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染色体異常症の概要

執筆者:

Nina N. Powell-Hamilton

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

レビュー/改訂 2020年 6月
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染色体異常は様々な疾患の原因となる。性染色体(XおよびY染色体)の異常よりも常染色体(男女とも22対ある相同な染色体)の異常の方が多くみられる。

染色体異常はいくつかのカテゴリーに分けられるが,大きく数的異常と構造異常に分けて考えることができる。

数的異常としては以下のものがある:

  • トリソミー(染色体1本の余剰)

  • モノソミー(染色体1本の欠失)

構造異常としては以下のものがある:

  • 転座(染色体の全体または一部が他の染色体と不適切に結合している異常)

  • 染色体の様々な部分の欠失および重複

用語

染色体異常を記載するには,遺伝学分野に由来する特異的な用語の使用が重要となる:

診断

  • 染色体分析(核型分析)

  • バンド染色法

  • 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)

  • 染色体マイクロアレイ解析(アレイCGH)

染色体分析では典型的にはリンパ球が使用されるが,出生前検査の場合は例外であり,羊水細胞または胎盤絨毛の細胞が使用される(羊水穿刺 羊水穿刺 遺伝学的評価はルーチンの出生前ケアの一環であり,理想的には受胎前に行う。女性がどの程度までの遺伝学的評価を選択するかは以下の要因をどの程度重視するかに関係する: 危険因子および以前の検査結果に基づく胎児異常の可能性 侵襲的な胎児検査による合併症の可能性 結果を知ることの重要性(例,異常が診断された場合妊娠中絶するのか,結果を知らないことで... さらに読む  羊水穿刺 および 絨毛採取 絨毛採取 遺伝学的評価はルーチンの出生前ケアの一環であり,理想的には受胎前に行う。女性がどの程度までの遺伝学的評価を選択するかは以下の要因をどの程度重視するかに関係する: 危険因子および以前の検査結果に基づく胎児異常の可能性 侵襲的な胎児検査による合併症の可能性 結果を知ることの重要性(例,異常が診断された場合妊娠中絶するのか,結果を知らないことで... さらに読む 絨毛採取 を参照)。核型分析では,細胞分裂を中期で停止させて,凝縮した染色体を染色する。単一の細胞から得られた染色体群を写真に撮り,それぞれの画像を所定の順序に並べて,核型を作成する。

染色体をより良好に視覚的に示すため,いくつかの手法が用いられる:

スクリーニング

非侵襲的出生前スクリーニング(NIPS)が現在利用可能である。非侵襲的出生前スクリーニングでは,母体血液検体から採取したセルフリー胎児DNAを用いて配列決定を行い,主に21トリソミー(ダウン症候群 ダウン症候群(21トリソミー) ダウン症候群は21番染色体の異常であり, 知的障害,小頭症,低身長,および特徴的顔貌を引き起こす。診断は身体奇形と発達異常から示唆され,細胞遺伝学的検査によって確定される。管理方針は具体的な臨床像および奇形に応じて異なる。 ( 染色体異常症の概要も参照のこと。) 出生児における全体の発生率は約1/700であり,母体年齢が上がるにつれてリス... さらに読む ダウン症候群(21トリソミー) ), 13トリソミー 13トリソミー 13トリソミーは,過剰な13番染色体によって引き起こされる病態で,前脳,中顔面,および眼の発育異常,重度の知的障害,心臓の異常,ならびに出生時低身長で構成される。診断は細胞遺伝学的検査による。治療は対症療法である。 ( 染色体異常症の概要も参照のこと。) 13トリソミーは出生約10... さらに読む 13トリソミー 18トリソミー 18トリソミー 18トリソミーは,過剰な18番染色体によって引き起こされる病態で,通常は知的障害と出生時低身長のほか,重度の小頭症,心奇形,後頭部突出,変形を伴う耳介低位,やつれたような特徴的顔貌などの様々な先天奇形で構成される。出生前診断は細胞遺伝学的検査による;出生後診断は末梢血検査による。治療は対症療法である。... さらに読む 18トリソミー ,および性染色体異数性の出生前スクリーニングを行う。染色体異常の種類によって感度および特異度が異なることに注意するのが重要である。各疾患の発生率が異なるため,陽性適中率も様々である。陽性適中率は21トリソミーでは高いが,18トリソミーおよび13トリソミーでは低いことがわかっている。頻度の高い微小欠失症候群(例,22q11欠失)のスクリーニング検査として非侵襲的出生前スクリーニングが用いられているが,その感度と特異度は比較的低い水準にとどまっている。したがって,非侵襲的出生前スクリーニングで検出された異常はいずれも診断検査で確認することが推奨される。

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