避妊と青年期の妊娠

執筆者:Sharon Levy, MD, MPH, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2020年 9月
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    多くの青年が性行為を行っているが,避妊,妊娠およびC型肝炎やHIV感染症などの性感染症については十分な情報を与えられていない。衝動性,計画性の欠如,および薬物やアルコールを同時に摂取していることにより,青年がバリア法などによる避妊を行う可能性が低くなる。

    成人の避妊法のいずれも青年は使用できる。最も多い問題は,方法の原理を理解し,能動的に,正しく実施できるか否かである。である(例,経口避妊薬の毎日の服用を忘れる,または,しばしば別の避妊法を使用せず完全に服用を止める)。男性によるコンドーム使用が最もよく用いられる避妊法であるが,常時の使用を妨げる考えがなお存在する(例,コンドームの使用は快感を減少させる,「ロマンチックな雰囲気」を壊す)。性行為中,恥ずかしさのために男性パートナーにコンドームの使用を頼めない青年女子もいる。

    妊娠は青年にとって重大な精神的ストレスの原因になりうる。妊娠した青年女子とそのパートナーは学校または職業訓練から中退する傾向があり,そのため経済状態が悪化し,自尊心が低下し,対人関係に歪みが生じる。青年期に妊娠した場合(米国の妊娠総数の13%),成人に比べ出生前ケアを受ける可能性が低いため,妊娠転帰が不良である(例,高い早産率)。青年期に妊娠した女子,特に若年女子および出生前ケアを受けていない場合は,20代女性に比べ,貧血および妊娠高血圧腎症など妊娠中に医学的問題が起こる可能性が高い。若い母親(特に15歳未満の母親)の子どもは,早産児である可能性および低出生体重である可能性がより高い。しかしながら,青年期後期の女子では,適正な出生前ケアを受けた場合,妊娠に関連した問題のリスクは同様の背景をもつ成人と同程度である。

    望まない妊娠という心理的問題は,妊娠した女子およびそのパートナーのいずれにとっても,中絶を行うことにより消えるものではない。妊娠と診断された日,中絶すると決めた日,中絶直後,子どもが生まれたであろう日,および後にこれらの日が来るたびに,情緒面の危機が生じうる。家族カウンセリングおよび避妊法の教育は,女子とそのパートナーの双方にとって非常に役立つ。

    娘から妊娠していると告げられた時,または息子から誰かを妊娠させたと告げられた時,親は様々な反応を示す。喜ぶ親もいれば,苦悩する親もおり,感情は興奮から無関心,失望,さらには怒りに至るまで様々である。息子や娘の選択がどのようなものでも,親はそれを支持し助ける意思があると伝えることが重要である。中絶,養子縁組,および育児など,全て1人で対処することが困難な選択について,親子で率直に話し合う必要がある。しかしながら,妊娠を明らかにすることで弱い立場にいる青年のリスクをさらに高める可能性があるため,医療従事者は親に妊娠を明かす前にドメスティックバイオレンスがあるか調べるべきである。

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