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前置血管

執筆者:

Antonette T. Dulay

, MD, Main Line Health System

レビュー/改訂 2020年 10月
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前置血管とは,臍帯と胎盤をつなぐ胎児の血管が,内子宮口を覆う卵膜を走行しているか,内子宮口から2cm以内にある状態である。

前置血管は,単独で生じることもあれば(前置血管 前置血管 前置血管 の図を参照),臍帯の卵膜付着のような胎盤の異常に伴って生じることもある。臍帯卵膜付着では,臍帯からの血管が直接胎盤に入るのではなく絨毛膜の一部を走行する。したがって,血管が臍帯内のワルトン膠質に保護されず,卵膜が破れるときに胎児出血が起こる可能性が高くなる。

頻度は分娩2500~5000例当たり1例である。前置血管が分娩前に診断されない場合,胎児の死亡率は60%に達しうる。

前置血管

前置血管

症状と徴候

前置血管の古典的な所見は,痛みを伴わない性器出血,破水,および胎児の徐脈である。

診断

  • 経腟超音波検査

所見またはルーチンの出生前超音波検査結果に基づき前置血管を疑うべきである。診察時,胎児心拍数パターン(サイナソイダルが多い)は通常,nonreassuringである。診断は通常,経腟超音波検査により確定する。胎児血管が内子宮口の直上にある卵膜内または内子宮口の近くにみられる。補助としてドプラカラーフローマッピングを使用できる。

前置血管は臍帯下垂(先進部位と内子宮口の間に臍帯が挟まった状態)と鑑別する必要があり,臍帯下垂ではワルトン膠質で覆われた胎児血管が頸部を覆っているのが見える。臍帯下垂では,前置血管とは異なり,超音波検査による評価中に臍帯が頸部から離れる方向に動く一方,前置血管では臍帯が固定されている。

治療

  • 臍帯圧迫を検出するための出生前モニタリング

  • 帝王切開

前置血管の出生前管理については議論があるが,これは一部には,ランダム化臨床試験が実施されていないことによる。大部分のセンターでは28~30週から週に2回ノンストレステストを行っている。目的は臍帯の圧迫を検出することである。継続的なモニタリングまたは6~8時間毎のノンストレステストのための入院が30~32週頃にしばしば行われる。

胎児の肺成熟を促進するためにコルチコステロイドを使用する。

以下のいずれかの事態が起きた場合,通常は緊急帝王切開の適応となる:

  • 前期破水が起きた。

  • 性器出血が持続している。

  • 胎児の状態がnonreassuringである。

これらの問題がどれも存在せず陣痛が始まらない場合は,医師は帝王切開の予定を提示できる。34~37週の間での帝王切開が提唱されているが,分娩の時期については議論が分かれる;34~35週での分娩を支持するエビデンスがある。

要点

  • 前置血管は臍帯卵膜付着のような他の胎盤異常を合併していることがあり,それにより,卵膜が破れる際に胎児出血が起こるリスクが高くなる。

  • 前置血管は症状(痛みを伴わない性器出血,破水,および胎児の徐脈)および/またはルーチンの出生前超音波検査での所見に基づいて疑う。

  • 経腟超音波検査を用いて前置血管を確定し,前置血管(臍帯が固定されている)を臍帯下垂(臍帯が動く)と鑑別する。

  • 28~30週以降は,場合によっては週2回の頻度でノンストレステストにより臍帯圧迫の有無を確認する。

  • 帝王切開を予定しておく,または前期破水が起きた場合,性器出血が持続する場合,または胎児の状態がnonreassuringである場合には緊急帝王切開を行う。

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