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過期産児および過熟児

執筆者:

Arcangela Lattari Balest

, MD, University of Pittsburgh, School of Medicine

レビュー/改訂 2021年 4月
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過期産児とは,在胎42週以降に出生した新生児である。過熟児とは,dysmaturityの徴候がみられる過期産児のことである。

過期産の原因は一般に不明であるが,過期産歴がある場合リスクは2~3倍上昇する。過期産は,胎児の下垂体-副腎系に影響する異常(例, 無脳症 無脳症 無脳症とは,両側大脳半球が欠損した状態である。 ときに脳の欠損部が奇形性の嚢胞性神経組織に置換され,これが外部に露出するか,皮膚で覆われていることがある。脳幹および脊髄にも部分的な欠損ないし奇形がみられることがある。死産となるか,生後数日または数週で死亡する。 無脳症の治療は緩和療法のみである。 さらに読む ,副腎低形成, 先天性副腎過形成症 先天性副腎過形成症の概要 先天性副腎過形成症は遺伝性疾患の一群で,いずれもコルチゾール,アルドステロンまたはその両方の合成が不十分であることを特徴とする。最もよくみられる型では,蓄積されたホルモン前駆体がアンドロゲン産生経路へ流入し,アンドロゲン過剰が生じる;まれな型ではアンドロゲン合成も不十分である。 様々な形態をとる先天性副腎過形成症においては,コレステロールから副腎ステロイドホルモンを合成する際に必要となる副腎酵素の1つに常染色体劣性遺伝性の欠損が生じるこ... さらに読む )および胎盤性サルファターゼ欠損に関連する 伴性遺伝性魚鱗癬 遺伝性魚鱗癬 魚鱗癬は,皮膚に鱗屑および落屑が生じる病態で,軽症ながら不快な乾燥を生じるものから,醜状を来す重症のものまで,その臨床像には幅がみられる。魚鱗癬は全身性疾患の徴候のこともある。診断は臨床的に行う。治療では皮膚軟化剤を使用するが,経口レチノイドも使用される。 魚鱗癬は,全身性疾患または薬剤との関連性,遺伝性,重症度,またはその組合せにより,単純な乾燥皮膚( 乾皮症)と区別される。魚鱗癬はまたは,乾皮症よりもはるかに重症化する可能性がある。... さらに読む 遺伝性魚鱗癬 によって起こる可能性がある。

病態生理

ほとんどの場合,胎児の発育は分娩まで持続する。しかし,一部の例では,妊娠の経過に伴って胎盤が退縮し,多発梗塞および絨毛の変性が発生して胎盤機能不全を引き起こす。これらの症例では,胎児は母体から十分な栄養および酸素を受け取れないため,やせて(軟部組織消耗による)グリコーゲン貯蔵が枯渇した栄養不良児となり,羊水量が減少する。このような新生児はdysmatureであり,胎盤機能不全の発生時期と病態の重症度によっては 在胎不当過小児 在胎不当過小児(SGA児) 体重が在胎期間に対して10パーセンタイル未満の乳児は,在胎不当過小(small for gestational age)に分類される。合併症には,周産期仮死,胎便吸引,赤血球増多症,および低血糖がある。 在胎期間は,大まかには,最後の正常な月経がみられた日から分娩日までの週数として定義されている。より正確には,在胎期間は受胎日の14日前から分娩日までの期間を指す。在胎期間は実際の胎齢とは異なるが,産科医および新生児専門医が胎児の成熟を議... さらに読む である場合がある。胎盤機能不全とdysmaturityは在胎期間のどの時点でも発生する可能性があるが,41~42週を超えて妊娠が経過する場合に最も多い。

合併症

過熟児は,主に以下のために正期産児より罹病率および死亡率が高い:

周産期仮死は胎盤機能不全のほか,羊水過少に続発する臍帯圧迫によって起こる可能性がある。

症状と徴候

過熟児は覚醒しており,成熟しているようにみえる。過熟児では軟部組織,特に皮下脂肪の量が少ない。皮膚は,四肢においてたるみがみられ,しばしば乾燥して落屑がある。手足の爪は長い。爪および臍帯が,子宮内で排泄された胎便により着色していることがある。

診断

治療

  • 合併症の治療

過去20年の産科医療の向上により,在胎41週以降に分娩される新生児数は著しく減少し,これにより胎便吸引症候群の発生率も低下した。

過熟児およびdysmature児には低血糖のリスクがあり,その点を考慮してモニタリングおよび管理すべきである。

周産期仮死の乳児では,疾患経過の重症度に応じて管理方針が異なる。中等度から重度の脳症を有し,かつ出生時の重度のアシドーシス,5分後以降のアプガースコア低値,長時間にわたる蘇生の必要性のいずれか1つにでも該当する乳児には,低体温療法が役立つ場合がある。

娩出時の気管内吸引は胎便吸引症候群の発生率も重症度も減少させないため,分泌液の見た目の粘稠度や児の活動レベルにかかわらず,気管挿管は換気補助が必要な児に限定すべきである。胎便吸引症候群の乳児は,換気補助を必要とする可能性がある; 高頻度換気 機械的人工換気 最初の安定化手技として,軽度の触覚刺激,頭部のポジショニング,および口腔と鼻腔の吸引を行い,その後必要に応じて以下を実施する: 酸素投与 持続陽圧呼吸療法(CPAP) 非侵襲的陽圧換気(NIPPV) バッグマスク換気または機械的人工換気 さらに読む がときに役立つ。しばしば鎮静を要する。

サーファクタント治療は全死亡率を低下させないが, 体外式膜型人工肺(ECMO) 体外式膜型人工肺(ECMO) 最初の安定化手技として,軽度の触覚刺激,頭部のポジショニング,および口腔と鼻腔の吸引を行い,その後必要に応じて以下を実施する: 酸素投与 持続陽圧呼吸療法(CPAP) 非侵襲的陽圧換気(NIPPV) バッグマスク換気または機械的人工換気 さらに読む による治療が必要になる可能性を低下させるため,著しい呼吸窮迫がみられる児にはサーファクタントがしばしば使用される。ECMOは比較的少数の新生児センターでしか使用できないため,従来の医学的治療に反応しない低酸素性呼吸不全の患児に対してのみ用いる。

遷延性肺高血圧症は,支持療法および一酸化窒素吸入または他の肺血管拡張薬により治療する。

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