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不登校

執筆者:

Stephen Brian Sulkes

, MD, Golisano Children’s Hospital at Strong, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

レビュー/改訂 2019年 12月
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不登校は学齢期の小児全体の約5%にみられ,男女差はない。通常は5~11歳の小児で生じる。

不登校の原因ははっきりしない場合が多いが,心理的因子(例,不安, 抑うつ 小児および青年における抑うつ障害 抑うつ障害は,機能の障害やかなりの苦悩を発生させるほど重度または持続的な悲しみまたは易怒性を特徴とする。診断は病歴および診察による。治療は,抗うつ薬,支持療法および認知行動療法,またはこれらの治療法の組合せによる。 (成人における 抑うつ障害群の考察も参照のこと。) 小児および青年の抑うつ障害としては以下のものがある: 重篤気分調節症 うつ病 さらに読む )と社会的因子(例,友人がいない,仲間から拒絶されていると感じる, いじめられている いじめ 小児および青年は,ときに他者と身体的な衝突を起こすことがあるが,その大半は継続的な暴力行動に発展することもなければ,暴力犯罪につながることもない。思春期前から暴力的になる小児と青年では,犯罪を犯すリスクが高くなる。 小児および青年における暴力行動は現在ますます増加している。最大3分の1の小児が,加害者,被害者,またはその両方として,いじめに関与している可能性がある。社会的ストレス(例,低収入の家庭,教育水準の低い親)はいじめの危険因子で... さらに読む )が関与している。不登校行動が高じて欠席日数が多くなってくると,この行動はより深刻な問題(小児期の抑うつ障害 小児および青年における抑うつ障害 抑うつ障害は,機能の障害やかなりの苦悩を発生させるほど重度または持続的な悲しみまたは易怒性を特徴とする。診断は病歴および診察による。治療は,抗うつ薬,支持療法および認知行動療法,またはこれらの治療法の組合せによる。 (成人における 抑うつ障害群の考察も参照のこと。) 小児および青年の抑うつ障害としては以下のものがある: 重篤気分調節症 うつ病 さらに読む 不安症 小児および青年における不安症の概要 不安症は,正常な機能を大きく障害する,目の前の環境と釣り合わない恐怖,心配,または脅威を特徴とする。不安から身体症状を来すこともある。診断は臨床的に行う。治療法は行動療法のほか,通常はSSRIによる薬物療法による。 (成人における 不安症の概要も参照のこと。) 以下のような場合,一部の不安は正常な発達の側面である: 歩行開始後間もない幼児は,母親から引き離されたとき,特に不慣れな環境に置かれたときに恐怖を感じる。... さらに読む [特に 社交不安症 小児および青年における社交不安症 社交不安症は,社会的状況における困惑,冷笑,屈辱などに対する恐怖が遷延する状態である。典型的には,患児は社会的注視を招く可能性のある状況(例,学校)を回避しようとする。診断は病歴に基づいて行う。治療は行動療法であるが,重症例ではSSRIが使用される。 ( 小児および青年における不安症の概要および 社交恐怖症も参照のこと。) 青年期では,社会的イベントに出席する前の過度の心配や教室発表に対する過剰な準備が社交不安症の最初の症状となることが... さらに読む 分離不安症 分離不安症 分離不安症は,愛着対象(通常は母親)からの分離に対して発達段階に不相応で持続的かつ強烈な恐怖を覚える状態である。患児はそのような分離を必死になって回避しようとする。分離を強制した場合,患児は悲痛なまでに再会することのみにとらわれ続ける。診断は病歴に基づいて行う。治療は患児と家族に対する行動療法であるが,重症例ではSSRIが使用される。 ( 小児および青年における不安症の概要も参照のこと。)... さらに読む ,および/または パニック症 小児および青年におけるパニック症 パニック症は,頻回に(最低でも週1回)繰り返し発生するパニック発作を特徴とする。パニック発作は,身体症状,認知症状,またはその両方が約20分間にわたるような不連続な発作である。診断は病歴に基づいて行う。治療はベンゾジアゼピン系薬剤または選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と行動療法による。 (成人における パニック発作およびパニック症も参照のこと。) パニック症は思春期前の小児では青年と比べてはるかにまれである。... さらに読む ]など)の指標となりうる。感受性の強い小児は,教師の厳格な態度や叱責に対して,過度の恐怖感を抱くことがある。特殊教育の必要性がある小児では,教員やカリキュラムの変更によって学校に対する抵抗感が生じやすくなる可能性がある。比較的年齢の低い小児は,身体症状(例,胃痛,悪心)を訴えるか,何らかの言い訳をして,登校を回避しようとする傾向がある。はっきりと登校を拒否する小児もいる。これに対して,特に問題なく登校するものの,学校にいる間に不安になったり身体症状を起こしたりし,保健室へ定期的に通う小児も多い。こうした行動は意図的に学校に行かない(無断欠席— 青年期における学校での問題 青年期における学校での問題 青年期において学校は大きな部分を占める。人生のほとんどあらゆる領域の問題は,しばしば学校での問題として現れる。 学習障害は学校の課題がより難しくなるにつれて初めて顕在化することがあり,特にこれまで自分の弱点に対応できていた賢い小児で顕在化する。 ときに,幼少期には認識されていなかった軽度の 知的障害が学校での問題を起こすことがある。 注意欠如・多動症などの小児期早期に発生した行動障害が,青年期にも継続して学校での問題を引き起こす可能性が... さらに読む を参照)という青年期の行動とは異なる;慢性的な無断欠席はしばしば 素行症 素行症 素行症は,他者の権利を侵害する行為や年齢相応の主要な社会規範または規則に違反する行動を反復的または持続的に起こそうとする状態である。診断は病歴に基づいて行う。併存症の治療と精神療法が助けになることもあるが,多くの小児でかなりの程度の監督が必要である。 程度を問わない素行症の有病率は約10%である。発症は通常,小児期後期または青年期前期であり,女児よりも男児の方がはるかに多い。... さらに読む の小児でみられる。

有意な基礎疾患がない場合,不登校は以下に起因する傾向がある:

  • 学業成績の低下

  • 家族関係の問題

  • 友人関係の問題

ほとんどの小児は不登校から回復するが,実際の疾患による病欠後や長期休暇後に再び不登校になる小児もいる。

一般に家庭での教育は解決策にならない。不登校の小児は,学業が遅れないように直ちに学校に戻るべきである。不登校が小児の活動を妨げるほど重度である場合や,親または教師による単純な励ましに反応がみられない場合には,精神医療従事者への紹介が必要となる。

不登校の治療には親と教職員のコミュニケーション,定期的な登校のほか,ときに家族および小児を対象とする心理士との精神療法などがある。治療としては,根底にある原因に対する治療,学習障害またはその他の特別な教育ニーズを有する小児に対する学校カリキュラムの適応,および学校でのストレスに対処する行動療法などがある。

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