    患者は普段履いているタイプの靴を着用し,直立して肩を弛緩させ,まっすぐ前を見る。正しく合わせるためには,松葉杖のそれぞれの下端を靴の脇約5cm,つま先の前方15cmのところに突き,松葉杖の上端が腋窩から指2~3本分(約5cm)下にくるようにすべきである。ハンドグリップは肘が20°~30曲がる位置に来るよう調節すべきである。

    車椅子により,歩けない患者は移動できるようになる。自分でこいで進むよう設計されたものや,起伏した路面や縁石の高低を乗り越えるための安定性を備えたものも作られている。他には介助者に押してもらうように設計されたものもある;こういったタイプは安定性が少なくスピードも出ない。車椅子には様々な特徴をもつものが用意されている。下肢は正常に機能しないが上半身が丈夫な,運動を得意とする患者には競走用車椅子もある。協調運動に支障のない片麻痺患者には,片腕で動かせる,または高さが半分の車椅子が適している。患者に腕の機能がほとんど,または全くなければ,電動車椅子が処方される。四肢麻痺患者向けの車椅子には,顎または口で(吸ったり吐いたりして)操作するものや,人工呼吸器が組み込まれているものがある。

    電動カートは,充電式の車輪付きカートで,ハンドルまたは操作レバー,速度制御機能が備わっており,前進と後進ができる。これらは建物の中や屋外の堅固で平坦な場所で使用できるが,縁石や階段を上ることはできない。電動カートは,立ち上がって短距離を歩ける(電動カートまで,また電動カートから移動できる)が,長距離を歩く筋力および/またはスタミナのない人に役立つ。

    装具とは,身体の部位の人工的な代替物であり,最も多いのは切断後の上下肢を補完する目的で作られる義肢である( see page 下肢切断のリハビリテーション)。技術的革新により,装具の快適さおよび機能性は格段に向上している。装具の多くは外見上自然に見えるようしつらえてある。義肢装具士は,治療の早い段階から患者とかかわり,患者のニーズと安全性基準を満たす装具を選べるよう,多くの選択肢について患者の理解を助けるべきである。多くの患者がかなりの機能回復を期待できる。理学療法は装具を合わせる前であっても始めた方がよく,患者が新しい義肢を使いこなせるようになるまで継続すべきである。一部の患者は,装具に耐えられない,または装具をうまく使用するのに必要なリハビリテーションを完了できないようである。

    表&コラム

    リハビリテーションの概要も参照のこと。)

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