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消化器系の先天異常の概要

執筆者:

William J. Cochran

, MD, Geisinger Clinic

レビュー/改訂 2019年 8月
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緊急処置として,腸管の減圧(持続的な経鼻胃管吸引で嘔吐[誤嚥性肺炎や呼吸困難を伴うさらなる腹部膨隆の原因となりうる]を予防する)を行い,新生児手術が可能な専門施設に紹介する。また,手術に向けて最善の状態に整えるため,体温の維持,10%ブドウ糖および電解質の静注による低血糖予防,ならびにアシドーシスおよび感染症の治療または予防が極めて重要である。

上部消化管閉塞

分娩後に循環動態が安定したら,新生児の胃に経鼻胃管を挿入する。胃内に大量の液体が認められる場合,特にそれが胆汁色であれば,上部消化管閉塞が示唆され,一方でチューブが胃まで挿入できない場合は食道閉鎖(または鼻腔閉塞[例,後鼻孔閉鎖])が示唆される。

空回腸および大腸閉塞

空腸および回腸の閉塞は, 空回腸閉鎖 空回腸閉鎖 空回腸閉鎖は,小腸の一部の形成が不完全となる病態である。診断は腹部X線による。治療は外科的修復である。 ( 消化器系の先天異常の概要も参照のこと。) 空回腸閉鎖がある新生児では,通常,出生当日の後半から生後2日目までに,増強する腹部膨隆,便通不全,嘔吐,および哺乳困難で発症する。... さらに読む 空回腸閉鎖 回転異常 腸回転異常症 腸回転異常症とは,子宮内での発生過程において腸管が腹腔内の正常な位置に収納されなかった状態である。診断は腹部X線による。治療は外科的修復である。 ( 消化器系の先天異常の概要も参照のこと。) 腸回転異常症は,最も頻度の高い小腸の先天奇形である。出生200人当たり1例に無症候性の腸回転異常症がみられるが,症候性の腸回転異常症の頻度はこれより... さらに読む 腸回転異常症 ,または胎便性イレウスの結果として発生する。大腸閉塞は胎便栓症候群か,結腸または肛門の閉鎖(鎖肛 鎖肛 鎖肛とは,肛門が開口していない状態である。 ( 消化器系の先天異常の概要も参照のこと。) 鎖肛において肛門を閉鎖している組織は,厚さが数cmに及ぶこともあれば,皮膚の薄い膜だけのこともある。しばしば瘻孔が発生するが,これは男児では肛門管から会陰部または尿道まで,女児では肛門管から腟,陰唇小帯,またはまれに膀胱までに及ぶ。... さらに読む )に起因するものが典型的である。

母親に羊水過多の病歴がみられない症例が全体の75%に及ぶが,これは胎児が嚥下する羊水の大部分が閉塞部より口側の腸管だけで吸収できるためである。これらの疾患のうち回転異常症,腸管重複症, ヒルシュスプルング病 ヒルシュスプルング病 ヒルシュスプルング病は,下部腸管(通常は結腸に限定される)の神経支配の先天異常であり,部分的または完全な機能的閉塞を引き起こす。症状は便秘と腹部膨隆である。診断は下部消化管造影と直腸生検による。肛門内圧検査が評価に役立つ可能性があり,内肛門括約筋の弛緩欠如が認められる。治療は手術である。... さらに読む ヒルシュスプルング病 以外は,典型的には生後数日以内に哺乳困難,腹部膨隆,胆汁性または糞便性嘔吐などの症状で発症する。本症の新生児は最初に少量の胎便を排出するが,その後は便の排出がみられなくなる。回転異常,腸管重複症,およびヒルシュスプルング病は,生後数日で発症することもあれば,数年経ってから発症することもある。

一般的な診断アプローチと術前管理としては,以下のものが挙げられる:

  • 経口栄養の禁止

  • 腸管のさらなる膨満と吐物の誤嚥を予防するための経鼻胃管挿入

  • 水・電解質平衡異常の是正

  • 腹部単純X線

  • 下部消化管造影による解剖学的形態の明確化(注腸には胎便栓症候群または胎便性イレウスにおける閉塞を軽減する効果もある)

ヒルシュスプルング病には直腸生検が必要である。

腹壁閉鎖の異常

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