卵管機能障害および骨盤病変

執筆者:Robert W. Rebar, MD, Western Michigan University Homer Stryker M.D. School of Medicine
レビュー/改訂 2020年 9月
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卵管機能障害は,卵子,妊卵,および/または精子の輸送を障害する卵管閉塞または上皮機能不全である;骨盤病変は,受精または着床を障害する可能性のある構造的異常である。

不妊症の概要も参照のこと。)

病因

卵管機能障害は以下により起こりうる:

妊孕性を妨げうる骨盤病変としては以下のものがある:

  • 子宮腔癒着症(アッシャーマン症候群)

  • 卵管を閉塞させたり,子宮腔を変形させる筋腫

  • 特定の先天奇形

  • 骨盤内癒着

子宮内膜症は卵管,子宮,または他の病変を引き起こし,妊孕性を損ないうる。

診断

  • 子宮卵管造影またはソノヒステログラフィー

  • まれに腹腔鏡検査

全ての不妊症の検査には卵管の評価が含まれる。

ほとんどの場合,月経出血が停止してから2~5日後に,子宮卵管造影(造影剤を子宮に注入してから行う子宮および卵管のX線透視)が行われる。子宮卵管造影により,卵管の開通が誤って示されることはまれであるが,約15%の症例で誤って閉塞が示される。この検査では,一部の骨盤および子宮の病変も検出可能である。理由は明らかではないが,子宮卵管造影検査の結果が正常である場合,検査後に女性の妊孕性が高まるようである。したがって,子宮卵管造影検査の結果が正常であれば,若年女性では卵管機能に関するさらなる診断検査を数周期遅らせてもよい。

ソノヒステログラフィー(超音波検査の際に等張液を子宮頸管から子宮内に注入する)を行い,子宮内および卵管の病変を検出またはさらに評価する。

まれに,卵管病変をさらに評価するために腹腔鏡検査が行われることがある。

子宮内病変をさらに評価するため,子宮鏡検査を行うことがある。

診断と治療は,腹腔鏡検査または子宮鏡検査中に同時に行われることが多い。

治療

  • 腹腔鏡検査および/または子宮鏡検査

  • 生殖補助医療

腹腔鏡検査中に骨盤内の癒着を剥離し,骨盤内の子宮内膜症を電気焼灼またはレーザー焼灼することができる。子宮鏡検査中に癒着を剥離し,粘膜下筋腫や子宮内ポリープを切除できる。骨盤内の異常を腹腔鏡で治療した後の妊娠率は低いが(一般的に最大25%),子宮鏡による子宮内の異常の治療は多くの場合成功し,妊娠率は約60~70%である。

骨盤内に異常がある女性では生殖補助医療がしばしば必要となり,一般的に望ましい。

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