リズム法に基づく避妊法

(周期的な禁欲;リズム法)

執筆者:Frances E. Casey, MD, MPH, Virginia Commonwealth University Medical Center
レビュー/改訂 2020年 5月
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    卵子には,排卵後約12時間しか受精能はないが,精子には性交後最長5日間受精能がある;結果として排卵のほぼ5日前の性交でも妊娠に至ることがある。したがって,リズム法では排卵の5日前から性交を避ける必要がある。

    排卵時期を特定するためにいくつかの方法が用いられ,禁欲がいつ必要か決定する。具体的には以下のものがある:

    • 標準日避妊法(カレンダー法)

    • 2-day method(排卵法または粘液法)

    • 症状体温法

    授乳性無月経法(lactational amenorrhea method)も,分娩後に母乳哺育をしている女性が用いることのできる別の方法である。

    標準日避妊法

    標準日避妊法(standard days method)は,カレンダー(月経が起きた日)に基づく避妊法であり,月経周期が規則的な女性にのみ適している。

    排卵は,月経開始の約14日前に起こる。したがって,月経周期中の禁欲の間隔は,最近の12周期中最も短いものから18日を引き,最も長いものから11日を引く。例えば,周期に26~29日間までばらつきがある場合は,各周期の8~18日目まで禁欲する必要がある。周期のばらつきが大きいほど,長い禁欲期間が必要となる。

    サイクルビーズ(月経周期中の日を表すよう色分けされたビーズの紐)が女性が受精可能な日の記録を付けるのに役立つことがある。

    2-day method

    2-day method(排卵法または粘液法)は,頸管粘液の評価に基づく避妊法である。

    頸管粘液は月経後数日間存在しないことがある。粘液が再度みられるようになると,粘液は混濁し,粘稠で,伸びが悪い傾向にある。排卵の直前には粘液の量が増え,粘液は通常よりも薄く,透明で,通常より伸びが良好になる。それは卵白に似て,指の間で伸びる。

    月経の間は完全に性交を避ける(粘液が調べられなくなるため)。粘液が全くない時期は性交が許されるが,この間は2日毎に制限する(精液と粘液を混同しないため)。性交は,月経後粘液が初めて現れてから,量が最も多くなって4日目まで避ける。粘液量が最大になって4日目から月経がはじまるまでの間は制限なく性交を行ってもよい。

    頸管粘液の変化は基礎体温よりも正確に排卵を示す。

    症状体温法

    症状体温法(symptothermal method)は,基礎体温の測定(排卵後上昇する),頸管粘液の評価,および標準日避妊法を組み合わせたものである。

    標準日避妊法により禁欲が必要とされる初日から,頸管粘液が減り体温が上昇して3日後まで性交を避ける。

    症状体温法を正確に用いれば,2-day method(頸管粘液に基づく)または標準日避妊法(サイクルビーズを使用または不使用)より妊娠率が低くなる。しかしながらこれらの方法による妊娠率は普通の使用では高く,妊娠を確実に避けたい女性には勧められない。

    授乳性無月経法

    授乳性無月経法は,完全(またはほぼ完全)な母乳哺育をしている女性で月経が再開するまでの間に生じる分娩後の自然な不妊状態を利用する方法である。乳児の吸啜は排卵を刺激するのに必要なホルモンの分泌を妨げる。排卵が起こらないと,妊娠は起こりえない。以下の基準を満たす場合,この方法は98%の効果がある:

    • 乳児が6カ月未満である。

    • 母乳が乳児の主な栄養源である(人工栄養または固形食品での補充や搾乳は効力を減少させる)。

    • 日中は少なくとも4時間毎,夜間は6時間毎に授乳している。

    • 月経が再開していない(無月経)。

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