青年期の肥満

執筆者:Sharon Levy, MD, MPH, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2020年 9月
意見 同じトピックページ はこちら

青年期の肥満は,30年前と比較して今や倍増しており,青年クリニック受診の最も多い理由の1つである。肥満成人が青年期も肥満であった割合は3分の1以下であるが,肥満青年は,ほとんどの場合成人になっても肥満のままである。

肥満合併症の大半は成人で発現するが,肥満青年は肥満ではない同世代の者に比べ血圧が高い可能性が高い。肥満に関連するインスリン抵抗性により,青年期の2型糖尿病の発生頻度が増加している。社会が肥満を恥ずべきものとしていることから,多数の肥満青年の自己評価は低く,ますます運動不足になり社会的に孤立する。

病因

青年で肥満に影響する因子は,成人でみられる因子と同じである。ほとんどの症例は外的因子(例,摂取カロリー過剰および/または質の低い食事)によるものであり,しばしば座位時間の長い生活習慣と関連している。遺伝的影響は多くみられ,今では原因遺伝子が同定されている。( see also page 肥満およびメタボリックシンドローム)。

しばしば親は肥満が甲状腺機能低下症 または副腎皮質機能亢進症などの何らかの内分泌疾患の結果ではないかと心配するが,そのような疾患が原因であることはまれである。内分泌疾患によって体重が増加した青年は,通常低身長であり,基礎にある疾患の他の徴候がみられる。

診断

  • Body mass index

body mass index(BMI)の算出は身体評価の重要な側面の1つである。BMI値が年齢別かつ男女別の95%パーセンタイル以上である青年を肥満とする。

原発性の内分泌疾患(例,副腎皮質機能亢進症,甲状腺機能低下症)または代謝疾患が原因となることはまれであるが,身長の伸びが著しく遅れている場合は,これらを除外すべきである。低身長で高血圧がある場合は,クッシング症候群を考慮すべきである。

治療

  • 健康な食生活および運動習慣

多くの治療アプローチがあるにもかかわらず,肥満は最も治療困難な問題の1つであり,長期的な治療成功率は依然として低い。肥満青年に対する介入は,減量の具体的な数値目標ではなく,健康な食生活および運動習慣の確立に焦点を当てるべきである。摂取カロリーの減少は以下の方法により行う:

  • 通常の食物で構成されるバランスの良い食事の確立

  • 食習慣の永続的な変更

カロリー燃焼の増加は以下の方法により行う:

  • 身体活動の増加

肥満青年に対するサマーキャンプは,大幅な減量に有用であるが,努力を継続しなければ,通常は体重が元に戻る。青年が自尊心の低さなどの問題に対処するのを支援するためのカウンセリングが役立つこともある。

減量のための薬剤は,安全性および乱用に対する懸念から青年期では一般的に使用されていない。1つの例外は,肥満青年が2型糖尿病の濃厚な家族歴を有する場合である。そのような青年は,糖尿病を発症するリスクが高い。メトホルミンという薬剤は糖尿病の治療に用いられるが,そのような青年の減量にも有用であり,また糖尿病を発症するリスクの低減にも有用である。

quizzes_lightbulb_red
Test your KnowledgeTake a Quiz!
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS