神経系の先天異常の概要

執筆者:Stephen J. Falchek, MD, Nemours/Alfred I. duPont Hospital for Children
レビュー/改訂 2018年 12月
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先天性の脳奇形は通常,重度の神経脱落症状を引き起こし,一部は死に至ることもある。

最も重篤な神経系奇形の一部(例,無脳症脳瘤二分脊椎)は,胎生2カ月目までに発生し,神経管形成の異常(癒合不全)を反映する。一方,滑脳症などその他の神経系奇形は,ニューロンの遊走障害( see page 大脳半球の奇形)が原因であり,胎生9~24週に発生する。水無脳症孔脳症は,脳の基本的な構造の形成が完了した後に生じる破壊プロセスに続発するものである。一部に比較的良性の奇形(例,髄膜瘤)がみられることがある。

先天性脳奇形には,これまで知られていなかった多くの遺伝因子を含め,多くの原因がある。

羊水穿刺超音波検査により,多くの奇形を出生前から正確に検出することが可能であり,新しい胎児MRI技術がますます有用になっている。奇形が検出された場合は親に対する心理的支援が必要であり,また,その後も同様の奇形をもつ児を出産するリスクが高くなるため,遺伝カウンセリングも必要である。

予防

神経管閉鎖不全の胎児または乳児を妊娠・出産した経験がある女性は高リスクであるため,妊娠の3カ月前から第1トリメスターにかけて,葉酸サプリメントを4mg(4000μg),経口,1日1回で投与すべきである。葉酸補充は以降の妊娠での神経管閉鎖不全のリスクを75%低下させる。

神経管閉鎖不全の胎児または乳児を妊娠・出産した経験がなくとも,妊娠可能年齢の全ての女性は最低400μg/日の葉酸を食事または補助食品により摂取すべきであり(さらにリスクを軽減するため800μg/日を推奨する専門家もいる),第1トリメスターもこれを継続すべきである。葉酸補充は児に神経管閉鎖不全が発生するリスクを軽減するものの,罹患した胎児または乳児を妊娠・出産した経験がある女性においては,そのリスクの低下幅は小さい(リスク低減は75%未満)。

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