眼粘膜類天疱瘡は 自己免疫疾患 自己免疫疾患 自己免疫疾患では,免疫系が内因性抗原(自己抗原)に対する抗体を産生する。以下の過敏反応が関与することがある: II型:抗体で覆われた細胞が抗体で覆われた異物粒子と同様に 補体系を活性化して,組織損傷を引き起こす。 III型:損傷の機序に抗原抗体複合体の沈着が関与する。 IV型:損傷がT細胞介在性である。 ( アレルギー疾患およびアトピー性疾患の概要も参照のこと。) さらに読む で,抗結膜基底膜抗体の結合により結膜の炎症が起こる。 水疱性類天疱瘡 水疱性類天疱瘡 水疱性類天疱瘡は,高齢患者でそう痒を伴う水疱性病変が全身に現れる慢性の自己免疫性皮膚疾患である。粘膜が侵されることはまれである。診断は皮膚生検と皮膚および血清での蛍光抗体法による。治療では,まずコルチコステロイドを外用および全身投与で使用する。ほとんどの患者に長期の維持療法が必要であり,そこでは様々な免疫抑制薬が使用される可能性がある。 水疱とは,内部を液体で満たされた隆起性の発疹のうち,直径が10mm以上のものである。... さらに読む とは無関係である。
(粘膜類天疱瘡 粘膜類天疱瘡 粘膜類天疱瘡は,粘膜面に増悪と軽快を繰り返す水疱性病変が生じ,しばしば後に瘢痕形成や障害を生じる傾向がある,まれで多様な一群の慢性自己免疫疾患を指す用語である。診断は皮膚生検と直接蛍光抗体法による。軽症例には,コルチコステロイドの外用または病変内投与に加えて,ドキシサイクリンとニコチン酸アミドを併用する治療を用いることができる。重症例には免疫抑制薬の全身投与が必要になる場合がある。... さらに読む も参照のこと。)
症状と徴候
眼粘膜類天疱瘡は通常,特定の象限に非特異的充血を認める,眼脂を伴わない慢性結膜炎として始まり,以下のように進行する:
結膜下の線維化
下結膜円蓋の消失を伴う結膜の萎縮
瞼球癒着(眼瞼結膜と眼球結膜の癒着)
角膜上皮欠損および細菌性角膜感染症
角膜の血管新生,混濁,角化,および失明
潰瘍および瘢痕化を伴う口腔粘膜病変が一般的であるが,瘢痕化した水疱状および紅斑性の局面を特徴とする皮膚病変は一般的ではない。
診断
原因不明の瞼球癒着または生検所見
眼粘膜類天疱瘡の診断は,結膜瘢痕化かつ角膜変化,瞼球癒着,またはその両方を有する患者において臨床的に疑われる。進行性の結膜瘢痕化の鑑別診断としては,過去の放射線曝露やアトピー性疾患などがある。それゆえ,局所放射線照射または重度の通年性アレルギー性結膜炎の病歴がなく,瞼球癒着が進行している場合,臨床的に瘢痕性類天疱瘡が疑われる。診断は,結膜生検で基底膜への抗体の線形沈着を証明することにより確定可能である。生検の結果が陰性でも診断を除外できない。
治療
内反した睫毛の抜去
しばしば免疫抑制薬の全身投与
眼粘膜類天疱瘡の患者は,人工涙液の使用と内反した睫毛の抜去,冷凍凝固,または電気脱毛によって,より快適に生活できるようになり,また眼感染症,続発性角膜瘢痕化,および視力低下のリスクが減少する。進行性の睫毛乱生,結膜瘢痕化,もしくは角膜混濁に対して,または治癒しない角膜上皮剥離に対しては,免疫抑制薬の全身投与(例,ジアフェニルスルホン,メトトレキサート,ミコフェノール酸モフェチル,シクロホスファミド,免疫グロブリン静注[IVIG],またはリツキシマブによる)が適応となる。
要点
眼粘膜類天疱瘡は,結膜の慢性自己免疫性瘢痕化であり,角膜混濁を伴う。
所見には,瞼球癒着(眼瞼結膜と眼球結膜の癒着);睫毛乱生(睫毛内反);乾燥性角結膜炎;角膜血管新生,混濁,および角化;ならびに結膜の収縮および角化などがある。
通常,局所放射線照射または重度の通年性アレルギー性結膜炎の病歴がない患者では,進行性の瞼球癒着の所見によって診断される。
治療法としては,人工涙液の使用,内反した睫毛の抜去などのほか,しばしば免疫抑制薬の全身投与が行われる。