付属器の捻転

執筆者:Kilpatrick, MD, MEd, Baylor College of Medicine
レビュー/改訂 2021年 3月
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付属器の捻転とは,卵巣およびときに卵管のねじれであり,動脈の血流を妨げ,虚血を引き起こす。

付属器の捻転はそう多いものではなく,妊娠可能年齢で最も起こりやすい。通常は卵巣の異常を示す。

付属器捻転の危険因子としては以下のものがある:

  • 妊娠

  • 排卵誘発

  • 4cmを超える卵巣腫大(特に良性腫瘍による)

良性腫瘍は悪性腫瘍よりもより捻転を起こす可能性が高い。正常な付属器の捻転はまれであり,成人よりも小児で起こることが多い。

典型的には片側の卵巣だけに起こるが,ときに卵管も巻き込まれる。付属器の捻転は腹膜炎を起こしうる。

症状と徴候

付属器の捻転により突然の重度の骨盤痛,およびときに悪心や嘔吐が生じる。急な疼痛が生じる前の数日間,ときには数週間にわたって,間欠的な仙痛を認めることがあるが,これはおそらく捻転が間欠的に生じ,そのたびに自然に解除されていたと考えられる。頸部移動痛,圧痛のある片側の付属器腫瘤,および腹膜刺激徴候が通常存在する。

診断

  • 臨床的評価

  • 確定のための手術

付属器の捻転は,典型的な症状(すなわち,間欠的な重度の骨盤痛)および原因不明の腹膜刺激徴候に加えて生じる重度の頸部移動痛または付属器腫瘤に基づいて疑われる。痛みは片側性のことがある。骨盤痛の他の一般的な原因(例,虫垂炎異所性妊娠骨盤内炎症性疾患卵管卵巣膿瘍)を除外すべきである。

付属器の捻転の臨床診断は,経腟超音波検査による画像検査で卵巣腫大または卵巣腫瘤が示されることで裏付けられる。カラードプラ超音波検査で卵巣内の血流の減少または欠如が示されれば,診断のさらなる裏付けとなる。

付属器の捻転が疑われる場合,直ちに手術を施行する。ねじれた卵巣が認められれば,診断が確定される。

治療

  • 卵巣救済のための手術

付属器捻転が疑われる場合は,診断の確定および卵巣および卵管のねじれを解除してこれらの臓器を救済することを目的として,直ちに腹腔鏡下または開腹手術を施行する。生存不能または壊死した組織に対しては卵管卵巣摘出術が必要となる。

卵巣嚢胞または腫瘤が存在し,卵巣が救済可能であれば,嚢腫摘出術を行う。卵巣が救済不可能であれば,卵巣摘出術が必要となる。

要点

  • 付属器捻転はまれであり,悪性腫瘍よりも良性腫瘍が原因である可能性が高い。

  • 捻転によって突然の重度の骨盤痛や,ときに悪心および嘔吐が生じる;その前の数日間またはときに数週間にわたって,間欠的な仙痛を認めることもあるが,これはおそらく間欠的な捻転によるものと考えられる。

  • 症状およびカラードプラ法による経腟超音波検査に基づいて付属器の捻転を疑う;続いて診断を確定し治療するために,直ちに手術を施行する。

  • 付属器の捻転と診断された場合,直ちに腹腔鏡下または開腹手術を行って卵巣および卵管のねじれを解除してこれらの臓器の救済を図る;温存が望めない組織や壊死した組織,または卵巣嚢胞もしくは卵巣腫瘤が存在する場合は,外科的切除(卵管卵巣摘出術,嚢胞摘出術)が必要となる。

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